昨日の敵は後の義兄弟、そして…東映東京「侠客三国志・佐渡ヶ島の決斗」鶴田浩二/大木実・佐伯清監督 | 東映バカの部屋

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東映制作作品を主体として書いていますが、たまに他の話題も…一人でも多くの東映ファンが生まれる事を望みます!

皆様、こんばんは。休み二日目の夜中です。

 

 

皆様報道等々でご存じでしょうが、昨日の秋田県内は数時間でひと月分の降雨に見舞われる状態となり、俺の住むアパートから至近距離の幹線道路も冠水で通行止めとなりました(但しこの箇所は今回の1/3程度の雨量でも集中的に降られれば同様の事が起きる冠水し易い道路でもありますし、周辺での床下浸水被害も発生していません)。現在は小康状態ではあるものの今週後半?来週末?何れにしろ梅雨の大暴れに対する警戒は緩められません。

 

 

さて本日は、現在U-NEXT内のみで有料動画配信が行われている作品です(見放題対象作品)。東映chを始めとする有料波での放映及びAmazonプライムビデオ内「東映オンデマンド」で鑑賞が困難か放映/配信が期待出来ない作品がU-NEXT内にはかなり有ります(但しピンキーバイオレンス・異常性愛路線等々の妖艶作品群と一般向けテレビドラマは東映オンデマンドの方が多く、一般の劇場公開作品に関しても毎月数作品ずつですが双方で鑑賞可能な作品が増え続けてはいます)。

 

 

「侠客三国志・佐渡ヶ島の決斗」昭和41年10月1日公開・村尾昭脚本・佐伯清監督・東映東京制作。東映ファンの血を沸き立たせるこの惹句、素晴らしいです!しかしこの古き良き野郎臭さ過積載の感性が現代では全く継承されていないのは残念無念ですし、寧ろこの様な時代だからこそこの類の作品や惹句に飛び付く方々も多いとは思うのですが…

 

 

 

 

舞台は日清戦争に明け暮れていた頃の佐渡金山…此処では人手不足解消の為に全国から囚人が集められ(過酷かつ命の危険も相当ですが、後々業績次第で月に一度の外出が認められている環境である為それだけでも囚人達には天国でしょうね。但しこれは史実に基づいたものなのかは不明です)囚人衆の纏め役は鶴田浩二・大木実に任されていましたが、新たな工夫として送られて来た内の一人、菅原謙二が娑婆に於いては大木若頭の目の上の瘤であった為双方の班にとって火種となったのです。しかも菅原さんと恋仲である田村奈美が面会の際所属組織の衰退を伝えた上に佐渡に残り、久保菜穂子が営む酒場に住み込みで働きながら帰りを待つ事となった為、菅原さんは脱獄の意志を鶴田のおやっさんに伝えましたがその時点では思い留まります。しかし菅原さんを執拗に虐める看守を大木若頭の班の暴れん坊が殺害した上に恩と罪を着せ、菅原さんが懲罰として見せしめの小さな鉄格子に入れられ屋外放置されているのを見た鶴田のおやっさんは脱獄の意志が組織の為である事を知っていた為、班員全員に手を貸す様に頭を下げ実行に移しましたがその甲斐無く菅原さんは島内で身柄を拘束された上に絶命します。大木若頭がこの事件の真実を知ったのは菅原さんの死後…そしてこの後に起きた落盤事故での救出活動での功績が認められ満期を繰上げた上での釈放となった二人は和解し、盃こそ交わさなかったものの実質義兄弟の関係を結んだのですが…

 

 

 

 

東映作品では「監獄博徒」「三池監獄・凶悪犯」(双方共に鶴田浩二主演・小沢茂弘監督・東映京都制作で囚人炭鉱が舞台であるのも共通しています)と舞台設定等々が似通っていますが「限られた自由が存在する・諍いのほぼ全てが他人を助ける為に起きている上に全般に満遍なく鏤められている・色恋沙汰がこの種にしては強め・序盤から2/3は菅原さんが主軸で鶴田のおやっさん及び大木若頭の見せ所は残りの1/3で濃厚に描かれる」等々、内容に関しては趣を異とする点も多いですし、菅原さんや重鎮の大友柳太郎も芝居巧者かつ同様の実力の持ち主ではあるものの「共演者の芝居を引き立てる実力があるからこそ自らの芝居も光り輝く事を知っている鶴田のおやっさん・大木若頭の実力が得意分野で更に光り輝いたかの様」に見えて来ます。しかも、我慢芝居では未だに右に出る者が居ない鶴田のおやっさんに言われたら菅原さんも思い留まるしかない…しかしその意志を知っているからこそ自らが周囲に頭を下げてでも、危険を伴う事を重々承知しながらも我慢から解き放してあげようとする思い遣りも得意の我慢芝居を更に引き立てています。知らぬ事であったとは云え過ちに対して素直に謝罪かつ水に流して新たな関係を構築し、その思いを娑婆で示そうとして兄貴分との関係断絶を覚悟の上で筋を通そうとした際の悲劇的な最期も大木若頭らしさ。

 

 

余談かつ当作品とは無関係の事ですが、YouTubeで鶴田のおやっさんの歌唱を聴く事が非常に多いのですが、一度だけテレビ番組での共演経験があるとの話を何処かで読み聞きした記憶があるものの(歌番組?対談番組?何方かは失念しましたが…)関係は希薄と思っていた鶴田のおやっさんと石原裕次郎…しかし鶴田のおやっさんが歌唱した「恋の町札幌」「ブランデーグラス」そして裕さんが歌唱した「赤と黒のブルース」と、意外な関係性を発見しました。これは今迄知らなかった…そして更に探せば別の楽曲が発見出来るかもしれません。