元・ミナミの顔役の気楽な運ちゃん稼業!東映京都「愉快な極道」若山富三郎/紀比呂子/北島三郎 | 東映バカの部屋

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東映制作作品を主体として書いていますが、たまに他の話題も…一人でも多くの東映ファンが生まれる事を望みます!

皆様、おはようございます。

 

 

昨日の17時に勤務を終え、月曜日17時の勤務開始迄の休みに入りましたが、秋田市内では一昨日から給付金の申込書の発送が始まり、社内ではその話で持ち切りです。しかし両親に言わせれば「遅いなぁ」と…盛岡市内では5月連休明けから間もなく発送されたらしく既に返送したとの回答。各自治体其々の事情は在るのでしょうが、同規模の自治体で三週間近くも差が出るとはどう云う事なのか?

 

 

 

さて本日はお馴染み「若山富三郎主演・山下耕作監督」の顔合わせで制作された「元・ミナミの顔役の気楽な運ちゃん稼業」を描いた作品ですが、先に公開されていた東映京都制作・若山先生主演で山下将軍も半数以上の作品で監督に携わった「極道シリーズ」の喜劇要素を踏襲し、適度なアクションと幾分のヤクザ臭を加え、シリーズには加えられない作品ではありますが延長線上に在ると言ってもいいと思います。

 

 

 

「愉快な極道」昭和51年2月14日公開・松本功/高田宏治/志村正浩の共同脚本・山下耕作監督・東映京都制作。

 

 

VHS化作品ですが未DVD化で、Amazonビデオ(JUNKFILM by TOEI対象作品)に於いて有料動画配信が行われています。

 

 

北島三郎歌唱の主題歌「俺は流しの運転手」は隠れた名曲!そして「冒頭のクレジット場面」では当時の東映太秦映画村の様子が伺えます。

 

 

 

 

 

 

※KINENOTEの作品案内は此方から

 

 

 

先述の通り「元・ミナミの顔役」で殺人により網走刑務所に収監された経験を持つものの、恋女房の他界を切っ掛けに愛娘で「パチンコの腕は父親より上」の紀比呂子の為に堅気に転じタクシー運転手となった若山富三郎(車両はT80型トヨペット・コロナ)。先輩運転手で現在は個人タクシーを営む殿山泰司(車両は230型日産セドリック)を見習い将来は個人営業の認可を貰う事を目標としていました。「ミナミで顔を利かせていた若山先生が腰を低くし我慢を貫き運ちゃん稼業に携わる姿」を「誰もが出来る事ではない」と、所轄署の捜査員で若山先生の良き相談相手でもある花澤徳衛が一目置く程。そして「若山先生に因縁を付けて来たチンピラ」左とん平等々を転業させるのも朝飯前!しかし「営業所内での業務成績は最低、轢き逃げ犯等々の逮捕協力に於ける感謝状の枚数は最高(もう張る場所が無いと言われている程です)」と営業所長の南道郎を悩ませる存在で、たまにブービーを取ろうものなら配車係の泉ピン子から褒美の接吻をされる程!

 

 

 

 

 

 

或る日、京都駅前で白タク稼業に精を出していた石橋蓮司・岩尾正孝・片桐竜二等々から救った女医の三田佳子に一目惚れした若山先生。三田さんの前では東映東京制作「トラック野郎シリーズ」で菅原文太演じた星桃次郎と同様、若山先生も一人称は「俺」から即座に「僕」に切り替わります!しかも三田さんは子連れの未亡人で看護婦の比呂子さんと同じ病院に勤務!三田さんが公休日で担当医師が桂三枝だと子供の様に駄々を捏ねて三田さんを休日出勤させたり、同僚運転手の北島三郎(車両はT100型トヨペット・コロナ)が営業所からの指令を受けて三田さんの指定場所へ迎車に向かおうとすると、公休日である筈の若山先生が「今日は物凄く仕事がしたいから!」と言ってその仕事を一方的に金で買って請け負ったりと、三田さんと恋仲である此方も医師の蜷川幸雄が居るとは知らずに桃次郎と同様暴走し捲ります!

 

 

 

 

しかし先述の「京都駅前での石橋さん達との騒動」に加え「とん平さんの元・交際相手の奈三恭子が石橋さん達が在籍する組織の幹部である森田学哉(ウェブ等々により「守田学哉」と表記されている場合も在ります)の情婦になっていた事に起因する騒動」から営業所内に乗り込まれ謂れの無い治療費を要求されたり暴行されたり…それでも我慢を重ねていた若山先生でしたが、サブちゃんとの婚姻が決まったばかりの比呂子さんを拉致監禁されたと知った時遂に堪忍袋の緒は切れ、サブちゃんと二人で大津・雄琴の「森田さんの事務所を兼ねたトルコ風呂」へ救出に向かいます。

 

 

 

 

先述した「トラック野郎シリーズ」の人気に指を咥えて見ている訳にも行かず「東映東京よりも格も質も上!」と自認していたであろう東映京都が送り出した「運ちゃん物」である事は確かかと思います。しかし「二番煎じ」「真似事」」等々とならぬ事を肝にしっかりと命じていたのでしょうし、先に制作されていた「極道シリーズ」では山下将軍を始めとする監督陣が「ヤクザは堅気に迷惑を掛けてはならない。道の端を頭を低くして歩かなければならない」と云う趣旨が一貫して描かれ、それが「一家を解散後法人を設立し屋台を引いて全国行脚をする姿勢」を描いた「極道VS不良番長」で結実したかと思いきや…最後にはヤクザに戻ってしまった「極道VS不良番長」に山下将軍は満足出来なかったのかと、此方の「愉快な極道」を鑑賞すると感じてしまいます。

 

 

肝心要の場面では島村親分に通ずる凄味を感じさせてくれるのですが、死人が一切出ない上に若山先生は一切の銃火器を持たずにタクシーそのものをバリケード代わりにしたり(実際に一車両を廃車にしています)殺陣ではなく技斗で見せ切るアクションを展開したりと、あくまでも「堅気の範囲で可能な攻撃・防御を貫いている事」が特徴。同時に「往来を堂々と歩ける立場となった元・ヤクザが過去を全て悔いる様に、本来の侠客道を堂々と貫く姿」は当方で何度も書いている「堅気がヤクザから学ぶべき事・日常に生かすべき事は多々存在する」「老若男女を問わず全ての日本人は生まれながらに侠客道を持ち合わせている民族である」等々を物語を通して証明しているとも言えます。

 

 

 

 

そして当作品は「脇役の充実度」も美点!先述した営業所長の南さんと配車係のピン子さんは婚約済」「若山先生をおちょくる為だけに出て来たとしか言えない三枝師匠」の他に「当作品では運転手と病院関係者の憩いの場である喫茶店の主として登場した江幡高志」「若山先生の隣宅で床屋を営み、後妻の座を狙う春川ますみ(「前科者」「シルクハットの大親分」等々での共演経験が在る為か相性は文句無し)」「雄琴のトルコ風呂に行く為に若山先生のタクシーに乗車した客が本人役で登場した間寛平」「芝居の範疇を超えた比呂子さんの爆笑を引き出した様にも見えるモヒカン刈りで登場した志賀勝」等々…でも「一番いい所を浚った」のは、相思相愛で騒動を経ながらも比呂子さんと結ばれたサブちゃんでしょう!

 

 

「婚姻を許した若山先生とそれに感謝をする比呂子さんとの遣り取り」「若山先生・三田さんの恋の結末とその後」は人の心を不器用ながら温かく見せた名場面です。そして比呂子さんが終盤で言い放った「やっぱりうちのオトーチャンやな!」この一言が「愉快な極道」の題目を一層引き立てています。