無法の街を仕切る黒幕は意外にも…新東宝「右門捕物帖・片眼狼」嵐寛寿郎・中川信夫監督。 | 東映バカの部屋

東映バカの部屋

東映制作作品を主体として書いていますが、たまに他の話題も…一人でも多くの東映ファンが生まれる事を望みます!

新年あけましておめでとうございます。

 

 

昨年中も多くの方々からコメント等々を頂戴致しました事、心より感謝です。今年も変わらぬお付き合いを宜しくお願い致します。

 

 

そして、新年早々発生した大災害に逢われた方々にお悔やみ及びお見舞いを申し上げます。俺の郷里は東日本大震災で未曾有の被害を受けた地域が存在しましたし、逆に居住地は断続的な強い揺れに見舞われながらも停電以外の被害はありませんでしたが、この時心身が疲弊気味の年少者や高齢者の為に避難所でアニメや娯楽映画等々をDVDで流してくれないかとの要望も少なからずあったと聞いています。実際今回の報道でも「温かい物を食して元気が出た」とお話をされる方が居ましたし、疲れた心を僅かでも前向きにさせるのも立派な支援…もしそれが可能な環境に居られ加えて気持ちが許すのであれば一考して貰いたく思います。又、羽田事故に関しては事故発生時点で一方的に海上保安庁を非難している左翼の大馬鹿者が居ると相互読者さんの記事で知りましたし報道機関に於いても不均衡が見られます。全ての立場から客観的かつ冷静に見つめる必要性を再認識しなければなりませんし、様々な意見に耳を傾けたり対話に応じる左翼の方々にとっても迷惑千万でしょう(これは右翼側でも同様です)。

 

 

さて本日は有給休暇取得日の為明日からの夜勤が仕事始めとなりますが、色々と予定がある為簡単に此方の作品を…「右門捕物帖」と言えば大友柳太郎主演の東映京都制作版も存在しますが、今回は嵐寛寿郎主演の新東宝制作版です。未DVD化作品で有料動画配信も行われていませんが、YouTube「新東宝【公式】チャンネル」内に於いて1/5(金)12:59迄無料動画配信されています。

 

 

「右門捕物帖・片眼狼」昭和26年1月8日公開・佐々木味津三原作・豊田榮脚本・中川信夫監督・新東宝制作。

 
 

 

 

 

 

皆様もご存じでしょうが、大東亜戦争終結後から昭和26年9月迄は俗称「チャンバラ禁止令」がGHQ傘下のCIE(=民間情報教育局)から出されて、時代劇の制作は可能でも演出には規制が…当作品の主演である嵐寛寿郎は生前「映画でも舞台でも推理物である「右門捕物帖」位しか制作出来なかった」とお話をされていたそうです(しかし実際には「戦争の反省」「従来の主演像を覆す内容」「推理及び恋愛物」等々に転換し一定数の時代劇は制作されています)。その最中に制作されたこの作品は「短期間に複数の代官を失った無法の街に右門ことアラカンが片眼の素浪人に扮して、蔭の首領を打ちのめす物語」。右門役自体がアラカンの十八番ですから大船に揺られる程の安心感ですが、それ以上に感心したのは殺陣が不可能な分、場面によっては特別出演の榎本健一を担ぎ出してでもお祭り騒ぎの明るさで観客を高揚させ、謎の首領を最後の最後迄ひた隠しにし仮面を剥ぐ迄の流れとその意外性で観客の手に汗を握らせ、アラカンの素性を知らぬ女が一生を捧げても構わないと言う程に惚れる様子に観客は胸を熱くしそれが結末のほろ苦さにも繋がる…しかもこの後各社で制作された娯楽時代劇のみならず、映像作品全般に於いて新東宝、そして東映・日活の「観客目線最優先の三社の思考の基礎を提示した作品」にも見えて来ます。