鶴田浩二・笠原和夫初顔合わせ!東映東京「風流深川唄」美空ひばり・山村総監督 | 東映バカの部屋

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東映制作作品を主体として書いていますが、たまに他の話題も…一人でも多くの東映ファンが生まれる事を望みます!

●この記事は令和6年7月15日(月)の打込を行った予約投稿記事です。

 

皆様、こんばんは。

 

 

本日は三連休中に鑑賞した作品から此方を簡単に紹介します。美空ひばり主演ですが、名脚本家・笠原和夫と東宝から東映に移籍したばかりの鶴田浩二が初めて顔を合わせた作品です。VHS化作品ですがDVDは未発売、U-NEXT(見放題対象作品)内に於いて有料動画配信が行われています。因みに俺が東映ch加入後の放映された実績はありません(他のchでも未放映)

 

 

「風流深川唄」昭和35年9月13日公開・川口松太郎原作・笠原和夫脚本・「クラウンの山村」こと俳優の山村総監督・東映東京制作。

 

 

 

 

伊志井寛が営む深川でも指折りの老舗料亭の一人娘・美空ひばりと板長・鶴田浩二は相思相愛であったものの、伊志井さんが支援する「過去に恩を受けた政治活動家」山村総の債務保証をしてしまったが為に店は裁判所から差押を執行されてしまいます。伊志井さんは行く行くはお嬢と鶴田のおやっさんを一緒にさせ店を任せ、自らは小唄の師匠である山田五十鈴と一緒になり余生を過ごそうと考えていたものの、事態の急変でそうも行かなくなったのは勿論の事、神田隆・柳永二郎等々「暖簾第一」の親戚筋から猛反対を受けた上に債務を肩代わりしてくれる大店の若旦那とお嬢を婚姻させる様に強要します。結果、紆余曲折を経てお嬢はその条件を吞み、鶴田のおやっさんはこの店を離れ、師匠に当る宮口精二の店で日本一の板前となるべく邁進していましたが、お互いを忘れられぬままお嬢の婚礼の儀の日を迎え…

 

 

「エロと暴力」「男の系譜」「周囲に何と言われようともお客様が喜ぶ作品を作り公開して行くだけ(岡田茂名誉会長の思考)」等々と言われた東映では、当時としても珍しい文芸悲哀劇!只、過去にお嬢が鶴田のおやっさんに一方的に惚れていたとの事を何処かで読み聞きしていますのでそれが重なって見えました(実生活では恋愛には発展しませんでしたが関係は良好で共演作も多ければ二人だけの歌謡番組が放映された実績もあります)。そして笠原先生に言わせれば「お嬢は基本的に受け!周囲にガンガン遣られて開き直るとオーラが出る」(太田出版・刊「映画脚本家・笠原和夫 昭和の劇」より)との事。言われて他作品を含めて思い返してみると確かにそうですし、当作品では表面上は静かに演出されているものの、一度燃え上がった炎を何とか消そうとする心の葛藤は激しいものがありました、しかし消化不良で燻りましたが…又、鶴田のおやっさんも一度はお嬢を断ち切りながらもいざとなれば初心貫徹とばかりに獰猛さを発揮する男気!加えて伊志井さんも「金銭的には最悪に陥っても心情としては最高」となる様に全ての準備をしていたのですから心憎い!監督を務められたクラウンの山村は出演時間は相当に短いものの(監督兼任ですから当然か)心の籠もらぬ謝罪しか出来ぬ政治屋の屑をローギア運転で見事に遣り切っています!解っている人だなぁ!