約束を反故にしても気持ちは…日活ロマンポルノ「天使のはらわた・赤い教室」6/7迄無料配信中 | 東映バカの部屋

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東映制作作品を主体として書いていますが、たまに他の話題も…一人でも多くの東映ファンが生まれる事を望みます!

皆様、こんにちは。

 

 

所用が済んだ為、本日も記事の更新を簡単に行います。しかし今日の秋田市内は降雨となったり明るい日差しが有ったりと非常に不安定な天気です。そして本日の紹介作品は…

 

 

 

「天使のはらわた・赤い教室」昭和54年1月16日公開・石井隆原作/脚本兼務・曽根中生脚本/監督兼務・日活制作(日活ロマンポルノ)。

 

 

DVD/ブルーレイ化作品でTSUTAYA TV/Amazonビデオで有料動画配信が行われています。

 

 

尚、GYAO!では当作品の「R15+版」を6/7(日)23:59迄無料動画配信中です。

 

 

 

 

 

 

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或る温泉街に旅行に出かけたポルノ雑誌編集者の蟹江敬三は、その地で行われていたブルーフィルムの上映会で流された作品の迫真の内容と、これ迄自らが起用した事の無いモデルの顔に惹かれ、関係者にその女性の居場所を教えて貰おうとしますが叶いませんでした。

 

 

蟹江さんは「遣りたい物を遣ると摘発されるか発売禁止処置を食らうかの何れか!」と云う壁にぶつかっていた為、猶更そのモデルへの思いは湧き上がるばかり…しかし後に撮影の為に訪れた連れ込み旅館の受付嬢であった水原ゆう紀こそが先述のブルーフィルムのモデル!後日約束を取り付けモデルへの起用を願い出たものの水原さんの返答は厳しいものでした。と云うのも、例のブルーフィルムは「教育実習中に出向いた学校で輪姦された様子を撮影したもの」しかも「その作品を鑑賞した野郎達が訪ねて来ては体を要求した為」水原さんの心の中では「人生の汚点」となっていたのです。

 

 

その話を聞き同情した蟹江さんは自らの素性と現状、そして水原さんに対する偽り無き思いを伝え、身体を求めずに翌日改めて逢う約束を取り付け、水原さんに名前を問うと素直に教えたのですが…水原さんとの約束は果たされませんでした。何故なら蟹江さんが無実の罪で警察に身柄拘束・拘留された為。

 

 

そして時は数年が経過し、蟹江さんは妻子を設けた上に会社は成長し、順風万端であった或る夜、声をかけて来た女給の顔を観て驚愕します…派手な身形ではありましたが水原さんそのものであったから!

 

 

 

 

 

 

「強姦の美学」と称された蟹江さんではありますが、当作品の中ではその姿は微塵も無く「女性側の本位に立った編集者であり、惚れた女性の前では純真さと誠実さが前に出る人柄」が魅力!先述した「遣りたい物を遣ると摘発されるか発売禁止処置を食らうかの何れか!」の一言も「観る側が本当に観たがっている物=虚実の娯楽を超えた迫真の内容に迫りたいが、モデル側の心情や第三者からの告発等々を考えると、自らの保身及び社員を守る上でどうしても踏み切れない苛立ち」を感じさせるもの。だからこそ初対面時は先述の様な行動に出たのかなぁと思いきや…勿論それも在ったのでしょうが、それ以上に終盤で「蟹江さんが水原さんに心の奥底から惚れており、対する水原さんにもその気持ちが伝わっていた事」「約束を反故にしたりされたりして数年の時を経てはいたものの、二人の愛情は変わらぬままであった事」が証明されます。

 

 

この終盤の流れは「特別な事を一切行わず、目の前の光景に対する当たり前の心情・行動・言動で貫く形態」となっているからこそ響いて来ますし「掃溜めの中から生まれた一つの人間味溢れる物語」とも言えます。

 

 

 

「美男美女・清らかな展開・美しい光景等々を揃える事こそ恋愛物の頂点」と思われている方々は多いと思います。何度も当方で書いている通り「それが俺の(あたしの)嗜好」と云うのであれば自由ですから結構です。しかし、もし世間一般の評価や変化等々に流されるがままに作品を選択し、流されるがままの受け止め方等々をされている方々が居られるのであれば、自らの感覚で手当たり次第に多くの作品に接してみる事を俺はお薦めします。

 

 

こうする事で「世間の評価等々に流されぬ、自分だけのベスト作品を見付け出す楽しみと面白さ」「隠れた傑作の発見」「自分だけのお気に入りの場面描写や台詞・贔屓の脇役俳優の発見」等々に繋がり、映像作品鑑賞は益々充実する事と思います。その一つとして、プログラムピクチャーの灯を最後迄守り抜いただけに留まらず、条件さえ満たせば物語の内容の自由度が無限かつ、現在第一線で活躍されている多くの制作関係者・役者を育て上げた「日活ロマンポルノ作品群」は太鼓判を押してお薦め致します。