家老の娘を引き連れ脱藩!そして一世一代の転機が…松竹「道場破り」長門勇/岩下志麻・内川清一郎監督 | 東映バカの部屋

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皆様、おはようございます。
 
 
昨日22時に勤務を終え、月曜日12時の始業時迄の休みです。朝から雨模様の秋田市内ですが弱風の為、窓を開けっぱなしにしておいても涼しい風のみが入り込み快適です…が、昼過以降は気温と共に湿度も上がるでしょうから冷房の世話となるでしょう。そして本日は此方の作品を…DVD化作品でAmazonプライムビデオ(プラス松竹対象作品)/U-NEXT(見放題対象作品)/ひかりTVビデオ/DMM.TV/FODプレミアム内に於いて有料動画配信が行われています。
 
 
「道場破り」昭和39年1月15日公開・山本周五郎原作・小国英雄脚本・内川清一郎監督・松竹制作。
 
 

 

 

馬鹿殿との縁談を強要されそうになった家老の娘・岩下志麻と共に脱藩した長門勇は飄々とした外面とは裏腹の剣の達人!そして二人で関所を超える為の袖の下を稼ぐ手段として道場破り等々を行う事を志麻姐さんは嫌がり、長門さんは日雇い人足・志麻姐さんは旅籠の女中として従事…しかし長門さんは給金の安さに閉口し止む無く結果的に道場破りとなる闘いや裏で賭けが行われていた剣術大会等々へ参加する事で大金を稼いだものの、滞在先である殿山泰司が営む木賃宿の面々の騒動を収める為、病弱の母とその子の為、将又盗まれたりと中々貯まらない上に得体の知れぬ浪人・丹波哲郎に付け狙われます。そんな時舞い込んだのは、或る藩の剣術指南役!この藩の姫・倍賞千恵子が或る日世話になった際に長門さんの人柄に好感を抱いた為こうなったのですが…

 

 

内川監督は松竹の前は新東宝で監督を、この作品の後には日活で北島三郎主演のヤクザ映画を数本手掛けられていますし(この頃、東宝配給「ザ・テンプクターズ・涙の後に微笑みを」も担当)小国先生は黒澤明作品に深く関わりながら東映時代劇の脚本も数多く担当(「森の石松鬼より怖い」「集団奉行所破り」等々)。この二人が山本周五郎の「雨あがる」をどう脚色したのか期待しましたが、期待通りの出来!同じ原作を使用した作品は平成期にも寺尾聰・宮崎美子の顔合わせで制作されていますが(平成期の作品としては優れているとは思うものの)「能ある鷹は爪を隠すがよく似合う長門さん・美しい容姿の中に秘められた芯の強さを感じさせる志麻姐さん(これが別の形で生かされたのは「極道の妻(おんな)たち」か?)」に軍配が上がりますし、だからこそ最後の晴れ晴れした様子がより生きていると云うもの(私感)。そして「貧しさは恥ではないと堂々と、心を通い合わせながら生きる木賃宿の面々と、脱藩した事でそれを肌身に感じながらもやはり何かに未練を持っている長門さんの対比」は行き過ぎた物欲と個人主義に塗れた者が多い現代人に楔を打ち込むのではないかと思います。更に道場を破られる上田吉二郎・木賃宿の一員で此方も飄々としていながらも騒動を正論で一喝し治める左卜全・長門さん達を追う富田仲次郎と青木義朗・倍賞さんの実父の宮口精二等々脇を固める面々も芝居巧者揃いです。