本田美奈子生涯唯一の出演映画・J・A・V・S/松竹「パッセンジャー・過ぎ去りし日々」和泉聖治監督 | 東映バカの部屋

東映バカの部屋

東映制作作品を主体として書いていますが、たまに他の話題も…一人でも多くの東映ファンが生まれる事を望みます!

皆様、こんばんは。
 
 
今朝の5時に勤務を終え、月曜日20時の勤務開始時迄の休みです。今週末は冷え込みが厳しく、少ない積雪も凍ってしまう為気の緩みが怪我や事故に繋がるかと考えると気が抜けません。今週は最近にしては多忙で帰宅後済ますべき物事を済ますと直ぐに眠ってしまい起床したら16時を過ぎていました。外出はせずに静かに部屋で過ごそうかと考えています。
 
 
先ず最初に…今年から石原プロモーション制作作品の放映権が松竹ブロードキャスティングに移行し、先ずは本日からホームドラマchで「大都会・闘いの日々」「西部警察PARTⅠ」の放映が開始されます。今月中には「浮浪雲」そして他の作品の放映も順次開始されるとの事ですので、単純明快な物量作戦アクションの面白さ・楽しさ・親切心や渡哲也の意外な一面、アクションだけではない制作能力の高さ等々をより多くの方々に知って頂くいい機会が再び訪れた事が嬉しいです。
 

 

そして本題。昨年12月に衛星劇場を解約したのですが、毎年2月は俺のスカパー!加入月の為16日間WOWOW以外の全chが見放題となる関係で半月程は衛星劇場が視聴出来ます。そうしたら今月は昭和末期から平成初期の女性アイドル主演映画の特集が組まれておりましたので、その中から本田美奈子が生涯唯一出演した映画を…俺は一番はないものの美奈子さんは女性アイドルの中で好きな方でしたし「嫌い」と云う人に出会った事が一度もないのですが、この作品で美奈子さんの常套句、と言うより挨拶代わりであったらしい「ヤッホー」と放った際の自然体等々を拝見すると誰からも好かれ嫌いな方が居ない理由が見えてきます。VHS/LD化作品ですがDVDは未発売で有料動画配信も行われていません。尚、衛星劇場内に於いて本日以降、2/17(土)09:30・2/18(日)19:00・2/23(金)20:30・3/22(金)18:30の4回放映されます(字幕付きHD放映)。

 

 

「パッセンジャー・過ぎ去りし日々」昭和62年10月3日公開・西崎義展原作/制作総指揮兼任・古田求脚本・和泉聖治監督・ジャパンオーディオビジュアルネットワーク制作・松竹配給。後半の十数分間で描かれるバイクレース(実際のレース)が大きな売り物となっていた作品。

 
 

 

 

 

幼い頃に両親を亡くした為に父娘の様な関係で懸命生きて来た世界に通用するロック歌手を目指す人気者の本田美奈子と年間最優秀選手を目指すバイクレーサー兼バイク店を営む三田村邦彦…或る日美奈子さんはプロのバイクレーサーでありながらも暴走族を率いる岩城滉一(三田村さんとは旧知ながらも犬猿の仲)との交通トラブルに巻き込まれた際に救ってくれた三田村さんの好敵手である宇梶剛士に一目惚れし交際を開始しますが、世界を目指す宇梶さんが女断ちとばかりに突如連絡をしてくれなくなったりした事で精神が不安定になったり、三田村さんを勝たせたいが為に宇梶さんを通じてより性能の高いマシンを贈ったら突き返せと平手打ちを食らったりと、自らが目指す世界への道さえも危うくなる状況になります。更に岩城さんが知人のジャーナリストである岡安由美子に美奈子さん・三田村さんを「兄妹ではなく夫婦に見えた」と話した事で絶体絶命のスキャンダルに発展しそうになり、翌日にコンサートを控えていた美奈子さんが岩城さんに抗議に向かった所暴行され、それを知った此方も翌日に運命のレースを控えていた三田村さんは…

 
 
 
 
ウィキペディア「西崎義展」によると、当作品は当初東映での配給予定であったものの諸般の事情で関係が悪化し松竹が引き受けたとか…しかし、予算が大幅に超過した上に興行不振で二週間で打ち切られ松竹との関係も崩壊(余談ですが、宇梶さんの操舵したクルーサー「ヤマト」は西崎さんの自家用船で勿論「宇宙船艦ヤマト」が由来ですし東映との関係もこれによるもの)。フリーながらも当作品以降東映で実績を重ねている和泉監督の作品ですし宇梶さんは菅原文太が率いた「菅原一門会」の一人、そして三田村さんは東映「警視庁殺人課」終幕二部作で文太さん以下同僚全員と見事に散り岩城さんは東映出身、更に岩城さんの後ろ楯で三田村さんの運命を左右する為だけに登場したのは「東映ピラニア軍団」の片桐竜次、加えて美奈子さんの事務所の社長は東映「非情のライセンス・第3シリーズ」で愛娘を誘拐・殺害した実行犯を天知茂と共に射殺した柳生博に美奈子さんのマネージャー役は本田繋がりの本田博太郎…松竹の女性アイドル映画にしては東映カラーが強い上に東映の味を知っている面々をよくもこれだけ集めたなぁと感じると共に美奈子さんの魅力を消してしまうのではとも思いましたが、天真爛漫な自然体と天性の実力に努力と云う名の鎧を着せた見事な歌唱力で東映カラーを見事に吹っ飛ばした、まだ二十歳であった美奈子さんの姿には素直に脱帽!恋愛と兄弟愛、更には仲間意識等々に苦悩する姿に関しても感性の鋭さ及びそれを表現する方法を知っていた(又は即座に習得した)と思える程ですし(元々は演歌歌手志望であったとも読み聞きしていますので、日本人らしい感性も当時の同年代の中では高かった可能性があるかもしれません。俺は演歌が大好きですので一度聴いてみたかったなぁ…)もし存命で映像作品にも出演する余裕が出来ていたならば現時点で押しも押されぬ大女優の称号を得ていたのではないかと思います。
 
 
只、制作・公開時期に恵まれなかったのでしょう。この頃は日本の映画業界にとっては苦悩の時期でしたし何かにつけて洋画と比べられて根拠の無い低評価を受けてしまった作品が多く、ましてやアイドル主演となればそれだけで数段低く見られていた程…当作品はそんな当時の状況をまともに受けてしまった可能性が高いですし知名度も低く浮上出来ずにいるのはそれが理由の一つでしょう。しかし観直せば「磨けば光る作品」は多々存在していますし「アイドル経験は市井の望む物事を熟す事で観る側の視点を身を以て知る事が出来る、役者修行の中では最も役立つ経験の一つ」と言えると思います。事実、アイドルとしてデビュー後役者として高評価を得ている方々は無数に居られるのですから・・・