偽医者でも社会への貢献が可能?松竹「喜劇・命のお値段」フランキー堺/萩原健一/財津一郎 | 東映バカの部屋

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東映制作作品を主体として書いていますが、たまに他の話題も…一人でも多くの東映ファンが生まれる事を望みます!

皆様、こんにちは。

 

 

昨日の20時に勤務を終え来週月曜日11時の勤務開始時迄の春期休暇に入り、明日から三日間郷里の盛岡に帰省します。そして本日は憲法記念日…一年の内今日位は真剣に国家の事を一時間でも考えるのも良いのでは?因みに俺は九条改正支持ですが、護憲/改憲云々は不問で先ずは我国の憲法を容易に理解可能な事からでも構わないので知り、自身の考え方を端的にでも持てば選挙時の投票等々に少しでも繋がって行くのではないかと思いますので周囲の意見や情報等々に感化され過ぎぬ範囲で実行して下さればと思います。

 

 

そして本日はU-NEXT(見放題対象作品)/Amazonプライムビデオ/Google Play/フジテレビオンデマンド/YouTubeムービー内に於いて有料動画配信が行われている作品からです。過去にVHSは発売されていますが、面白さを思うとDVD化してもいい様に思うなぁ…

 

 

「喜劇・命のお値段」昭和46年7月24日公開・満友敬二/前田陽一の共同脚本・前田陽一監督・松竹制作。

 

 

 

西日本の離島生まれのフランキー堺と財津一郎は幼馴染みかつ詐欺師…服役満了後真面な生活をしようと心に誓ったものの同窓会の為に帰郷した際子供が急病で苦しむ姿を看過できなかった堺さんは「俺は医者!」と偽り、闇医者の経験を生かして子供を救います。何故ならこの島は無医村であったから…そして二人は再度上京すると、開業医の実子で医科大学生ながらも家業を継ぐ気が一切無い萩原健一の目に叶った為、偽造した医師免許を元に本格的な診察治療を開始します。しかも医師会会長の手術に成功してしまったのですから評判は鰻上り!更にその名声を聞き付けた大女優の加賀まりこが「ケツが痒いの…」と訪れたかと思えば同様の病状を訴える患者が多いのに気付き調べてみると、過去に堺さん・財津さんを痛い目に遭わせた太宰久雄が営む食品会社に行き当たり…

 

 

病院を舞台としている作品ではありますが、感動を誘う方向ではなくかなり毒を効かせた喜劇に振っている上に目的は名声と社会正義と思わせながら身体を張って大金を手にする欲望一筋を描いたのは大正解と思います。しかも猛毒を盛るだけ盛っていたのは堺さん・財津さんだけではなく萩原さんが歓迎と称して招待した酒場の女将・岡田茉莉子と女給の面々も凄い!何故なら健常者ながらも「同情するなら金をくれ!」と言わんばかりに全員が唖(おし)を装い店名も「サイレント」とする程の徹底振り!まぁこの様な内容ではあるものの、当作品公開当時は現在とは違う食品問題(食用油に劇物混入・人工甘味料に対する法規制強化等々)が騒がれていましたので観客目線に寄り添い市井の鬱憤を幾分晴らしてくれたとは思いますし、健常者が障害者を装いながらも堺さんの愛情はその壁が全く無かった為に岡田さんがつい言葉を発してしまったりと人間らしさにも溢れている…

 

 

そして一番の要所は「詐欺師(=偽医者)には社会貢献が可能なのか?」例え一番の目的が私利私欲であったとしても「結果良ければ全て良し=私利私欲の副産物ながらも問題の根本を抉り出し解決の糸口が見つかった」のですから…東映を筆頭に各社が送り出した「侠客は堅気衆に尽くし、又救えるのか?」を詐欺師に変え、猛毒の効いた喜劇調で頭から爪先まで貫いた傑作です!ほのぼのとした喜劇が得意と言われる松竹ですが、当作品の様な「脱線・猛毒路線の喜劇」も案外多く、しかもかなり面白いです。しかし「男はつらいよ」「釣りバカ日誌」両シリーズや山田洋次に代表される「松竹大船調」の印象に遠慮しているのか解りませんが、他の喜劇作品に関しても積極的に上映・動画配信・放映・ソフト化を行って下さる様に望みます。