五戒を破り神棚を破壊し私欲に生きる破戒僧!大映京都「やくざ坊主」勝新太郎/渡辺文雄/成田三樹夫 | 東映バカの部屋

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東映制作作品を主体として書いていますが、たまに他の話題も…一人でも多くの東映ファンが生まれる事を望みます!

皆様、こんばんは。

 

 

休み二日目の夜中です。寒さは然程でも無く一服をしに屋外に出るとこの時間帯であるにもかかわらず「ポタポタ」と雪が融解する音が聞こえます。実は喫煙本数を徐々に減らす為に屋外のみで吸う様に心掛け、3ヶ月前の半分以下(10本以下)になっています。数年前迄は一生喫煙は止められないと思っていたのですが加齢及び今後も値上げの波が止まらぬ事を踏まえ、健康面以上に家計面で今後半年以内に禁煙をと考えています。

 

 

さて本日も昨日に引き続き、GYAO!内で無料動画配信されている作品から…当作品は3月14日(火)23:59迄配信されています。尚、DVD化作品でAmazonプライムビデオ(シネマコレクション by KADOKAWA対象作品。単品レンタルも可能)内に於いて有料動画配信が行われています。

 

 

「やくざ坊主」昭和42年11月15日公開・高岩肇脚本・安田公義監督・大映京都制作。

 

 

 

 

 

多々良純が住職を務める荒れ放題の貧乏寺に突如顔を現した流れ者の坊主・勝新太郎…それと時を同じくして葬儀が舞い込んだもののそれはこの地を縄張とするやくざが敵対組織を騙し討ちにして独占を狙ったものと判明した時、勝新はそれをネタに組織を強請った上に親分を殺害・遺棄します。そして住職の立場を乗っ取った上に「連れ込み宿と覗きで二重に儲け、強請りが弱味となる者は徹底的に強請る」「寺の水揚げだから寺銭と博奕開帳!しかも寺社奉行に乗り込まれた際の準備も万端」等々、序盤から五戒(嘘・女・酒・盗み・殺し)を犯している上にある時には神棚を掛矢で木っ端微塵にしてしまう…この行為を女郎屋の主人・渡辺文雄は歓迎しやくざの小松方正は煙たがり、また用心棒の成田三樹夫は殺すのは惜しい男と決着を引き延ばすのですが、勝新が岡場所を自らの金のなる木にしようと画策を始めた時から争いは更に激しくなり…

 

 

 

 

「印籠を渡すのも坊主の務め」と真面な台詞も飛び出すものの、勝新の実兄である若山富三郎が演じた東映京都制作で当作と内容が似た後発作品「極悪坊主シリーズ」の若山先生が微笑ましく見える程(事実「極悪坊主シリーズ」は笑いと卑猥さ、人情が「やくざ坊主」の5割増ながらも凄味と迫力は双璧です)「やくざ坊主」勝新は「凶暴・猛烈な悪・私欲の塊」!五戒を犯すに留まらず「島抜けした囚人を匿う代わりに顎で使う」「助けを求め駆け込んで来た薄幸な生娘を救って遣った謝礼代わりにと処女を奪う」等々、これでもかと言わんばかりの悪の百貨店!しかも処女を奪った生娘が再びこの寺院を訪れ小間使いになったかと思いきや有り金全てを持ち逃げした上に囚人をたぶらかし御上に売って笑顔でその場を立ち去る性格に変貌させているのですから罪深さは倍増し!

 

 

でも、岡場所の女郎で「とろろ芋と坊主は好きになれない」と言っていた筈の小川真由美と、小松さんの情婦ながらも口ばかりで煮え切らぬ事に苛立っていた久保菜穂子は「何れは勝新に抱かれる運命にある」と悟っていた様子が伺えます。しかし勝新自身「一度寝た女は二度と抱かない主義」を貫いているばかりか、金蔓や金銭・権益等々に関しても「元はタダから始めたモノ!」と、私欲の強さの割にはアヤの付いたモノは要らぬと言わんばかりのあっさりとしている面を持ち合わせており、同時にその日暮らしが性に合っている事を認識している様子が結末から解ります。

 

 

そして共演者で最も注目すべきはやはりナベさん!この作品は大映作品だから、東映作品の様な役とは違うのではないかと別の期待を持たせながら東映ファン独特の期待を裏切らぬ極悪芝居に転換してくれています!又、当作品に関しては善人は一人も登場しませんが、ここ迄悪に徹してくれている作品ですから面白く楽しいのは当然かつ潔さ・清々しさをも感じさせてくれます!悪が生き生きしている作品は最上の娯楽です!