機関車と客車を切り離し行着いた先は?大映東京「続・兵隊やくざ」勝新太郎/田村高廣・田中徳三監督 | 東映バカの部屋

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皆様、こんばんは。
 
 
休み二日目の夜中です。昨日も何処にも出掛けず部屋で過ごしました。こう天気が悪くては動く気にもなりませんし金も使わず済みますから(事前に準備さえしていれば、ですが)。しかも、勝新太郎の出演作品で一番好きな「兵隊やくざシリーズ」を連続で鑑賞しながら昼酒ですからもう言う事無し!そこで第一弾の増村保造監督から田中徳三監督にバトンタッチされたシリーズ第二弾を(シリーズ全九作品中増村監督が二作品・森一生監督が一作品・他は全て田中監督ですから代表作の一つと言ってもいいでしょうね)。DVD化作品でAmazonプライムビデオ(シネマコレクション by KADOKAWA対象作品)DMM.TV/FODプレミアム/ビデオマーケット内に於いて有料動画配信が行われています。
 
 
「続・兵隊やくざ」(「兵隊やくざシリーズ」第二弾)昭和40年8月14日公開・有馬頼義原作・舟橋和郎脚本・田中徳三監督・大映東京制作。
 
 

 

 

前作「兵隊やくざ」の結末で機関車を乗っ取った上に客車と切り離し、真冬の満州を激走していた一等兵の勝新太郎と上等兵の田村高廣でしたが、敵の仕掛けた地雷により機関車が横転転覆してしまった上に運び込まれたのは陸軍病院!そこは勝新にとっては若く美しい看護婦・小山明子と出逢い毎日看護して貰える天国の様な場所であり、田村さんは怪我を切欠に除隊となり内地(=日本)に帰還出来ると期待を膨らませます。しかし二人は北支の最前線の独立守備隊に送られる事となり「天国と期待」は木っ端微塵となります。しかもこの隊の腐敗や個人の感情のぶつかり合いが激しかった上に、着任早々騒動を起こした勝新は田村さんの配慮により当番兵として曹長・睦五郎(後に睦五朗に改名)と上野山功一に身を預けたのですが、睦さんと上野山さんの間で慰安婦の水谷良重(現・二代目水谷八重子)を巡る騒動が起き…

 

 

勝新のライフワークであった「座頭市シリーズ」よりも何故此方が好きなのかと言えば「座頭市シリーズが名作である事に間違いは無いが、自らの世界に入り込み過ぎた感が徐々に強くなるのに対して、兵隊やくざシリーズは息抜きになっていたのかと思う程肩肘を張らぬ芝居を見せているのが効を奏したのか、より勝新の良さが引き立てられている感を抱く為」「舞台を軍隊に変えた任侠・ヤクザ映画でありながら、当時(現在にも繋がるか?)の社会のあらゆる短所を炙り出し、それを互いに持ち合わせていないモノに惹かれ合った勝新・田村さんがスカッと解決しながら最後には豪快に逃亡を図る結末(例外もあります)」「芸達者な面々を揃え笑いやお色気を加え、それに対する思考の違いで勝新と田村さんの性格付けを明確に分けている。しかし勝新が田村さんに絶対服従する姿は毎度見物」「連続性のあるシリーズではあっても、初作から順番に鑑賞しなくても十二分に楽しめるし前作品の概要が想像付く親切心」等々…日々の中で嫌な事があった時、それを忘れさせてくれる作品群の一つですし、任侠/ヤクザ映画に抵抗を感じる方々でも舞台が軍隊である分受け入れて貰い易くこれ等の作品群の良さも理解して貰えるのではないかと思います。

 

 

今回の物語の中心は水谷さんを巡る曹長の争い及び老爺の処刑に纏わる一部始終ですが、暴走機関車の勝新を守る為に普段は冷静な田村さんが勝新を守るべく身体を張る姿はこのシリーズの真骨頂の一つ!この姿は血筋や階級を超えた男の信頼関係を存分に感じさせますし、これがあるから勝新の義侠心も更に際立ちます。そして、小山さんに惚れた勝新が「或る願い」をした時、それに応えてくれるのかも見物です。