食道がんを経験された方であれば咽頭癌との異時発生等の重複が多いことはご存じかと思います。 

しかし、2022年食道がん診療ガイドラインによりますと食道外科認定施設でも上部内視鏡検査の際に30%の施設でしか咽頭の定期的な検索は行われていないそうです。 

 

 当方は経過観察を受けている大学病院での診察の際にお聞きしたことがあり、その際には上部内視鏡検査(特に口頭からの内視鏡検査)では咽頭の観察は十分には出来ない、とのコメントでした。

 咽頭は構造が複雑で隠れて見えない箇所が多く、医師の指示に従って咽頭の形をいろいろ変えないと隠れた部分は見えないものの、そうしようとしますと反射が起きてしまうことが原因と思われます。 

かつて頭頸部外科医に耳鼻咽喉用の直径3mm前後の極細内視鏡で観察を受けたことがあり、医師のいろいろな指示に従って咽頭の形を変えながらの検査を受けた際には咽頭の検査のみでも数分間はかかっていたでしょうか。 

一方、直径6mm前後の経鼻上部内視鏡検査の際にも同じように医師の指示に従って咽頭も見てもらおうとしたところ、反射がかなり起きておしまい十分な検索は難しかったこともあります。 

特に口頭からの上部内視鏡検査では鎮静化の基、検査を受けられている方は多いと思われますが、咽頭の隠れた部分は見えようもないものと思われます。

 咽頭を見てもらえているかどうかについては十分な注意が必要と思われます。

 特に食道がん治療後に飲酒を再開されてしまった方は心配になっているところであります。 

 

 以下に2022食道がん診療ガイドラインの「VII章 食道癌根治切除後のフォローアップ/再発に対する治療 総論 1)根治切除後のフォローアップ」の箇所に記載されています解説文を載せさせていただきます。 

 

 「食道癌は異時性の食道内多発癌や胃癌 ・ 頭頸部癌など異時性他臓器癌の発生も稀ではない。多発癌 ・ 重複癌を念頭に上部消化管内視鏡検査を施行し、咽頭から残存食道および胃 ( 胃管 )にかけて定期的かつ慎重に観察していく必要がある。さらに大腸癌 、その他の癌 の発生にも留意していく必要がある。前述の全国調査(注)では、異時性頭頸部癌の検索を定期的に行っている施設は、術後3年目までても30%に限られていた。」 

 

 (注)日本食道学会の食道癌診療 ガイドライン検討委員会  2020年に行なった食道外科専門医認定施設を対象とした食道癌根治治療後のフォローアップに関する全国調査