海が見たい、墓を建てたい、その想いは木っ端微塵に…松竹配給「大地の子守歌」無料動画配信中 | 東映バカの部屋

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東映制作作品を主体として書いていますが、たまに他の話題も…一人でも多くの東映ファンが生まれる事を望みます!

皆様、こんにちは。

 

 

昨日23時に勤務を終え月曜日11時の勤務開始時迄の休みです。今週は火曜日から昨日迄3時間残業続きでしたが、毎度「疲労は何れ金に変わる」と気持ちを変えて臨めば何て事は無いです。休める時は休めて稼げる時は稼げばいいのですから…しかし「考え方は人夫々」「労働関連法の関係」等々がありますから強制は不可能であるものの、雇用形態不問で「1分1秒たりとも定時勤務時間を死守し、受け持った仕事が中途半端でもまともな引き継ぎすらせずに放置して退社する輩」「残業・休日出勤要請等々を絶対に受けぬのに休憩時間は1秒も無駄にせず自らの要求は何処迄も貫こうとする輩」等々が多いのは如何なモノか…「法律に抵触はしていない・労働者の正当な権利要求」等々と言われれば受け入れざるを得ないのは確かなのですが、その前に「組織は一人が皆の為に、皆が一人の為にが基本=自らの物事を1.2割犠牲又は我慢したりしてこそ良好な関係及び助け合いが生まれそれが常態化するモノ」ですから、余りに法律・権利云々と言い張るのは日本人として、組織の一員としては欠陥人間ではないかと感じてしまいます。東映京都制作「まむしの兄弟シリーズ」で主演の菅原文太が「法律じゃ何だと抜かす奴は人間の屑!」と言い放つ場面が在るのですが、全てがこの感覚では勿論いけません。しかし、物事及び時と場合によってはこの台詞が正論となる事実及び「気持ちがあってこその法や規則である」と意識して欲しいと願います。

 

 

さて本日は女性の情念を描かせれば我国の第一人者の一人」かつ大好きな監督の一人・増村保造の作品から…DVD化作品で有料動画配信は行われていませんが3/1(水)23:59迄GYAO!内に於いて無料動画配信が行われています。

 

 

「大地の子守歌」昭和51年6月12日公開・素九鬼子原作・白坂依志夫脚本・増村保造監督・行動社/木村プロの共同制作・松竹配給。

 

 

 

 

 

ウィキペディア「大地の子守歌」を読んで知りましたが、脚本を担当された白坂先生によれば「小説と映画は別物…しかし、一流の小説家は何も言わないが二流以下、特に女流作家は五月蠅い」のだそうです。因みに当作品に関して素九先生は「小説と映画は別物ですからお好きにどうぞ!」だったそうで…娯楽映像作品好きからしたら拍手喝采かつ、監督・脚本担当者を中心とした制作側にとってもこれ程有難く現場が活気付き遣り易くなる感謝の一言です。

 

 

昭和初期、お遍路の旅を始めようとしていた原田美枝子…原田さんは遡る事数年前には伊予の山間部で祖母・賀原夏子と暮らし自給自足の生活をしていたものの、祖母の死後原田さんを訪ねて来た見知らぬ男・木村元に「毎日新鮮な魚が食せる・綺麗な衣服を着られる・祖母の墓を建立出来る金銭が短期間で手に入る」と言われ「海が見たい」との思いもあり広島・呉の御手洗に赴きましたがそこは女郎屋で、同じく女衒であった木村さんに騙されて来た女性達が毎日身体を売っていたのです。世間も常識も知らぬ原田さんは小間使いの時点で親方夫婦を困惑させる一方で無謀が大金を呼び込んだ事も在り立ち位置は何とも言えず…しかし、陰部から大量の出血をしてしまった際それに驚き女郎屋を飛び出し、母親も祖母も居らず初潮すら知らなかった原田さんは…

 

 

 

 

時折お遍路姿の原田さんが挿入されてはいるのですが、基本線は「何も知らぬまま祖母の言われるが通りに生き、祖母の遺した言葉以外を信じぬ可愛い顔をした原田さんの暴走機関車振り」御手洗で知り合った人間の中で或る程度心を開いていたのはこの地の商店の看板娘の中川美穂子・初潮に驚き女郎屋を飛び出した際に声を掛けた農夫の梶芽衣子のみ…しかし、余りの頑固さに終盤近くには中川さんの堪忍袋の緒が切れる場面が存在しますし、厚意ながらも梶さんの親切心が原田さんを更に苦しめる結果となりました。その一方で「覚悟が決まれば度胸が据わり勝たなければ気が済まぬ強さが宿った」のも事実で、この点は賀原さんの数少ない功績と言えるでしょう。

 

 

これがどう転換するのか…それは終盤近くになり或る騒動が発端で再度女郎屋を飛び出した際、賀原さんの言葉を思い出して大地に耳を当てた直後に出逢った岡田英次が鍵を握りますし、宣伝媒体等々に掲載されている原田さんの両手を合わせた姿こそが結末そのもの!此処に辿り着く迄の過程を存分に目に焼き付けて「信じ合う心と感謝の大切さ」を改めて感じて欲しい…描写にはかなり痛々しいモノも存在していますが、だからこそ人間として不可欠な思考を表向きが綺麗なだけの映像作品以上に再認識させてくれる傑作です。尚、先述した農夫役の梶さんは出演時間こそ1.2分ですが、母性本能と同性だから理解し得る優しさが同居した特筆モノの芝居!さすがです!