教育係の上官が問題児の新兵に惚れ込み…大映東京「兵隊やくざ」勝新太郎/田村高廣・増村保造監督 | 東映バカの部屋

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東映制作作品を主体として書いていますが、たまに他の話題も…一人でも多くの東映ファンが生まれる事を望みます!

皆様、こんにちは。

 

休み六日目、曇り空ですが昨日に引き続き過ごし易そうな一日となりそうです。朝晩の冷え込みもかなり緩み、やっと暖房器具と厚手の掛布団をしまう事が出来ました。

 

 

 

さて本日は「座頭市シリーズ」「悪名シリーズ」と並ぶ「勝新太郎主演の三大シリーズ」からです。

 

 

 

「兵隊やくざ」(「兵隊やくざシリーズ」第一弾)昭和40年3月13日公開・有馬頼義原作・菊島隆三脚色・増村保造監督・大映東京制作。

 

 

DVD化作品でDMM.com/ビデオマーケット/iTunes/Amazonビデオ/YouTubeムービー内に於いて有料動画配信が行われています。

 

 

 

 

 

 

※KINENOTEの作品案内は此方から

 

 

 

大東亜戦争中の昭和18年春、ロシア国境に近い満州の一角に駐留していた約四万人の関東兵部隊に、浪花節語りになれずにやくざの用心棒を遣っていた勝新太郎が入隊し、その教育係を命じられたのは名家出身のインテリで思う事が在って故意に幹部昇進試験を数度落第していた田村高廣。

 

 

「水と油」としか周囲には映らない勝新と田村さん…しかも自由奔放で暴れん坊の勝新は即座に古参兵達の反感を買い標的とされてしまうのですが、勝新の気風に惚れた田村さんは「肩書は下でも入営年次は俺が上」と云うウルトラCを行使し、教育係の肩書を表看板に心から勝新を可愛がり守り抜き、更には将校専用の慰安所で淡路恵子を抱かせる迄に…

 

 

しかし、戦況逼迫を理由に満期除隊の夢が消え憔悴し、命じられた南方の部隊への異動となれば勝新とも離れ離れになるのも嫌だとわざと規則違反を犯し営倉に入れられた田村さんでしたが、その真意を感じ取った勝新が「恩を返すのは今だ!」と、後の方針転換による勝新・田村さんを含めた本大隊全兵が転進時に行使した事とは…

 

 

 

 

 

 

識者・評論家・観客側の勝新に対する評価は「座頭市シリーズ」が圧倒的に高いですし俺も好きですが、面白いものの作品を重ねるにつれ「勝新特有の俺流の芝居・演出・様式美」が加速し過ぎ、熱狂的な勝新ファン以外の観客を置き去りにした感を抱くのも確か(初期シリーズの方が面白いと思います)…寧ろ、共演者である田村高廣の存在を引き立てる芝居を見せると同時に「盲目の市が次作品ではどんな凄さを見せるのか?」等々の期待に対するプレッシャーから解放された様な自由奔放に暴れる姿が爽快な「兵隊やくざシリーズ」が俺は一番好きです。

 

 

「善悪問わず真摯に演じながらも絶対に品を保つ田村さんの持ち味を引き立てる事に徹した勝新」と思っていますし「勝新の台詞の一つ一つが自らには無く、また修得不可能な物を持つ田村さんへの敬意が籠っている感」を抱きます。対する田村さんも「実年齢では三歳下ながらも勝新の真摯な姿勢と独創性を全て認め受け入れると同時に、役柄を超えて心底実弟の様に可愛がっていたのだろうなぁ…」と。

 

 

そして「入営年次・肩書を超えた男の絆と義理人情・侠客精神の必要性を、当時破竹の勢いであった東映任侠映画群と別な舞台設定・新機軸で見せようと試行錯誤した事が存分に伝わって来るのも美点である」と同時に高度経済成長期に在った我国の組織内に於いて様々な不平不満を抱えていた大多数の現場職員達の鬱憤を晴らす効果も存分に発揮したでしょう。もしかしたら管理職に携わる方々の極々一部は行動・言動・思考等々を改めたかもしれません。何故なら、当作品で描かれる勝新・田村さんの関係は上下関係の理想形の一つとも言える描写であるから。俺も当シリーズを再鑑賞する度に反省させられたり頷かされる事はしょっちゅうです。

 

 

制作順に鑑賞しても良し、順不同で鑑賞しても何ら問題無い観客側への親切心も在る…数多く送り出された大映の名作シリーズ群の中でも、俺としてはお薦め中のお薦めです!

 

 

 

最後に…当作品に憲兵として出演している「大映出身で山形が生んだ名優」成田三樹夫の動画を発見しました!

 

 

尚、紳士服店のCMは山形県内の法人…故郷を愛し、恩を返した様な姿勢にも見えます。

 

 

サントリーのCMは惚けぶりが爆笑!