墓を潰され乗り込んだ筈が何故か保険金詐欺・殺人へ…大映京都「宿無し犬」田宮二郎/江波杏子/天知茂 | 東映バカの部屋

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皆様、こんにちは。
 
 
休み最終日ですが夜勤から始まる為1日得をした様な気分です。そして曇り空で日差しも無ければ湿度も低いのに不思議な暑さを感じる天気で、窓を開けながら上半身は裸で過ごしています。尚、時間軸を変える為に夜明け直前に就寝し昼過ぎに起床しましたが、掛け布団を全て剥いでいましたので例年の同時期よりもかなり暖かいのは確かです。
 
 
さて本日は此方の作品を…DVD化作品でAmazonプライムビデオ(シネマコレクション by KADOKAWA対象作品)内に於いて有料動画配信が行われています。過去には日本映画専門ch/chNECOで放映されましたが10年近く未放映…定期的に放映して貰いたいと思う、田宮二郎出演のシリーズでは「悪名シリーズ」と共に特に好きなシリーズの記念すべき第一作目です。
 
 
「宿無し犬」(「犬シリーズ」第一弾)昭和39年5月2日公開・藤本義一脚本・田中徳三監督・大映京都制作。
 
 

 

 

「子供の頃から売られた喧嘩は買うが自らに筋が無い限り滅多に売らず、女性には良く好かれ宿題も彌って貰える程であった為に頭の中は空っぽ、しかし今では女性は好きでもそれ以上に好きで可愛いのはチャカ(=拳銃)で肌身離さず持っていたい!そして住所不定で出場は出来ないが五輪選手になれるだけの腕を持っている」と自称する宿無しで一匹狼の善良なチンピラ・田宮二郎(何せ女性を虐めたり親不孝な野郎を徹底的に嫌い、弱者を守ったり的である筈の警察関係者に協力をしたり等々の一面があります)。田宮さんは「筋の通った喧嘩」を売る為に母親の墓を潰しゴルフ場を建設した相手に会いに四国・香川に出向いたのですが剣もホロロ、加えてこで擦れ違った美女・江波杏子に惚れ付き纏ったものの成果を出せず終い…しかし、宿泊した旅館で江波さんをヤクザ達から守った事が切欠で神戸へ帰郷する際に乗船したフェリー内でヤクザの親分に声をかけられ、連れ込みホテルの支配人となるのです。住み込みとは云え宿無しから宿在りとなった田宮さんを待ち受けていたのはそのホテルが不審火で全焼してしまった事、そしてこれを切欠に少し前から田宮さんを付け回していた男・天知茂が自らを刑事と名乗り執拗に追い回す様になった事、更にこの火災と高松で田宮さんが目撃した火災が同一犯による放火及び保険金搾取の嫌疑がかけられていると知った事…事件の謎解きに加え、聞くも語るも涙となりそうな江波さんの秘密や田宮さん・天知さんの立場を超えた表面には強く描かれぬ結束関係等々を描きながら物語は結末へと向かいます。

 
 

 
 
「キザだけれども軽妙、そして筋は絶対に外さない上に女心を理解しながらも義理人情や盟友の得を優先して行動する男気」このシリーズでそんな姿を見せる田宮さんが俺は一番好き(劇場公開作品の「黒シリーズ」テレビドラマの「白シリーズ」も良さはありますが)。しかも「私生活上は酒食を共にする程仲が良かった」らしい梅宮辰夫が演じた東映東京制作「不良番長シリーズ」神坂弘とは表面上の差異は大きいものの、根底に流れている人間らしさは共通するモノが非常に多い様にも…そして「カメラの真正面に立って披露される田宮さん・天知さん、田宮さん・坂本スミ子の遣り取りはドツキ漫才や夫婦漫才を見ているかの様な面白さ」「あいつの給料上げてやらなアカン・宿無しに宿を紹介してくれて・泳げるが可愛いコイツ(=チャカ)が…等々、放たれる一言一言がよく捻られた優れものばかり」「須賀不二男・佐々木孝丸の老獪さ、その老獪さをも上回る水島道太郎の腹黒さと立ち回りの巧さ」等々、別視点から観ても非常に面白い作品ですしシリーズ全作に外れがないのも美点です。