娑婆での怨念は島抜けをしてでも果たす!東映京都「妖艶毒婦伝・般若のお百」宮園純子/南原宏治 | 東映バカの部屋

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東映制作作品を主体として書いていますが、たまに他の話題も…一人でも多くの東映ファンが生まれる事を望みます!

皆様、おはようございます。
 
 
休み二日目の朝です。昨日は記事を打ち込み後飲酒をしたらそのまま就寝してしまった関係で自然と早朝に目が…冷え込みは厳しいものの積雪が殆ど無いのは有難いです。この記事の打ち込みを済ましたら焼きそばを作ろうかと思っています。因みに俺は「もやしと粗挽き挽肉を加えて目玉焼きを乗せ、これをおかずにご飯を食す」のが好み!目玉焼きの代わりにカレーをかけるのも合いますが、塩分控え目を良しとする現代と逆行しているなぁ…東北地方は塩分が効いていないと食べた気がしないと言う方々が多いですし俺も同じです。何せ秋田市内では東北地方で初の出店となったタニタ食堂が「味が薄くて…」を理由に短期間で閉店に追い込まれた程なのですから。
 
 
先ずは配信情報を…今月よりAmazonプライムビデオ内の定額ch「東映オンデマンド」内に於いて「特別機動捜査隊セレクション」の配信が開始されました(今月は第1話及び100話代前半の10作品。今後毎月足し増しされて行くものと思われます)。視聴環境が整っていれば東映chでの放映を視聴不可能だった方々でも世界観を堪能出来ますしAmazonプライム会員月額料金\600ー+東映オンデマンド月額料金\500ーで合計1.500作品以上が見放題である為DVD-BOXを購入するより安価で他の刑事ドラマやあらゆる種別の劇場公開作品・Vシネマ作品等々を楽しめますのでお薦めです。尚、YouTube内「東映シアターオンライン」内では第1話が無料で視聴可能です。
 
 
 
 
そして本題…東映の「純子姐御姉妹」の妹分・藤純子(現・富司純子)の姉貴分に当たると俺は思っている宮園純子の初主演作品。この作品の主演を打診された宮園さんは「脱ぐ事になっても是非!」と快諾したそうですが(但し全裸になってはいても前は見せていません)決して順調とは言えなかった駆け出しからの女優人生で得た灰汁をここぞとばかりに吐き出した凄味を堪能出来る隠れた傑作です。
 
 
「妖艶毒婦伝・般若のお百」(「妖艶毒婦伝シリーズ」第一弾)昭和43年10月12日公開・高橋猛原案・高田宏治脚本・石川義寬監督・東映京都制作。当シリーズは当作品を含めて全作品DVD化がされていませんが過去に東映chで放映された実績がありますし、本日時点ではU-NEXT内に於いて有料動画配信が行われています(見放題対象作品)。余談ですが、第二弾以降は東映東京制作となっています。
 
 

 

 

幼少期、夜鷹の母親による道連れ心中に見舞われながらも一命を得た宮園純子は浅草の掛小屋の花形太夫として活躍しながら付き人の芦屋雁之助と共に富豪専門の美人局を働く日々を過ごしていました。男の食い物にされた母親を見て育った宮園さんは男嫌いながらも男を食い物にして母親の怨念を晴らす一方で物心共に困窮している親無し子を見ると手を差し伸べずに居られぬ優しい一面も垣間見られます。或る日、何時もの様に舞台を終えた宮園さんは頭の言い付けに従い奉行を目指す南原宏治の一席に呼ばれ身体を奪われそうになりますが、その極致を救ったのは盗賊(いや、反社会的な集団の一員と言うべきか?)の村井国夫(現・村井國夫)かつ或る一家の親分である若山富三郎(付き人は名和宏)。これを切欠に男嫌いであった宮園さんは村井さんに惚れ込み「お先真っ暗の世の中に牙を向けられるなら…」と、金塊強奪の実行に加わったものの仲間と思っていた体制側の高野真二が南原さんと繋がっていた上に奉行への足掛かりとする為にこの事件を利用され、村井さんは宮園さんの目の前で斬首されます。一方の宮園さんは南原さんの一考で佐渡金山に送られ過酷な日々を過ごしていましたが、人足頭の小松方正の女房で彫師の三島ゆり子が宮園さんの肌の美しさに惚れ込み「幼少期に受けた怪我の傷を隠せるから」と般若の刺青を掘る事となるのです。何れは島抜けをしてでも南原さんに恨みを晴らすのが生きる奏となっていた宮園さんにとっては刺青は怨念を更に増す効果を得られる上、金山の外に出られる事は島抜けの機会を得た様なモノ!そこで宮園さんは小松さんと金山の牢名主である関山耕司を手懐け、佐渡に視察に来た高野さんを葬った後、生死を賭けた島抜けを実行に移し…

 

 
 

 
 
美しい薔薇には棘があると知りながらも助平心丸出しで温情をかけた南原さんと高野さんが自ら地獄の釜の蓋を開け自業自得の結果に導いたと言える様な気が…しかも同様の理由で温情をかけた小松さん迄もが宮園さんの毒牙にかかるのは東映ファンが拍手喝采となる流れの一つと言ってもいいです、三島さんも綺麗ですが宮園さんを目にしてしまえばそうなる気持ちも理解は出来ますしね。これに対して宮園さんの本心を知った若山先生や雁之助さんが善人側となるのは珍しくはないものの、初対面時は「俺のイロに…」との雰囲気であった関山さんが宮園さんの本心を知った時から右腕として尽力する姿はボンクラ野郎の心を鷲掴みにしてしまう!更に前半の私利私欲に塗れた南原さん達の心根がそのまま映像化された様な残虐描写(とは言っても白黒作品の為相当に緩和されています)は宮園さんの私怨を更に盛立てる効果を発揮していますし、同様の仕打ちが終盤でブーメランの如く南原さんに返っているのもいい!宮園さんの十八番である綱渡りを生かし村井さんの思いを完遂しようとした再強奪計画の実行場面にも心を感じさせる隠れた傑作です。勿論、今回は控えた芝居で周囲の盛立て役に廻った名和センセイもお見逃し無く!