生めよ増せよに乗じた後始末が…新東宝「金語楼の子宝騒動」柳家金語楼/美空ひばり/浦辺粂子 | 東映バカの部屋

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東映制作作品を主体として書いていますが、たまに他の話題も…一人でも多くの東映ファンが生まれる事を望みます!

皆様、こんにちは。

 

 

昨日の22時に勤務を終え月曜日11時迄の休みです。因みに春期休暇は憲法記念日から五日間ですが郷里の盛岡に帰省するかはまだ解りません、業務状況次第ですので…今週は出勤時間が毎日変更の憂き目に遭いましたが、たまたま部署内の面々で有給休暇取得者が複数重複してしまったのですから仕方がありません。俺も来月は取得予定ですのでお互い様です。

 

 

さて本日はDVD化作品でU-NEXT内では見放題対象作品として有料動画配信が行われている此方の作品です。尚、一部情報が錯綜している点がありますが、ウィキペディア及びMOVIE WALKER 

PRESSに従っていますので、もし間違いがありましたならば何卒ご容赦下さい。

 

 

「金語楼の子宝騒動」(初公開時の作品名「あきれた娘たち」の改題縮尺版)昭和24年10月10日公開(この公開日が初公開なのか?再公開なのか?は本日時点では判別が付きませんでした)・阿木翁助原作・八住利雄脚本・斎藤寅次郎監督・新東宝制作。

 

 

 

 

銀行員である柳家金語楼は浦辺粂子を馬下に、戦前から戦中にかけて「生めよ増せよ!」の国策に素直に従い12人の子供を量産し、大東亜戦争終結後には孫も三人…国策に協力した功績から表彰を受けた事もありましたがそのお陰で家計は毎日火の車であった上に強盗未遂事件に遭ったのを切欠に銀行を依願退職しそれを元手に商売を始めようと考え始めると独立し家を離れた息子・娘が様々な理由を付けて金を無心に訪れたりと悩みの種は尽きません。金語楼師匠自身はこれ以上子供は増やせないと殺精子剤とペッサリーを購入しようとしたり、辞書を買ってくれないと高校生の娘は本屋で万引きをしてしまったり、結婚適齢期の娘の婚姻を考えてあげたり、将又親類が子供の一人である美空ひばりを大いに気に入り養子として譲り受けたいと申し出られたり…その様な中、お嬢の養子縁組や同居中の娘婿の北海道へ移住実行により家計の負担軽減が計られ始めた矢先、浦辺さんが寝込んでしまい…

 

 

 

 

子宝を描いた映像作品となると、我国では「トラック野郎シリーズ」異国では「サウンドオブミュージック」となるかと思います。因みに俺は「トラック野郎シリーズ」は全ての映像作品の中で一番好きですし古き良き時代を思い起こさせる超一流の娯楽作品としてお薦めですが「サウンドオブミュージック」は得る物の一切無い感動の押売作品として一切評価もしなければお薦めもしない最低最悪の駄目作品(私感。実生活上でこれを言うと嫌悪される事もあれば映画好きではないと言われた事もあるのですが体質上及び嗜好上どうしても駄目ですしそうとしか受け止められません)。

 

 

それでは「金語楼の子宝騒動」はどうか?と云えば…お薦めする一級の作品です。大東亜戦争には功績も数多くありますが市井の目線で見た場合には「生活必需品不足」「猫目錠と称された覚醒剤中毒患者の蔓延及び戦後の数年間は医薬品としての許可を得た関係による更なる問題の拡大」そして「生めよ増やせよの国策が生み出した大家族貧困家庭の爆発的発生とその弊害をモロに受けた女性の健康問題」は明らかに「負の遺産」。但し戦に関しては我国に限らず、及び戦の勝敗不問でな何らかの負は存在していますので…その「負の遺産」を隣家の主・花菱アチャコとの関係性では完全なる喜劇調で、父子関係では世代間の壁を中心とした対立調で、そして浦辺さんとの夫婦関係は如何なる修羅場も対話で乗り越えてきた事が垣間見られる信頼調で描かれている多面性と一つ一つの端的な奥深さが良さ!もしかしたら「トラック野郎シリーズ」に於けるジョナサン一家の雛形は当作品にあるのでは?とも感じた程です。

 

 

そしてやはり、当時若干12歳のお嬢の歌声は聴惚れます!私感ですが俺は未だにお嬢を上回る歌唱力と表現力を持つ「大衆娯楽に寄り添った歌手」は世界中を見回しても存在しないと思っていますし今後も出て来ないのでは?と考えている程。しかも女優としての実力も本職顔負けの巧さでしたから…生まれ持っての素質なのでしょうが、それに胡座をかかずに精進を継続した点も忘れてはなりません。これぞ我国の宝!