害虫が害虫を破滅!石原プロ/東宝「ザ・ゴキブリ」渡哲也/峰岸隆之介/梢ひとみ・小谷承靖監督 | 東映バカの部屋

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東映制作作品を主体として書いていますが、たまに他の話題も…一人でも多くの東映ファンが生まれる事を望みます!

皆様、こんばんは。

 

 

夏期休暇四日目です。本日夕方に郷里の盛岡から秋田に戻り、明後日からの勤務に備えて明日はゆっくりします。何せ今週土曜日は休みの分通常出勤日となっていますし、猛暑はまだまだ続きそうですので…まあ長期休暇の際は「初日と最終日は秋田で過ごす」が常態化してはいますが…

 

 

さて本日は大凡1年半振りの東宝配給作品の紹介です。VHS/DVD化作品でひかりTVビデオ/Apple TV+/Amazonプライムビデオ内に於いて有料動画配信が行われています。又、chNECO内に於いて本日以降8/27(日)09:00・時間は本日時点で未定ですが9/7(木)に放映される予定です(HD放映)。

 

 

「ザ・ゴキブリ」(「ゴキブリシリーズ」第二弾)昭和48年12月1日公開・新岡勲原作・剣持亘/小谷承靖の共同脚本・小谷承靖監督・石原プロモーション/東宝の提携制作。

 

 

 

 

 

平たく言えば「毒を持って毒を制す=害虫を持って害虫を制す物語」停職中の刑事・渡哲也は極悪人・安部徹に対する過剰防衛の罪で服役していた元・刑事の峰岸隆之介(後の峰岸徹)の満期出所を出迎えたものの安部さんの三下に襲撃され峰岸さんが負傷した為、旧知の或る漁業組合に勤める高品格に峰岸さんの身柄を預けます。その後、安部さんの本陣が在る街の警察署に赴任しましたが、署長の伊沢一郎・刑事の青木義朗等々何処か焦臭さが…何故ならこの街の公害の元凶となっている企業の社長・南原宏治が安部さんと昵懇である上に顧問弁護士は元・検事の河津清三郎で署長の伊沢さんと談笑する様な仲でもあった為。そこで渡さんは垢に塗れていないと思われる若手刑事・沖雅也を従え害虫駆除を開始したのですが、時を同じくして南原さんの社で水質検査を行っていた研究員が謎の死を遂げ、その目撃者として得体の知れぬ女・梢ひとみが姿を現し…

 

 

 

 

「物語の整合性云々を問う迄も行かぬ解り易さ・観客の満足のみを追求したと感じられる派手なアクションとひとみさんを巧く生かした妖艶さ(因みにひとみさんの胸を触り接吻し交尾する権利を得たのは河津さんと安部さん!何時もは指を咥えて見ている方々に役得を与えた辺りは石原プロ創立者・石原裕次郎の人間性が見えてきそうな気も…)・登場時から怪しさを醸し出している面々を観る側の期待以上の演出と芝居で退場させる楽しさと面白さ」等々に溢れた傑作!正直に言ってこの作品を事細かに語る必要は無く、目の前に映し出される場面と放たれる台詞を手に汗を握りながら面白く楽しむ作品。又、当時東映制作「特別機動捜査隊」に出演かつ同じ班として活躍していた青木さん・伊沢さんが「上下関係・警察官としての信念共に真逆の役」で当作品に起用されているのもいい上に、得意としていながらもこの頃はそう多くはなかった悪役を水を得た魚の様に生き生きと演じられているのも印象的です。

 

 

この「ゴキブリシリーズ」の成功が後の「大都会」「西部警察」両シリーズの誕生に繋がったのは有名な話ですが「主演俳優から顔出し程度の役者・経営者・制作者に移行し、当シリーズの成功に胡座をかかずに「大都会シリーズ」で三者三様の物語を制作して視聴者の要望をきちんと掴み「西部警察シリーズ」の方向性を決定したと思われる裕さんの観客・視聴者第一主義」はきちんと評価をしなければなりません。多くの俳優が制作会社を立ち上げても失敗する例が多かったのは先述の思考の有無だったのではないかと思う程…裕さんも当初はテレビを格下に見ていたそうですが誤りに気付き即座に改めた事で石原プロ飛躍の起爆剤になったのでしょう。

 

 

余談ですが「ザ・ゴキブリ」の併映は東京映画制作・梶芽衣子主演の「修羅雪姫」そしてこの時の東映の公開番組は東映東京制作・安藤昇主演「実録安藤組・襲撃篇」東映京都制作・池玲子主演「恐怖女子高校・アニマル同級生」…東宝が東映を意識していた事は明らかですし「外部制作作品の配給・自社制作作品」の違いはあるものの先述した四作品は全てが及第点を上回る作品!対抗意識・観客動員確保等々に対する高い目標があったからこそ未だにファンを増やすいい作品が増産されていた昭和期は映像作品にとって本当に恵まれていた時代であったと再認識出来ますね。