純情可憐な苦悩と嫉妬は連続殺人の序章!新東宝「スター毒殺事件」天知茂/万里昌代・赤坂正義監督 | 東映バカの部屋

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皆様、こんばんは。

 

 

休み二日目の夜中です。先々週末の秋田市内は豪雨や河川氾濫に見舞われその傷跡は徐々に元の姿に戻りつつありますが、市内中央部の自動車専用道路(地下トンネル)は8/3(木)より始まる竿灯祭り迄の完全復旧の目論見は達成出来ず当面片側交互通行となり、市内全域に於いては今週より当面の間、古紙以外の資源塵は未回収となっています(資源塵を運搬する車両を災害塵の運搬に転用している為との話が知人から聞こえてきましたが、その他にも処理場の問題等々があるものと思います)。恐らく今回の秋田県内の直接的な被害総額は東日本大震災時を遙かに上回る結果になるのではないかと…

 

 

さて本日は此方の作品を…DVD化作品ですが有料動画配信は行われていません。

 

 

「スター毒殺事件」昭和32年5月3日公開・葭原幸造原案・葭原幸造/蓮池義雄の共同脚本・赤坂正義監督・新東宝制作。

 

 

 

 

家族包みの付き合いがあった関係で幼少期より顔見知りであった万里昌代を半ば強引に自身の所属する映画会社に入社させたスター俳優の天知茂…天知さんの口利きと天性の能力で万里さんは瞬く間に期待の新星として頭角を現しましたが、階段を上昇するに連れて人柄が変化して行き遂には天知さんのライバルであり女癖の悪さが知られていた江見渉(後の江見俊太郎)と急接近・婚約に至ります。万里さん・江見さんに見せ付けるかの様に同僚女優・三原葉子と同棲していた天知さんでしたが「万里さんと一緒に仕事が出来て結婚出来たらと思っていたのに、そしてボクの口利きで女優となりスターとなったのに…しかも江見さんはボクが出した企画を横取りして万里さんと共演し婚約なんて!」と、天知さんの純情可憐さは江見さんへの復讐を決意させたものの、これが連続殺人の序章、しかも予期せぬ事態が待ち受けているとはいざ知らず…

 

 

経営が思わしくなかった上に「早く・安く・面白く」を信条としていた新東宝にとっては自社の撮影所を存分に活用出来る上に「ちょっと出てくれよ!」とノーギャラ・ノンクレジットで役者を使えたでしょうから一石二鳥以上の旨味があったでしょう。しかも始めから犯人は解っているものの如何に自らを守り、その結果如何にして自らを破綻させてしまったのかの経緯も面白く「結末ギリギリ迄真犯人が判明しない手法だけが物語の構築法ではない事」を痛感させてくれます。

 

 

マダム・キラー」の異名を持った天知さんの眉間の皺は当作品でも或る程度は観られるものの、苦悩と生まれ持っての気弱さに呼応したかの様で「この頃から眉間の皺を意識して使い分けていたのか?」と思う程。心が余りにも綺麗過ぎるのも生きていく上では現実問題として、ねぇ…対して万里さんは目力が新東宝女優陣の中でも非常に強い為、序盤よりも中盤以降の芝居にそれが生かされていた様な気がします。そして俺は新東宝作品を鑑賞する際、沼田曜一が出演していると「善人なのか?それとも見事に期待を裏切るのか(嬉しい裏切りでもあるんですがね、悪党好きとしては…)?」と心躍らせる程大好きな俳優なのですが「友人として…」と天知さんに自首を薦める善人のままビルの屋上から転落死させられてしまいました!