白タクの元締内定を通じて判明する汚職事案…日活「機動捜査班・都会の牙」小杉勇監督 | 東映バカの部屋

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東映制作作品を主体として書いていますが、たまに他の話題も…一人でも多くの東映ファンが生まれる事を望みます!

皆様、こんにちは。

 

 

昨日20時に勤務を終え、月曜日9時の勤務開始時迄の休みです(月曜日のみ諸事情で勤務開始時間変更となった為)。昨日は中程度の積雪とはなりましたが気温が高い為融解は早く進んでおり、雪寄せの手間を省いても問題は無さそうです。

 

 

さて、Amazonプライムビデオ内では最近、日活制作「機動捜査班シリーズ」の1~11作目迄がAmazonプライム会員見放題対象作品に加わり順番に鑑賞している所です(本日時点で有料動画配信はAmazonプライムビデオ内のみ。尚、DVD-BOXが発売されています)。東映制作の劇場公開作品「警視庁物語シリーズ」劇場公開及びテレビドラマ作品「特別機動捜査隊」(此方は「警視庁物語シリーズ」全24作品及び「特別機動捜査隊」劇場版2作品がAmazonプライムビデオ内「東映オンデマンド」会員対象作品です)の中間期に当たる昭和36~38年の間に全14作品が制作され、俳優としても活躍された小杉勇が全作品の監督をしています。因みに小杉さんは由利徹・多々良純、そして「平成の大合併」で編入された行政区を含めると天津敏と同じく宮城県石巻のご出身ですが、当地は石ノ森章太郎(別表記も存在していますがその点はご容赦下さい)の故郷でもあり「石巻の著名人=石ノ森先生」の印象が非常に強くなっています。一般の映像作品好きにとってみれば正直「石巻=由利ちゃん・小杉監督等々」の方が印象が強く石ノ森先生と同様にこの方々の記念館が出来てもいいのではと感じる程…是非共検討して貰いたいものです。そこで本日はその一篇から…

 

 

「機動捜査班・都会の牙」(「機動捜査班シリーズ」第四弾)昭和36年8月13日公開・松村元生/堀守夫/遠藤三郎の共同脚本・小杉勇監督・日活制作。

 

 

 

 

今回は白タク家業の元締を取り締まる目的で内偵中に別の不正融資疑惑が浮上し、知能犯担当の捜査二課と暴力団関連担当の捜査四課が合同捜査することとなった上に、二課の古参刑事・井上昭文が四課に移動して来ます。実は井上さんは元締と目されている内田良平とは戦友かつ普段から事務所に出入りしていた為、四課の若手の青山恭二は「疑惑を持たれている同業者とは仕事は出来ない!」と事件解決後の辞職を条件に辞表を叩き付ける始末…そしてネタ屋(=情報屋)の山内明は内田さんの手下が白タク屋を暴行した上に疑獄の人物を葬る様に命じた事案を三流情報誌の編集長・高品格と共に強請のネタに利用し、更には疑惑の人物が勘当したと言われる実娘・香月美奈子にも接近し…

 

 

 

 

「警視庁物語シリーズ」が捜査側の描写に重きを置いていたのに対しこの「機動捜査班シリーズ」は覆面パトカーの機動力と潜在効果を強調はしているものの、犯罪者側の描写に重きを置いている上に昭和期の刑事ドラマにも通ずる大規模な犯罪現場包囲及び銃撃戦も見所として生きているのが特色!先陣である「警視庁物語シリーズ」及び同時期に日活が制作していた「事件記者シリーズ」(此方もAmazonプライム会員対象見放題です)との差別化の他に「役者としても活躍されていた小杉監督の観客目線に対する敏感さ=当時の日活の大黒柱の一つであったアクションを如何に生かし日活ファンを取り籠められるか?」も上手く作用したと思いますし、この点は「特別機動捜査隊」の制作現場にも少なからぬ影響を与え「警視庁物語シリーズ」とは別の趣を持つ傑作に仕上がった一因も受け止められます。

 

 

そして当シリーズの他作品でもそうでしたが「善人なのか悪人なのか?堅気なのか体制側なのかヤクザなのか?黒い影は本当なのか偽りなのか仮の姿なのか?」と匂わせ終盤迄、作品によっては結末直前迄全く読めぬ人物が登場するのも面白さ!当作品では井上さんがその立ち位置となりますが(当時30代でしたが老けメイクす。昭和期の映像作品は若年の役者が同様のメイクで実年齢以上の役柄に果敢に挑戦し遣り切っている事が殆どで、これも面白さの一つになっています)事実が判明する場面迄出かかっている言葉をこれでもかと我慢し続けた効果は絶大で、周囲が緊張感から説かれた雰囲気を更にフワリとさせた秀逸な場面となりました。又、青山さんと同じアパートに居住していた香月さんの複雑怪奇な人生と心境変化の経緯も事件解決の糸口として効果を発揮し、信頼関係が出来上がった人物に手柄を贈りたいと云う人間らしい思いに溢れた結末に導いている点も好感が持てました。内田さんの悪党芝居は…折り紙付きですから何の不安も無し!