馬下を追って三千里?松竹「やさぐれ刑事」原田芳雄/大谷直子/高橋悦史・渡辺祐介監督 | 東映バカの部屋

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東映制作作品を主体として書いていますが、たまに他の話題も…一人でも多くの東映ファンが生まれる事を望みます!

皆様、こんにちは。

 

 

昨日は半日の休日出勤となりましたが、明日から5/28(土)迄は通常出勤の為今月の土曜日は全て潰れてしまいました(但し、現時点で今月の時間外勤務時間の総計が37時間の為、今後も積み重なれば休日出勤1日分を振り替えして休みになる可能性も残されています)。悪友には「会話に疲れが見える」とも言われてしまう有様…多忙は収入面では有難い反面、精神面等々の限度を上げ続けて熟さなければならないのが難ですが、仕事かつ自身の鍛錬ですから仕方がないですね。

 

 

さて本日も簡単に此方の作品を…松竹は主流線の「大船調」と言われる作品が前面に押し出され高評価を得ていますが、その下に隠れている「反大船調」とも言える作品群は計器類の針を振り切った様な雰囲気がたまらなく、俺は「大船調作品群」より遙かに好み!新東宝で監督となり後に東映でも辣腕を振るった渡辺祐介監督はその「反大船調」の主要監督の一人として「男はつらいよシリーズ」の併映作品であった「ザ・ドリフターズ主演作品群」ばかりではなく「野郎の煮凝」を漂わせた作品でも腕を見せてくれました。

 

 

「やさぐれ刑事(デカ)」昭和51年4月3日公開・藤本義一原作・国弘威雄/渡辺祐介の共同脚本・渡辺祐介監督・松竹制作。

 

 

DVD化作品で、DMM.com/ひかりTVビデオ/GYAO!ストア/U-NEXT/Hulu/Amazonプライムビデオ(プラス松竹対象作品)/YouTubeムービー内に於いて有料動画配信が行われています。

 

 

 

 

北海道警察の刑事・原田芳雄が冷え切った夫婦関係を馬下(普通は「女房」ですが、当作品の雰囲気には「馬下」の方が似合う様な気がします)の大谷直子を懐妊・出産させる事で好転させようとした矢先、関西を拠点とする組織暴力団の幹部で原田さんが逮捕した経験のある高橋悦史が札幌に降り立ちます。しかもその直後、原田さんの上司である神田隆が謎の死を遂げ大谷さんは行方不明に…そして高橋さんの行方を追い求め函館に辿り着き判明したのは「高橋さんが大谷さんを連れて漁船で津軽海峡を越えた事」。神田さんの弔い合戦よりも大谷さんを浚った事に対する怒りが勝ってしまったのか原田さんは同僚の清水章吾に「警察は辞めた!」と手錠等々を叩き付け「馬下を追って三千里」とばかりに津軽海峡を越え、終りの見えない旅を始め…

 

 

 

 

この作品、北海道から青森・相馬・東京・大阪/神戸・福岡・鹿児島と全国縦断ロケが行われているのですが、作品とは無関係を承知の上で…原田さんは鉄道好きでしたから「好きな鉄道に乗りながら、思い切って演じる信条を存分に生かせる、愛する映画の仕事が出来た事」にかなり満足しながら芝居に臨んでいたのではないかなぁと私感ながら思いました。同時に大谷さんを始め青森の梓ようこ・相馬の絵沢萠子・鹿児島の赤座美代子等々「数人の美女と交尾を演じられた」のもボンクラ野郎としては羨ましい限り…

 

 

そして「過去を省みて刑事を辞した原田さん・過去から逃げ出したものの現在を省みる大谷さんが互いに救いを求め合っているかの様な雰囲気が最後にどうなるのか?」「原田さんに金魚の糞の如く離れぬ現役刑事の清水さんの絶妙な協力振り、しかし職務遂行意識も捨てぬ強かさ」等々に夫婦愛や法を超えた人間らしさが垣間見られ、単なる豪快なアクションと淫靡さ、荒々しさに終始する作品とは明らかに一線を画していますし原田さん・大谷さん・清水さん三者三様の最後の表情と言葉にそれが顕著に表れています。豪快さで手に汗を握らせ、交尾で右手に倅を握らせながらも程々の義侠心と愛情を垣間見せる展開は何度でも観たいと思わせますし事実俺も数度鑑賞しています。又、俺の現況の様に精魂疲労感が溜まり続けている時には気持ちをスカッとさせる…

 

 

尚、我々の年代ならば好々爺印象が強いもののこの頃は悪役も多かった大滝秀治が日本の裏側の重鎮に、神戸の大物に大木実が扮していますが短時間で退場させる贅沢な使い方をしているのは素晴らしい!そして蓑和田良太・五野上力・西田良等々東映から松竹に殴り込みをかけた面々がブルーフィルム鑑賞中に原田さんが仕掛けたガス爆発で木っ端微塵にされる姿はボンクラ野郎の東映ファンなら拍手喝采となる事間違い無し!この手の役柄は松竹の役者陣では務まらないでしょう…本職よりも怖い東映チンピラ大部屋衆を起用したのは大正解!