皆様、こんにちは。
昨日は記事にも書いた通り、前職場の先輩の家財整理を手伝った来ましたが、気温が余り上がらなかったうえに雨であった事が肉体面・精神面双方に於いて楽になり、休業で鈍っていた身体を目覚ませるには絶好の機会となりました。やはり俺には「黙って座っていたり自動車を使い行動する業務よりも肉体労働の方が性に合っているんだなぁ」と改めて感じましたし…
さて本日は、先日惜しまれつつご逝去された渡哲也の助演作品を紹介します。ご存じの方々も多いかとは思いますが、昭和40年代の日活は松竹・東映と共に「歌謡映画」も主軸となっており（日活・松竹は「爽やかな健全路線」東映は「夜の街とスケコマシ路線」と内容は真逆です）昭和40年にデビューされた渡社長は高評価を得た出世作ともいえる「東京流れ者」の出演から間も無く中尾ミエ・伊東ゆかりと共に「スパーク三人娘」の一員であった園まりとの共演を果たしています。
「逢いたくて逢いたくて」（園まりの同名ヒット曲の映像化）昭和41年6月1日公開・久保田圭司原案・白坂依志夫/中野顕彰の共同脚本・江崎実生監督・日活制作。
DVD化作品でU-NEXT内に於いて有料動画配信が行われています。尚、過去にchNECOでの放映実績が在ります。
親友の太田雅子(現・梶芽衣子。尚、この先は「梶さん」と表記致します）と共に同じ大学に進学した園さんはこの大学の主としか見えない万年留年学生の小沢昭一に勧誘されカンツォーネを主に研究する同好会の一員となりますが、小沢さんが部の財産である楽器を質屋に入れてしまっていた上に部費不足で瀕死の運営状態…そこで「園さんをテレビ番組のそっくりショーに出し、その賞金で楽器を購入しようと画策」しかもその放映回のゲストは園さん(二役）だった事も幸いし優勝したのですが、今度は獲得賞金の半分を小沢さんが学費に充当してしまった為に部員が各々でアルバイトに励みます。
園さん・太田さんは同じ所でアルバイトをしていたのですが、或る日謎の五人組（園さんの前座を務めていたザ・ドリフターズ。但し「志村けん時代ではなく荒井注時代」です）に園さんが拉致監禁される事態に…実はこの拉致監禁を画策したのは先述のそっくりショーを視聴していた園さんのマネージャーの高橋昌也で「報酬20万円で、急に声が出なくなった園さんの影武者を一週間遣って貰えないか?」と頭を下げられた園さんはそれを承諾し「園まり本人としての一週間」が始まりました。しかも前金として受け取ったその報酬で購入した楽器が部に届けられます。
しかし「一夜漬けの即席の影武者」では、幾らドリフの面々が万一の場合の守り役として目を光らせていても完遂は難しい…しかも先述のそっくりショーの公開録画現場に観客として居た週刊誌のカメラマンの渡哲也は「何時もとは違う園さんの様子」に感付き、同僚であり恋人である松原智恵子の助言にも耳を貸さずその真相に迫ろうと「周囲にデートと受け止められてもおかしくはない様な密着取材」を強行しましたが…
「裕次郎の後継者」として日活が渡社長に大きな期待を寄せていた事が明白である日活専属時代の活躍でしたが（映画業界の斜陽期でしたから日活及び渡社長に限らず各社は彗星を探していたのは事実です）その石原裕次郎と比較をしても「配役と役柄は裕さんの比ではない幅広さ」を感じさせるのも確か…時代の変化により嗜好の多様性が数年間で相当な域迄広がっていたのも要因なのでしょうし「素は健全な精神の持ち主でも何処かに不良性・とっぽさを持ち合わせているより身近な兄貴分の様な存在が求められていた上に台頭し始めていた」とも言えそうです。確かに渡社長はその言葉にぴったりと嵌る逸材の一人。また「渡社長と同じく昭和40年のデビューで、かなり近い雰囲気を持ち合わせていた梶さんと二人で清らかさそのものの園さんを主演として挟み込む構図はその雰囲気を更に際立たせ、小沢さん・ドリフの面々の喜劇要素も加わり歌謡映画としてはかなりの完成度を持っている」。
「疑惑の目で園さんを見る渡社長の鋭さが後半突入以降徐々に抜けて行き、粋で優しく観客が望んだ結末に軟着地させた点」も、現代の映像作品群を観慣れた方々やふんわりした雰囲気の映像作品を好む方々には受け入れて貰い易い筈…渡社長らしい自らの決断であった上に代表作の一つである事は確かですが、どうしても大きく取り上げられてしまう「石原プロモーション制作のテレビドラマ」以前の渡社長の軌跡を知る上では外せない一本が当作品です。
「肩にかかる程度のセミロングヘアーの梶さん」も可愛い!もしかしたら俺は「ロングヘアー・ショートヘアーよりもセミロングヘアーの似合う女優がより好み」なのかなぁと感じた程です。他の出演者は和田浩治・世志凡太・久遠利三・桂小かん・榎木兵衛・中尾ミエ・伊東ゆかり等々です。
因みに園さんは東映「非情のライセンス・第三シリーズ」にメインゲストとして出演された際には脱いではいませんがベッドシーン迄は披露して下さいました!感謝!
最後に「日活作品関連情報」を…令和2年9月よりchNECOでは「安藤昇主演の日活やくざ映画「やくざ非情史シリーズ」三作品の初のHD放映」が三か月連続で企画されています。VHS化されていましたので鑑賞済みですが綺麗な映像で再鑑賞出来ると思うと本当に楽しみ!（余談ですが衛星劇場では安藤組長主演の松竹「炎と掟」が同じく令和2年9月に放映予定です）。
そしてGYAO!では「日活ロマンポルノの現代劇路線第一号」である白川和子主演「団地妻・昼下がりの情事」が8/20(木）00:00～9/2(水）23:59迄再度無料動画配信されます。此方もお薦め!
