人生の分岐点…その先は栄光か?転落か?日活「ある脅迫」金子信雄/西村晃・蔵原惟繕監督 | 東映バカの部屋

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東映制作作品を主体として書いていますが、たまに他の話題も…一人でも多くの東映ファンが生まれる事を望みます!

皆様、こんにちは。

 

 

休み二日目、放射冷却現象が起きたのではないかと思う程今朝は冷え込みましたが、確実に陽気を取り戻しています。そして明日からの業務を前に少々気が滅入ってしまう…と云うのも本来は今週末休日出勤をしなければならぬ業務量だったのですが依頼主の要請により明日からの生産となってしまい、そこに新たな生産対象品が入庫すると必然的に業務方となってしまいます。更に遣るべき雑用を確実に熟しながら新入社員教育が継続中ですから猫の手を借りたい程!この様な時は来月の給与額を考えながら業務を熟すのが一番!金欲/物欲が気力を生み出すとは本当ですし有効に生かせるなら生かすべきなのだなあと感じます。

 

 

さて、本日も日活作品から…何せAmazonプライムビデオの見放題対象作品にはロマンポルノを除く日活作品が非常に多い上に併映であったと思われる作品が充実しており、またそれ等が隠れた名画の宝庫!東映の次にロマンポルノを含む日活/新東宝/新東宝映画が好きな俺にとってはAmazonプライムビデオと東映作品及びロマンポルノ作品が充実しているU-NEXTはスカパー!と共に手放せなくなります。本日紹介の作品もAmazonプライムビデオの見放題対象作品でDVD化も行われています。

 

 

「ある脅迫」昭和35年3月23日公開・多岐川恭原作・川瀬治脚色・蔵原惟繕監督・日活制作。

 

 

 

 

舞台は北陸・直江津(現・上越市)…某銀行の直江津支店次長の金子信雄は新潟への本店の栄転祝いを開いて貰っていましたが、ネコさんの同郷・同級生であり同僚ながら庶務を務めていた西村晃が取り次いだ電話を受けます。それは得体の知れぬ無法者である草薙幸二郎からの大金を要求する脅迫…実はネコさんは西村さんの実妹・白木マリ(現・白木万里)と交際しながらも自らの出世の為に白木さんとの密会も継続しながら在籍する銀行の頭取の愛娘・小園蓉子と婚姻関係となっていた上にネコさん自身が使う為に印鑑及び書類を偽造し着服をしておりその弱みを握られたのです。ネコさんは草薙さんの助言を元に変装・武装し、西村さんが当直を務めていた晩に支店に入り込み強奪しようとしましたが…

 

 

 

 

約65分の尺の中に無駄な描写は一つも存在しない上に脈略が非常にしっかりしています。更に一人一人の心理描写が簡潔ながらも奥深く、特にネコさんが銀行に入り込み西村さんを脅しながら金銭を奪おうとする場面の緊張感と、ネコさん・西村さんは日活が主戦場の時代に創意工夫合戦を繰り広げた事実を証明する様な芝居合戦は静かな攻防戦ながらも手に汗を握る名場面!余談ですが東映京都制作「仁義なき戦いシリーズ」に於いて山守親分と云う当たり役を仕留め見事に演じ切ったネコさんですが、第一部撮影開始直前に病気降板の可能性が取り沙汰され代役には西村さんの名が上がったものの「あいつに遣らせる位なら俺が!」と這い上がって来たとの逸話があります(因みに西村さんは「新仁義なき戦い・組長の首」で正篇五部作のネコさんの役に該当する親分をネコさんとはまた別ないい味で演じ切ってくれました)。このお二方はいいライバルであり、また目では見られない盤石の信頼関係が若年期の時点で確立されていた事が当作品からひしひしと伝わって来ますし、その糸が生み出した日活作品史上最高クラスの名画と言っても過言では無い展開が目白押し、更に結末も見物!

 

 

最後に…YouTube内「東映シアターオンライン」内では現在期間限定で「昭和残侠伝」(シリーズ第一弾)「修羅の群れ」(昭和59年制作版)「湘南爆走族」(織田裕二/江口洋介主演の実写版)が期間限定で無料動画配信されています。お手数をおかけしますが配信期間は各々で確認をお願い致します。

 

 

 

 

 

この三作品の中で俺が一番にお薦めしたいのは「修羅の群れ」主演の松方弘樹の円熟味や周囲を取り巻く菅原文太・北大路欣也等々もいいのですが「モロッコの辰」に扮した北島三郎の破滅振り、そして松方さんの育ての親に扮した鶴田浩二の姿…特に松方さんに我慢を持って説得する鶴田のおやっさんの名台詞とその際の一挙手一投足は一度観たら目に焼き付く上に公開当時及び先行きが不安な世の中に対する苦言と提唱をしたのではと感じさせる程。鶴田のおやっさんに我慢を語らせる程説得力が高いモノはそう多くは存在しませんし従う以外に道はありません。更に言うなら、本来泣ける場面・泣ける映像作品とは「修羅の群れ」の様な作品を指すと俺は思います(東映作品に限定した場合は他に「日本侠客伝」「博奕打ち・総長賭博」「傷だらけの人生」「任侠列伝・男」「日陰者」「女渡世人・おたの申します」「緋牡丹博徒・花札勝負/お竜参上」「日本女侠伝・血斗乱れ花」「人間魚雷・ああ回天特別攻撃隊」「兵隊極道」「まむしの兄弟・二人合わせて30犯」「トラック野郎・故郷特急便」「極悪拳法」等々相当数存在します)。大泣きはしませんがじわりと涙が流れるか背中や心で泣くか…しかも押し付けは一切ありません。