新興ヤクザVS元侠客衆の戦い!松竹「男の顔は切り札」安藤昇/長門裕之/東千代乃介・衛星劇場で放映 | 東映バカの部屋

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東映制作作品を主体として書いていますが、たまに他の話題も…一人でも多くの東映ファンが生まれる事を望みます!

皆様、おはようございます。

 

 

休み二日目、今の所は穏やかで過ごし易い天気ですが、昨日の天気予報では本日の秋田市内は今季初の夏日になるとの事…昨日の記事にも書きましたがうちのアパートは現在外装工事中で窓を開けると材料の切屑や埃等々が入る為、去年よりも早く冷房を使わざるを得なくなるかもしれません。

 

 

 

さて本日は今月と令和2年6月の衛星劇場「松竹映画100周年 プラス・ワン~松竹任侠映画~」の枠内で放映の作品です。当時松竹の専属俳優だった安藤昇と(厳密に言えば、松竹の肝入りで設立された安藤組長の制作会社であるC.A.Gに籍を置いており、他に菅原文太・高宮敬二も在籍していたそうです)東映のヒットメーカーであったマキノ雅弘監督が初めて顔を合わせた作品です。

 

 

因みに「安藤組長とマキノ監督及び東千代乃介の顔合わせ」も当作が唯一です。生前安藤組長は当作品・マキノ監督双方にについて全く語られてはいませんでした。

 

 

 

「男の顔は切り札」昭和41年12月24日公開・宮川一郎脚本・マキノ雅弘監督・日本電映制作・松竹配給。

 

 

安藤組長が歌唱される主題歌「男の顔」はボンクラ野郎の心の奥底に火を点ける名曲!

 

 

未DVD化作品で有料動画配信も行われていませんが、先述の通り衛星劇場に於いて本日以降、5/16(土)10:00・5/22(金)18:30・5/27(水)08:30・6/9(火)10:15・6/25(木)08:30の五回放映されます(字幕付きHD放映)。

 

 

 

 

 

 

尚、KINENOTE等々には遠藤辰雄(後の遠藤太津朗)が出演している事になっていますが未出演で、該当する役には田中邦衛が配されています。又、冒頭クレジットは右に流れる形態で五十音順に紹介されています(勿論先頭は安藤組長)。

 


※KINENOTEの作品案内は此方から

 

 

※衛星劇場の令和2年5月分の作品案内・放映日時案内は此方から/令和2年6月分の作品案内・放映日時案内は此方から

 

 

 

 

昭和初期の東京・深川…長年当地を縄張として来たものの、周囲の推薦・説得を受けて区会議員になる意思を固めた原田甲子郎は組を解散し若衆達には転業資金を与え、東千代乃介は理髪店、品川隆二は寿司屋、そして長門裕之・津川雅彦・和崎俊也等々も正業に従事していたのですが、原田さんが転業資金の為に受けた融資債権の一切をこの地に進出して来た新興勢力組織の安部徹が買い取った上に、原田さんは投票日前日に謎の死を遂げてしまいます。

 

 

しかも原田さんの没後に安部さんは千代乃介御大等々の元若衆に原田さんが融資の際に抵当として差し出した土地の権利書を振りかざして土地の明け渡しを要求して来ます。この地には深川芸者を始め「その日暮らしの住人」が多く居住していた為、品川さんの寿司屋の常連で酔いどれ弁護士の西村晃の協力を得ながらあれやこれやの策を講じるのですがそのどれもが決定打に欠けていた上に、元若衆の一人でありながらも原田さんに破門されていた平井昌一が安部さんの組織の一員となったり、千代乃介御大等々の後見人の役目を請け負っていた水島道太郎が安部さんの若衆に殺害されたりと先の見通しは真っ暗。そんな時、原田さんの一家に草鞋を脱ぎに来た侠客・安藤組長が事の次第を知り…

 

 

 

 

 

 

東映仁侠映画で既に確固たる地位と実績を築いていたマキノ監督・宮川先生を迎えた作品ながらも、東映の二番煎じとならなかったのはこのお二方の力量と柔軟性の賜物!これが「松竹カラーに合わせた物語の確立=侠客道を堅気の視点から解釈をして物語を構築し、それがとっぽさを最後迄抑えさせ、ぎりぎり迄堅気の解釈で物語を進め、解決策及び結末も当時の刑法・民法等々に準じた内容となった事」は大いに評価が出来ます。

 

 

しかもここに「ヒロイン・南田洋子の隠された過去」「平井さんの行動の真意と結末、そして安藤組長との縁の経緯」「裏切るのか裏切らないのかはっきりしない芝居が絶妙な西村黄門様」「担保証書の謎の秘密を握る公証人役場の職員・藤山寛美」「冒頭で姿を消した田中邦衛の消息」「普通の男であればこんな事は絶対に出来ないと感じさせると同時に野郎を惚れ惚れさせる安藤組長の男気、そして最後に明かされる背負っていた重荷とは?」が絡み合い目の離せない作品となっていますし、品川さん・千代乃介御大・水島の道さん等々の「東映作品の主要俳優陣」に加え、中村錦司・杉狂児・徳大寺伸等々の「東映作品の脇役としてお馴染みの顔触れが多く登場する事」も魅力!

 

 

そして「安藤組長の出演タイミング」も折り返し地点通過直後と、題目の「男の顔は切り札」に相応しい出し方!

 

 

これで「俺が鑑賞した安藤組長の松竹作品」は当作品と「男の顔は履歴書」「望郷と掟」の三作品となりましたが「ほのぼのとした人情喜劇と歌謡映画が得意な印象が強い松竹が手掛けたアウトロー作品群」隠れた傑作が埋もれているのもまた事実ですので(安藤組長の主演作の他に、天知茂主演「殺す(バラす)まで追え・新宿25時」若林豪主演「人間標的」松方弘樹主演「恐喝こそわが人生」は傑作と思います。他に栗塚旭主演「霧のバラード」高橋幸治主演「メス」も面白い)「未見の安藤組長主演の松竹作品に出合う楽しみが更に膨らんだ」とも感じました。