化物は守護神であり閻魔でもある!大映京都「東海道お化け道中」本郷功次郞/戸浦六宏/古城門昌美 | 東映バカの部屋

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東映制作作品を主体として書いていますが、たまに他の話題も…一人でも多くの東映ファンが生まれる事を望みます!

皆様、こんにちは。

 

 

昨日22時に勤務を追え、月曜日11時迄の休みに入りました。連休前は毎年物量が激増するのですが今年もその例に漏れず…本来であれば時間外勤務で淡々と消化しなければならぬのですが部署内で或る工事が今週末に行われている為来週は猫の手を借りたい程の忙しさとなる事確実です。

 

 

さて、今月よりU-NEXTの見放題作品には大映作品が大幅に追加されました。そこで本日はその中から…昨年東京都内等々一部の地域で劇場公開もされた模様です。

 

 

「東海道お化け道中」(「大映妖怪三部作」第三弾)昭和44年3月12日公開・吉田哲郎/浅井昭三郎の共同脚本・安田公義/黒田義之の共同監督・大映京都制作。DVD化作品でひかりTVビデオ/ビデオマーケット/iTunes/ U-NEXT(見放題対象作品)内に於いて有料動画配信が行われています。又、現在YouTube内に全篇鑑賞可能な動画が上げられていますが公式動画では無い為何時迄観られるかは全く保証無し…

 

 

 

 

 

東海道・藤川の鬼塚で宮守の玉置一恵と塚守りの左卜全が惨殺されます。卜全さんは絶命する直前、同居していた孫娘の古城門昌美(東映京都制作「緋牡丹博徒・花札勝負」で盲目の幼女を演じた子役)に「実父は由比に居る、そこに行け!」と告げると共に親子の証明となる賽子を手渡し、そこから昌美さんの一人旅が始まります。玉置さんと卜全さんに手をかけた上野山功一等々に追われながら…その道中を見守る事となったのは途中で出逢った渡世人で同業の戸浦六宏及び玉置さん・卜全さんを葬った一家の用心棒の五味龍太郎に付け狙われていた本郷功次郞と浜松の馬子の保積ペペ、そして東海道に住み着く数多くの妖怪達、更には卜全さんから渡された賽子迄が味方をし…

 

 

 

 

公開日や併映作品が「ガメラシリーズ」の一篇である事から「東映まんがまつりへの対抗策として親子動員を目論んだ春休み興行番組」と容易に想像出来ますが「劇場公開専用の長篇動画作品にテレビ動画作品及びテレビ特撮作品の再編集版(後者に関しては完全な新作を制作公開した事もありますが限定されます)を組み合わせた物量作戦の一面が垣間見られる東映」に対し「当作品公開の数年前に膨大な債務が発覚しながらも自社内制の独自新作に固執し、量より質で勝負に臨んだ大映」の構図が見えて来ます。この点は「永田ラッパ」こと永田雅一・大映社長が絶対に譲られなかった信念かつ大映の良心と言ってもいいかと思います。

 

 

そして「子供は大喜びでも父母・祖父母は熟睡していたであろう東映まんがまつり。子供は子供視点で、父母・祖父母は成人視点で面白さや楽しさを見い出していたであろう大映特撮番組」だったのではないかと…実際当作品は「股旅に怪奇を組み合わせ、侠客道と妖怪が一緒に弱きを助け強気を挫く展開」「まだ見たことの無い父親との意外な出逢い方」「幼女を相手にいかさま博奕を仕掛けようとしながらも思う様に行かぬ深い理由」等々、ヤクザ映画・任侠映画好きでも楽しめる要素が80分に満たぬ枠内に盛り沢山!同時に当作品を手掛けられた一人である黒田監督は「妖怪を人間だと思って撮った。様々な人間が居るが妖怪の方が人間よりずっとまし」と言っていたそうですが(ウィキペディア「東海道お化け道中」より抜粋)そこから感じるのは「化物=恐怖ではなく、守護神にもなれば閻魔にもなる。何故なら化物も前世は人間だったのだから」と…先に制作・公開された「妖怪大戦争」「妖怪百物語」(此方も俺としてはお薦めです)と比べると知名度及び評価が今一つなのは「妖怪の登場及び活躍度合いが先の二作品に比べ少ない為」かとは思いますが「東海道お化け道中」が昨年の劇場公開で再評価の機会を得られた事は嬉しい限りです。