結婚相談所は売女(ばいた)量産所!日活「結婚相談」芦川いずみ/高橋昌也/沢村貞子・今月放映 | 東映バカの部屋

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東映制作作品を主体として書いていますが、たまに他の話題も…一人でも多くの東映ファンが生まれる事を望みます!

●本日紹介の作品は初公開時点では成人映画指定であった為「日活作品(ロマンポルノ他成人指定作品)」のテーマの枠内として取り扱います。

 

 

皆様、こんばんは。

 

 

休み二日目の夜中です。昨日は車検の見積もりをお願いしていた関係でろくに寝ていませんでしたので夕方からかなり長目の昼寝?夕寝?となりました。夕飯もこれからですし明日も昼辺りに起床し飯前に向かいの小学校に投票に行く予定です。因みに来週土曜日は通常出勤です。

 

 

さて本日は4/28(金)06:00よりchNECOでHD放映予定の此方の作品です。DVD化作品でAmazonプライムビデオ内(Amazonプライム会員見放題対象作品)に於いて有料動画配信が行われています。芦川いずみ主演ですが公開当時は成人指定…しかし今回は早朝放映ですし過去には日中に放映された事もありますの映倫の再審査でG指定(又はPG-12指定)に変更されたものと思います。

 

 

「結婚相談」昭和40年11月23日公開・円地文子原作・須藤勝人脚本・中平康監督・日活制作。

 

 

 

 

 

引っ込み思案であった上に一家の大黒柱として実母・実妹を支えていた為に婚期を逃し三十路を迎えた芦川いずみ…同僚ばかりか後輩女子社員迄もが結婚退社したり盛んに交際している姿を目の当たりにし焦りがあったいずみさんは沢村貞子が営む結婚相談所に出向き男性の紹介を受け出逢いを続けていましたが、中々交際に発展しない。そんな思い通りに事が進まぬ中で紹介された初老の果樹園経営者に亡き父の姿を見たいずみさんはここで処女貫通式を迎えたのですが、数日後にその男性には妻子が居る事が判明した上に沢村さんに無断での交尾を咎められ愕然とします。

 

 

実はこの結婚相談所、看板は名ばかりで売女(ばいた)の量産所でありいずみさんが見合いした男性達もその構成員!その事実を知りヤケクソになったいずみさんは野郎の白い小便を排出させる公衆便所となり、後に公金横領の嫌疑をかけられる高橋昌也や山岳遭難事故に遭遇後キチガイとなった良家の一人息子の一夜妻を命じられる羽目となり…

 

 

 

 

当作品が公開された頃はピンク映画全体の年間興行収益が松竹や東宝の年間興行収益をも上回る事が判明し「奴らだけに設けさせる筋合いは無い!」と岡田茂・前東映名誉会長が大手映画会社では初めて成人向け映画を制作し始めていますが、日活も東映程ではないもののこの類に手を出し始めていたとは(この後日活はロマンポルノ転換前に藤木孝/山本昌平主演「ある色魔の告白・色欲の果て」葉山良二/名和宏主演「女浮世風呂」等々、良質の成人指定映画を幾つか制作しています)。しかも「いずみさんが成人指定映画に!」と云うのは日活ファンにとっては衝撃だったでしょうし現代になってから日活作品に惹かれている方々にとっても同じでしょう(一般作品も膨大ならば成人指定作品も大量に制作したのは東映と日活…しかし制作に至った経緯や「並行制作か?一大転換か?」等々の差異がある為「劇場公開作品からテレビドラマ迄全てを一緒くたに捉えている場合が多い東映ファン」「昭和46年を境として別物と捉えている方が大半の日活ファン」と、ボンクラ臭さと淫靡を得意とした両社でもファンの見方と捉え方は全く違う印象を持っています。そこがまた面白い所でもありますが…余談ですが松竹も「東活」名義でポルノ映画を大量生産をしていましたが、一作品を除き原盤すら存在しないと言われている上に鑑賞が不可能なのは残念)。

 

 

しかし、いずみさんもいい時期に大きな殻を破ったのではないかと思います。少々遅いのでは?との声も聞こえて来そうですが清純派真っ只中の頃の主演作「美しい庵主さん」で尼を演じた際には丸坊主になる等々、別な形で少しずつ殻を破ってはいましたし、当作出演後「嵐を呼ぶ男(渡哲也主演版)」「日本任侠伝・血祭り喧嘩状」「大幹部・無頼」「娘の季節」等々で過去を振り向かぬ様な姿勢で「遣手の女傑」「盲目の女侠客」「泥水を啜り続けるパンスケ」「嫌われ者の女上司」等々を見事に演じ切ったのですから…顔見せ程度の役では藤田まこと主演「喜劇・大風呂敷」に於ける五代目・三遊亭円楽の女房役と云うのもありました。

 

 

 

 

少々脱線が長くなりましたが「名ばかりに囚われては大火傷をする実態」を三十路の女性の生態に変えて教えているかの様…多分原作は実例を元に描かれたのだと推測をしますし、その落とし穴の深さと這い上がる苦しみも中平監督のお家芸であった快速感で気持ち良く観られます。又、東映京都制作「仁義なき戦いシリーズ」正篇五部作の様に「騙す手法が本格的ながらも見方を変えれば笑いにもにもなり得る場面の存在」が面白い。そして「いずみさんが受けた一時期のどん底を自ら這い上がった労いとも感じさせる爽快感抜群の結末は、女優として大きな殻を破ってくれたいずみさんに対する中平監督の感謝が溢れている様」で心地いい。

 

 

作品題目や惹句も中々の出来だと思いますが…東映ファンの視点でどうしても悪い事を考えてしまいます。「もし岡田名誉会長の手にかかったならば、題目も惹句ももっとえげつない方向に向かったのではないか、そしてそのえげつなさを是非共知ってみたいなぁ…」と。何せ佐久間良子の主演作品でそれを本当に実行し佐久間さんを号泣させただけに留まらず東映退社の決定的理由を作ってしまった張本人ですから。しかしボンクラ野郎はえげつなさとその様な秘話を非常に好みますから岡田名誉会長の姿勢を両手を挙げて支持しますしご本人が既に鬼籍に入られていますので実現が不可能でも知ってみたくなるなるものなんです。