さそりがジャイアンを葬る?東映Vシネマ「女囚さそり・殺人予告」岡本夏生/今井健二・池田敏春監督 | 東映バカの部屋

東映バカの部屋

東映制作作品を主体として書いていますが、たまに他の話題も…一人でも多くの東映ファンが生まれる事を望みます!

皆様、こんにちは。

 

 

休み二日目、昨晩は深酒をしたにも関わらず早々と目が覚めてしまい、GYAO!で期間限定で無料動画配信されている日活ロマンポルノを鑑賞していました(昨日から通算で四作品鑑賞)。

 

 

その中に、傑作だと思っている泉じゅん主演・池田敏春監督「天使のはらわた・赤い淫画」も含まれており再鑑賞したのですが(当作品は本日23:59迄無料配信中です。尚、泉さんは角度・表情により綾瀬はるかに似ているなぁと私感ですが思います。因みに昨日鑑賞したのは無料配信作品中で未見だった中川梨絵主演・神代辰巳監督「恋人たちは濡れた」池波志乃主演・加藤章監督「白く濡れた夏」志水季里子主演・小沼勝監督「ブルーレイン大阪」。「恋人たちは濡れた」「ブルーレイン大阪」は好きな類ですし佳作と感じましたが「白く濡れた夏」は及第点程度)「池田監督と云えばこんな傑作も在ったなぁ」と思い出したのは此方…

 

 

 

「女囚さそり・殺人予告」平成3年制作・篠原とおる原作・神波史男/池田敏春の共同脚本・池田敏春監督・東映ビデオ制作(東映Vシネマ)。

 

 

VHS/DVD化作品でGooglePlay/Amazonビデオ(JUNKFILM by TOEI対象作品)/YouTubeムービー内に於いて有料動画配信が行われています。

 

 

 

 

 

 

※KINENOTEの作品案内は此方から

 

 

 

高校在学時の家出の際、政治結社の末端運動員と思われる一団に拉致監禁・輪姦行為を受けた上にドラム缶にコンクリート漬けにされ道路端に投棄されながらも生還した岡本夏生…その際、ヤクザの寺田農に一命を救われたものの生家へ帰される事は無く、交尾と殺人を仕込まれ「拉致監禁・輪姦行為に及んだ輩達を葬った事」を切っ掛けに殺し屋となります。

 

 

或る日、岡本さんが某県議会の議員会館に呼ばれ出向くと、そこには寺田さんと元刑務所長で現職の県議ながらも次期国政選挙で国会議員への鞍替えを目論んでいた「愛称がジャイアンではないゴウダタケシ」こと今井健二が待っており(梶芽衣子主演版「女囚701号・さそり」「女囚さそり・第41雑居房」で渡辺文雄が演じた役と名前が一緒です。但しナベさんは「郷田毅」今井さんは「郷田武」そして「スプーンで作られた凶器で松島ナミに右目を失明させられた設定」となっており「ナベさんの失明の経緯」と違います)「刑務所の地下壕に20年間監禁され続けている松島ナミの殺害を目的に刑務所に入って欲しい」と懇願され引き受けます。勿論理由は「今井さんの代議士としての地位を盤石・安泰な物とする為」。

 

 

そして後日、今井さんの後継刑務所長の清水紘治と看守の堀田眞三(堀田さんは梶芽衣子主演の「女囚701号・さそり」「女囚さそり・第41雑居房」にも出演し「サングラス姿の狂気の看守」を好演されています)の手引きで刑務所内に潜入し、故意に騒動を起こした上で独居房に収監後、予定通り「松島ナミ」と判断を下した宮下順子を葬りましたがこれは罠であり(序盤で「宮下さんが脱獄しながらも失敗する場面」が映し出されていますが、これも罠です)岡本さんは刑務所内の運動場に磔にされた上に松島ナミを神格化していた女囚達や鬼の女性看守のダンプ松本(元女子プロレスラーであっただけに格闘場面・拷問場面は文句無し!しかも「自らを女性として扱ってくれた看守の前では女らしく振舞う芝居」も巧いです)等々に散々痛め付けられる羽目に!

 

 

何故こうなったのか?実は松島ナミは「法治国家の威信を守り、当該刑務所と当時刑務所長であった今井さんの汚点を葬る為」「スプーンで作られた凶器で右目を失明させられた今井さんの私怨」等々を理由に20年前に看守達によって殺害された上に地下壕内に遺棄され(壁面の遺棄空間にコンクリートを流し込んでいました)しかも当該刑務所は近々新築移転される予定であった為「法務省の査察が入った際の頭数を合わせる目的も兼ねている事」を今井さんは寺田さんに話し、寺田さんも自らの将来と飛躍の為に岡本さんを裏切る決断を下します。そして岡本さんは「松島ナミを神と崇めていた」女囚・西川峰子(現・仁支川峰子)等々の助けを得て磔から解放されましたが…

 

 

 

●東映ビデオ公式・YouTube予告篇動画(上)/プレビュー動画(下)

 

 

 

 

 

 

多岐川裕美版・夏樹陽子版「さそり」を完全に凌駕する面白さである上に「梶さんの意思を引き継いだ二代目さそりは岡本さん!」と言い切りたくなる程の芝居!事実、当作品の評判が良く「続篇は劇場版として制作」と計画をされた模様ですが、諸般の事情で頓挫したとか…もし制作されていたならかなりヒットした可能性が考えられただけに残念。

 

 

そして「君が代で幕を開ける冒頭」「過去のさそりシリーズと同一の囚人服の採用」「梶さんを連想させる姿を纏った本物の松島ナミ役の女優」(配役に関しては誰なのか不明です)更に「女囚701号・さそり」内の脱走場面(梶さんの出演場面を流用してはいますが、顔は梶さんとは解らぬ様になっています)「女囚さそり・第41雑居房」の小松方正が演じられた看守が股間に丸太を打ち込まれ絶命している場面「女囚さそり・けもの部屋」で渡辺やよいが演じられた売女(ばいた)が「さそり」と呼び続けながら地下水路に多数のマッチを落下させる場面(声もやよいさんの物をそのまま流用しています)等々から「さそりの原作者である篠原とおる先生・実写版シリーズの生みの親である東映の吉峰甲子男統括及び伊藤俊也監督・初代松島ナミ役の梶さんに対する敬意と意思の継承・踏襲が心から伝わって来る点」が美点!

 

 

しかも「伝説の女囚を「松島ナミ・通称さそり」とし、岡本さんを安易に「さそり」と設定せず終盤迄引っ張った物語の流れと凝った結末直前の盛り上がり」により、従来のさそりシリーズの結末とは違うものの納得かつ満足行く締め方となっているのもいい!

 

 

更に岡本さんが歌唱された「怨み節・ニューアタックバージョン」も一度聴いたら耳から離れません!

 

 

 

 

 

 

平成期に「昭和期の名画の再企画作品」は多数制作されましたが、内容・意思共に当作品は「再企画作

品の中でも最高峰に位置する傑作」です!

 

 

尚、先述した通り「梶さん主演版の正当な続篇かつ、映像の流用が行われている事情」から、可能であれば「梶さん主演版のさそり四部作鑑賞後に当作品をご覧になられる方」が面白く観られるかと思います。因みに「JUNKFILM by TOEI」では月々定額の¥499-(他にAmazonプライム利用料が月払いの場合で¥500-かかります。尚、一年分の一括払いも可能です)で「梶芽衣子版・多岐川裕美版・夏樹陽子版・岡本夏生版」の全作品が観放題です。