列車内で偶然隣り合わせになった男と…東映東京「霧の港の赤い花」鶴田浩二/香川京子・村山新治監督 | 東映バカの部屋

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東映制作作品を主体として書いていますが、たまに他の話題も…一人でも多くの東映ファンが生まれる事を望みます!

皆様、こんばんは。
 
 
休み二日目の夜ですが、寒く自家用車は薄らと雪化粧…昨日日中は本日外出しなくてもいい様に必要な買物を済ませ、15年以上使用していたミニコンポが故障した為今回は電子チューナー式のラジオを購入しました、カセットテープは既に処分しましたしCDは自室ならばパソコンかブルーレイレコーダーで鑑賞可能ですので。実はパソコンでの打ち込み中・調理や掃除等々の家事中・運転中はほぼラジオを聴取しているのですが、テレビとはまた違う面白さがある上に結構新たな物事や情報を取得出来る長所が…しかも「ながら作業中」はテレビよりもいいですしね。因みに俺は余程の事が無い限りAMしか聴いていません、FMで聴きたいのはNHKの「夜のプレイリスト」位で他は放送設備点検・国会中継・ニュース速報等々でNHK第一放送の「ラジオ深夜便」「大相撲中継」等々が休止の場合に利用する程度です。尚、民放AM局の秋田放送はワイドFM放送を行ってはいるものの、FM補完中継局の親局化構想に不参加の為現時点ではAM放送が継続される予定となっています。
 
 
さて本日は此方の作品を…VHS化はされていますが未DVD化で、Google Play/U-NEXT(見放題対象作品)/Apple TV+/ビデオマーケット/Amazonプライムビデオ(東映オンデマンド対象作品)内に於いて有料動画配信が行われています。
 
 
「霧の港の赤い花」昭和37年2月21日公開・森田新脚本・村山新治監督・東映東京制作。尚、当作品はオープニングが「ニュー東映」となっていますが配給網の消滅により従来の東映の配給網で公開されています。
 
 

 

 

神戸発の夜行急行列車内で隣り合わせとなった大学教授夫人の香川京子と紳士を思わせる鶴田浩二、しかも降車地も同じく横浜。香川さんは海外から帰国する亭主を横浜港に迎えに行きましたが入港が数日遅れるとなった為学生時代の親友で酒場を営む岸田今日子の自宅に宿泊する事となります。そこで再会したのは鶴田のおやっさん…岸田さんとは旧知の仲でしたが実は鶴田のおやっさんは横浜を二分する二大組織の一方の幹部で麻薬取引を担当しており、神戸に行っていたのもそれ絡み。しかもその二大組織は傍目には見えぬ激しい火花を散らしており一触即発の状況でもあったのです。ところが鶴田のおやっさんは冷静に仕事を熟しながらも一目惚れした香川さんに熱を上げ、当の香川さんも鶴田のおやっさんの求愛を一度は拒絶し岸田さんも静止をしたものの、世間知らずの香川さんは危ない香りに惹き付けられ…

 
 

 
 
ギャング映画と恋愛映画の合わせ技!しかも都会的かつ洗練された東西の港町である神戸から物語が始まり横浜で恋が熟成する流れが当時としては相当に新鮮だったでしょう。そして東映のお家芸である男の系譜はかなり弱めで非常に端的、寧ろ「香川さんは亭主を選ぶのか?危ない香りのする鶴田のおやっさんを選ぶのか?」が見所ですし「既婚で子供も居ると二度と恋愛は出来ないが、気持ちだけは失いたくはない(ときめきを思い返したい)」等々、離縁とは無縁の常識的な恋愛感情を持っている女性であれば案外気に入って貰えそうな東映映画かと…又「香川さんを見初め、既婚者でありながらも執心したのは堅気になりたい気持ちにも見えれば困難から逃げ出したくなる衝動に陥り易い弱い男にも見えてくる鶴田のおやっさんの姿」ですが、これは「フランス映画擬きの脚本を気に入った鶴田のおやっさんが力を入れて演じた」のだそう(村山監督が自著内でお話をされていました。尚、俺はフランス映画どころか洋画をまず鑑賞しない為何とも感じませんでしたし、村山監督自身は「脚本の浅さ等々に気付かぬまま撮影に臨んだ為思い入れは薄い」と)。我慢芝居をさせれば未だに右に出る役者は居ない鶴田のおやっさんを知ってしまってから当作品を鑑賞すると物足りなさを感じるものの、芝居巧者である事には変わりは無いですし幼少期の実体験を大人の恋愛映画に生かして内面の弱いギャングの幹部を演じた様に思います。