安息の地を見付けた男と故郷を捨てた女、しかし…ATG「津軽じょんがら節」江波杏子/織田あきら | 東映バカの部屋

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東映制作作品を主体として書いていますが、たまに他の話題も…一人でも多くの東映ファンが生まれる事を望みます!

皆様、こんばんは。
 
 
休み二日目の夜中です。昨日は記事の打込後、自家用車の定期点検をして貰ったのですが、エアコンのファンベルトとブレーキパットの交換が必要となり、部品が届き次第作業となる予定です。今月末には免許の更新が可能となる上に最終土曜日は通常出勤ですので何時もの月よりは慌ただしくなりますが、数年に一度ですから…しかも全てを終えて飲酒後就寝したのは15時頃でしたが起床したのは22時!まぁ来週も夜勤ですからこれでいいとなります。
 
 
さて本日は此方の作品を…DVD化作品でAmazonプライムビデオ/U-NEXT(見放題対象作品)/Google Play/DMM.TV/ビデオマーケット/FODプレミアム/YouTube於いて有料動画配信が行われています。第47回キネマ旬報ベストテンで我国の作品で第1位となりましたが、読者投票で支持されていた「仁義なき戦い」をひっくり返したこの結果は物議を醸したことでも有名です(詳細はご存じの方も多いでしょうから割愛します)。しかしこれはこの作品の制作関係者も複雑な思いを抱いたでしょうね、あからさまな工作行為でしたので…因みに公開の翌年東映系列の劇場で再上映された実績がある模様です。
 
 
「津軽じょんがら節」昭和48年12月20日公開・中島文博/斎藤耕一の共同脚本・斎藤耕一監督・斎藤耕一プロダクション/日本アートシアターギルトの共同制作・日本アートシアターギルト配給。
 
 

 

 

一度は故郷(青森・中里町=平成17年に小泊村と合併し現在は中泊町)を捨て上京しながらも「或る得」を求めて帰郷した江波杏子と、騒動を起こして東京に居られなくなり江波さんにくっついて来た交際相手でチンピラの織田あきら…得が得られると信じながら女給勤めをする江波さんに対して毎日ブラブラとしている織田さんでした。しかし、盲目の少女である中川美穂子と出稼ぎにも出ずこの地で漁師をしながら生計を立てている西村晃との出逢いが織田さんを変える一方で、得が得られないと解った江波さんは織田さんを連れて故郷を捨てようとしたものの…

 

 

 

 

アウトローの世界で生きてきた故郷喪失者だからこそ心の拠所・安息の地を望んで都落ちした結果がいい方向に展開し(但し結末は…)故郷を損得勘定でしか見られなかった者は二度と戻らぬ決断を下した対比が中々!織田さんの姿を見ると、故郷喪失者である東映東京「トラック野郎シリーズ」で菅原文太が扮した星桃次郎の「故郷が欲しければ作ればいい。その気になれば石ころだっで故郷になる」の台詞を思い出させますし、故郷以外に目を向けてもこの感覚で安息や拠所を作り出す事が人間には不可欠ながらもその力量は若年層になる程衰えているなぁと…そして、当作公開時と比較をすると減少しているとは云え、現在でも出稼ぎ率が全国一と言われている青森(特に津軽地方)の現実を垣間見られる点も地域性を知る観点では評価をしてもいいかと思います。繰り返しになりますが、ひと摘まみの識者・評論家の歪んだ考え方がこの作品を瞬間的に頂点にさせたものの、その印象により冷めるのも早かっただけに留まらず未だに邪な印象を抱かれているのは不幸以外の何物でもない!盲目の者が全てに於いて豊かとは言えぬ地域で生きる術を得る難しさも同時に描かれたこの作品はもっと観られて評価されるべきと思います。