若き故郷喪失者の明と暗・松竹/バーニングプロダクション「突然、嵐のように」郷ひろみ/秋吉久美子 | 東映バカの部屋

東映バカの部屋

東映制作作品を主体として書いていますが、たまに他の話題も…一人でも多くの東映ファンが生まれる事を望みます!

皆様、こんにちは。
 
 
昨日21時に勤務を終え、月曜日12時の勤務開始時迄の休みです。ここ1.2日間は真夏日でしたが今日は幾分過ごし易そう、しかし明日から天気は下り坂で恐らく言われている様に非常に遅い梅雨入り宣言となるでしょう。そして人員配置と育成の関係で一時夜勤から離れ、昼から夜の勤務となります、予定は来月一杯か盆休み前迄(しかしそうは言われても「予定は未定」が世の中ですから)…収入は少々減るものの今回は同様の憂き目に遭った者が多数居ますし組織では日常茶飯事、そして「損して得取れ=業務が多能化すれば後々取り返せるかも?」と考えて励みます。
 
 
さて、昨晩帰宅後YouTubeを漁っていたら、松山千春の冠番組の最終回で郷ひろみと毒舌を交えながら電話で話す動画が…考えてみたらこのお二方は双方共に昭和30年生まれ、巡って来た道は違えども「俺はお前を悪く言った事は無い!(実際には「歌は下手だが、あの歌はあいつしか歌えないからなぁ…上手いとなる!」等々千春さんは散々言った事があります。しかしこの動画で「今度の映画(=聖女伝説)は評判がいい様で…映画が好きな俺の弟は役者としても十分遣って行けると褒めていた」とフォローも)」「お前の女の趣味が悪いから今度教えてやる!(松田聖子との交際期であった為)」等々千春さんの毒舌をひろみさんは上手く受け止め、最後には「今度北海道の公演に行くからその時逢おう!」と、気心知れた仲の良さを実感しました。そこで本日はひろみさんの主演作品を一つ…VHS化作品ですがDVDは未発売で有料動画配信も行われていません。
 
 
「突然、嵐のように」昭和52年4月29日公開・中島丈博/山根成之の共同脚本・山根成之監督・松竹/バーニングプロダクションの共同制作。
 
 

 

 

入院患者と看護婦の関係で出逢った、パチンコや詐欺の手伝いと等々で生計を立てていた郷ひろみと看護婦ながらも新たな資格取得に励む秋吉久美子…初対面時から何か相通ずるものを感じていた二人がひょんな事から再会し、秋吉さんが同僚の裏切りや実母に対する失望感にあった時、二人は「俺達だけは幸せになろう」と同棲を開始し、ひろみさんは運転手・秋吉さんは別の病院の看護婦として再出発します。しかし秋吉さんは看護婦と主婦業を両立させる一方でひろみさんは交通違反により職場を解雇され、職探しに奮闘するものの上手く行かず…しかも妊娠を機に籍を入れる事を望んだ秋吉さんに対しひろみさんはやっと真実を打ち明けたものの、それが二人の関係を切り裂く切欠となり…

 

 

故郷・肉親喪失者同士ではあるものの、複雑な家庭事情からそうなる事を望んでそうなったかの様な若者の群像…しかし、全てを自らの努力で得たとの自信に溢れ尽力を惜しまなかった秋吉さんが夜の女として墜ち、楽に自由に生きて来たものの或る切欠で挫折しながらも最後には堅実に生計を立てていた結末は色々と考えさせられます。一途な生真面目さが仇となり、好き放題遣り尽くした結果を猛省し堅実を得たとでも言えばいいか?何れにしても、若年期は善悪問わず或る程度は挫折や脱線を経験している方が精神面を強くし後に小さくても花開く・逆に意識して脱線せず自らの努力や結果に自惚れると少々の衝撃でも脆く崩れる事実を当時の若年層の視点に立って描かれた感を抱きましたし、アイドル主演映画として片付けてしまうのは愚かと言い切れる佳作でした。

 

 

そして、ひろみさんと昵懇の怠け者で女装姿を披露する佐藤蛾次郎(髭面での女装姿の衝撃度は東映京都「大奥浮世風呂」での志賀勝や、新春隠し芸大会でリカちゃん人形に扮した力道山の次男で元・全日本プロレス/プロレスリング・ノアの百田光雄に匹敵します!尚、前者はAmazonプライムビデオ等々の動画配信で、後者はYouTubeで観られます)・ひろみさんと顔見知りで姑息な手段で小金を得ようと画策する大滝秀治・ひろみさんに堕胎患者を教える事で金を生み出す手段を提供する産婦人科の雑用婦の村田知栄子とその餌食となる有吉ひとみ等々脇を固める面々も豪華で退屈させませんが…天津敏を相手に金を取ろうと云うのはひろみさん・蛾次郎さんが束になってかかったとしても自殺行為!実際敏さんはヤクザの役で、東映ファンにとっては内容を別にするとここが一番気に入った場面です。