子煩悩が取柄の子連れイカサマ胴師!東映東京「浪曲子守唄」千葉真一/下沢広之/嵯峨三智子 | 東映バカの部屋

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東映制作作品を主体として書いていますが、たまに他の話題も…一人でも多くの東映ファンが生まれる事を望みます!

皆様、こんばんは。

 

 

休み三日目の夜中です。残暑が厳しい上に少々落ち着いたもののガソリン価格は高いまま、更に外出/外食をすれば余計な出費となる為冷房を効かせた部屋で過ごし続けています。本日も体調と睡眠時間を完全に調整する必要がある為部屋に留まります。但し、居っ放しも良くありませんので半日に1度・10分程度外に出て散歩はしています。

 

 

さて本日はヒット歌謡を劇場公開作品化する事が非常に多かった昭和40年代に東映が制作した歌謡映画から…しかし、東映にも優れた歌謡映画は非常に多いのですが「任侠物・ヤクザ物・大馬鹿物・スケコマシ物・ポルノに準ずるお色気物」がほぼ全てである為か知名度も低ければ評価も今一つなのは残念…「歌謡映画=爽やかさが全面に出された青春群像劇・学園物・恋愛物」と限定する事は出来ないと思うのですがねぇ…未VHS/DVD化作品ですが、U-NEXT内(見放題対象作品)に於いて有料動画配信が行われています(尚、当シリーズ全3作品の鑑賞が可能です)。

 

 

「浪曲子守唄」(「一節太郎の子守唄シリーズ」第一弾)一節太郎歌唱の大ヒット曲「浪曲子守唄」を映像化した作品で太郎さんも酒場の流しとして出演しています。昭和41年11月25日公開・成澤昌茂原案/脚色兼任・池田雄一脚本・鷹森立一監督・東映東京制作。

 

 

 

 

これは個人的な余談ですが、20年程前に知人男性が子連れで再婚した時(離婚原因は女房の不倫、そして亭主が親権も獲得。一般的には余程の落ち度が無い限り親権は女房に行く事が殆どですが費用を抑える為若しくは勝ちを確信して弁護士を依頼しなかったのかなぁ…これは俺の憶測ですし一連の経過を聞いてもいませんが)「旦那が子連れの再婚ならば俺の十八番の「浪曲子守唄」を披露しても問題は一切無いのでは?ましてや二次会なら…」と、俺を始めとする東映映画が大好きなボンクラ野郎仲間は画策をしたのですが、結婚絡みの酒宴では「てんとうむしのサンバ」「未来予想図」等々でなければ絶対にいけないと確信している「夢見る夢子の女ども」にカラオケの予約を消去されてしまい歌えなかった思い出があります…何で奴等は「猛毒を効かせ大爆笑に誘いながらも心の感じられる余興」を受け入れられないのかが疑問です、俺は!因みにその夫妻は連れ子と云う壁が全く無いまま良好な家庭を築き今日に至ります。実はこの時「二次会では「別れても好きな人」「三年目の浮気」「極めつけ・お万の方」「シンボルロック」「後ろから前から」等々の「婚姻崩壊や卑猥・下品な歌以外は歌わない方向性で…」と画策しましたがボツ!楽しいし綺麗なだけよりもいい思い出になると今でも思いますし、もしこの後まかり間違って俺が家庭を持つ事となり婚姻祝いが開かれるとなったならばそうします、現時点では可能性すらありませんが…

 

 

女房の嵯峨三智子と離縁した際「息子の下沢広之(現・真田広之)は俺が立派に育てる!」と豪語した、嵯峨さん曰く「取柄は子煩悩だけ!」の千葉真一は一度はイカサマ胴師から足を洗い子連れで採石場の工夫として従事していたものの、親方の織本順吉との些細な言い争いから発展した大喧嘩で職を失い「表の顔は指人形を駆使した香具師・裏の顔はイカサマ賭博師として全国の賭場を転々と渡り歩き、追っ手がかかると次の土地に逃げる」を繰り返していました。しかし気掛かりなのは下沢さん…裏の顔は一切見せていなかった上に間もなく小学生になる年頃。そこで嵯峨さんが酒場を営む東京に赴き一度は下沢さんを預けようとしますが嵯峨さんの態度に立腹!しかも千葉ちゃんは安部徹が率いる組織の賭場でイカサマ胴師として重用されていたものの実は嵯峨さんは安部さんのイロ…更に数ヶ月前に千葉ちゃんが荒らした賭場の親分である根上淳の三下連中が千葉ちゃんを追って東京に根を下ろしたのですがその場所は安部さんの一家であった上に下沢さんを誘拐拉致した為「実母の嵯峨さんは他界した」と教えられていた筈の下沢さんと嵯峨さんが何も知らぬまま再会する事になります。下沢さんは「この子は実子」と感じ取った嵯峨さんの機転で無事解放後、電柱によじ登り千葉ちゃんを探している所を通りかかった祖母の浦辺粂子と雑貨屋を営む大原麗子との出逢いが殺伐一辺倒の日常だった千葉ちゃん親子、特に母性を知らぬ下沢さんにとっては普通の子供らしさを味わえる環境を得られた喜びは何事にも変えられぬ喜びとなり、その意を汲む様に千葉ちゃんも麗子さん達に下沢さんを預ける決断をしたのですが…

 

 

 

 

「悪党連中が義侠心の塊の弱点に付け込み色々と画策をするものの、仲間内や周囲とは決して一枚岩では無い事や情報の無知等々が目的完遂を迷走させる上に最後は滅びる物語」そこに「子煩悩な実父・言葉や行動とは裏腹の母性愛を実子に与える生みの母・血筋は無くても実父が侠客でも子供に愛情を無限に注ぎ込める女らしい娘と老婆」等々が絡む物語に主題歌「浪曲子守唄」はピタリと嵌る!しかも「後に師弟関係となる千葉ちゃん・下沢さんの信頼関係が映像作品を通じて築かれたのではないか?実生活では母性を知らぬまま育った嵯峨さんは自らが母親にして貰いたかった事・掛けて貰いたかった言葉等々を思いながら下沢さんとの芝居に臨んだのではないか?(この点は先日紹介した新東宝「地平線がぎらぎらっ」で子供達と「キラキラ星」を歌った主演のジェリー藤尾を観た際も同様の思いを抱きました)そして麗子さんは実弟に注いだ愛情をそのまま下沢さんに注いだのではないか?」と思える程、東映任侠映画作品群の中では親子愛・母性愛に溢れた作品です。

 

 

この様な作品であるからこそ安部さん・根上さんを筆頭に大村文武・今井健二・日尾孝司等々の「弱い者虐めそのものの極悪芝居」が際立ちますし、それに対する千葉ちゃんの怒りも「東映一のアクション俳優としての機敏さ・切れの良さ」等々を存分に生かした凄味と迫力・スピード感に溢れたものとなっています。特に運動神経・洞察力が優れていた事は目にも止まらぬ速さが求められるイカサマ博奕の場面に相当に生かされたのでは?当作品公開の約1年数ヶ月後に東映制作のテレビドラマ「キイハンター」のレギュラー出演者に選ばれ劇場公開作品に起用し難くなった東映側の事情もあったのでしょうが「千葉ちゃんが主演の東映任侠映画シリーズがもっと企画・制作されても良かったのでは?」と思った程です。

 

 

「続・浪曲子守唄」は当作品の正式な続篇ですので、可能であれば2作品連続鑑賞をお薦めします。

 

 

 

 

 

最後に、本日の買物帰りに寄った本屋でこの書籍を買いました(文藝春秋社・刊/\2.150-+税)。目次を見ただけでヤクザ映画好きにはたまらぬ内容であった為読むのが楽しみ!