田宮二郎の藤枝梅安!松竹「必殺仕掛人」高橋幸治/山村聰/野際陽子・渡邊祐介監督。衛星劇場で放映中 | 東映バカの部屋

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東映制作作品を主体として書いていますが、たまに他の話題も…一人でも多くの東映ファンが生まれる事を望みます!

皆様、こんにちは。

 

 

休み四日目、快晴で本日は平年並みの陽気に戻りそうです。久方振りに洗車に取り掛かろうかと考えています。そしてここ毎日記事の更新を行っていますが、映画関連記事主体となってから五日間も更新したのはこれが初めて(である筈。記憶違いの場合はご容赦下さい)。買物以外に外出を控えなければならない状況では「映画/テレビドラマ等々を観る・パソコンの前に座る・読書・飲酒・軽い散歩」しか遣る事が無いからなぁ…あっ、13年使い続けた炊飯器のタイマーがかかり難くなって来たから見て来ようかなぁ。

 

 

 

さて本日は此方の作品を…俺は「必殺シリーズ」で一番好きなのは藤枝梅安の「仕掛人」ですが(但しそれ程詳しい訳ではありません)テレビドラマ版の好評を得て制作された劇場公開版の初作はお馴染みの「緒形拳・林与一」ではなく「田宮二郎・高橋幸治」の顔合わせ(元締の「クラウンの山村」こと山村聰のみはテレビドラマ版と同じです)。しかし観客側・視聴者側の要望により劇場公開版も第二弾以降は「緒形・林コンビ」が出演しています。

 

 

 

「必殺仕掛人」(「必殺仕掛人シリーズ」第一弾)昭和48年6月9日公開・池波正太郎原作・安倍徹郎/渡邊祐介の共同脚本・渡邊祐介監督・松竹制作。

 

 

松竹制作なのに現像は東映化学(現在の東映ラボ・テック)が担当。因みに松竹作品の現像は殆どが東洋現像所(現在のIMAGICA Lab)担当…東洋現像所は東西に現像施設を保有している為わざわざ東映化学に依頼する必要性は無いのですが、何故こうなったのか考えてみましたものの憶測さえ浮かび上がって来ません。

 

 

VHS/DVD化作品で、U-NEXT/DMM.com/Hulu/スカパー!オンデマンド/ビデオマーケット/iTunes/

Amazonビデオ/YouTubeムービー内に於いて有料動画配信が行われています。

 

 

又、今月と令和2年6月の衛星劇場「名作セレクション・傑作時代劇」の枠内の一作品として本日以降、5/12(火)08:30・5/24(日)10:15・5/30(土)17:00・6/5(金)07:30・6/24(水)11:00の五回放映されます(字幕付きHD放映)。

 

 

 

 

 

 

※KINENOTEの作品案内は此方から

 

 

※衛星劇場の令和2年5月分の作品案内・放映日時案内は此方から/令和2年6月分の作品案内・放映日時案内は此方から

 

 

 

大店の主で殺し屋の元締でもあるクラウンの山村の依頼を受け、川崎あかねを仕留めた針師の田宮さんは仕事の垢を落としに仕事仲間の元・盗賊の一味である浜田寅彦と旅に出たのですが、その旅先で浜田さんは盗賊時代の仲間で現在は香具師(現在で言うテキヤ稼業や露天商)の元締・河村憲一郎の右腕となっていた川地民夫に殺害されます。

 

 

その悲しみも癒えぬ時、クラウンの山村は河村さんから「実子・森次晃嗣が将来困らない様に」と請け負った「強請集りの常習である町方同心・室田日出男の殺害」を仕掛人仲間である高橋さんに依頼…しかも日出さんはこの頃高橋さんに町方同心に推挙すると持ち掛け三十両もの大金を要求していたのですから相当な悪党!

 

 

更に河村さんの死後、兄弟分で森次さんの後見人でもあった三津田健が「河村さんの後家・野際陽子と川地さんも葬った方が一家の為にもなる」と提言し此方の殺害も三津田さんがクラウンの山村に依頼し田宮さんが仕掛ける事となるのですが…

 

 

 

 

 

 

ウィキペディアを読むと、当作品は「原作と短編の結合で生まれた物語」しかも原作・テレビドラマでは「当作品で田宮さん・野際さんが該当する役が実は生き別れになった兄弟とはっきり悟る」そうですが(テレビドラマ版では確かにそうでした。原作は未見の為ここでは省きます)当作品では田宮さん・野際さんが実の兄弟である事を双方の回想からはっきり解らせながらも最後迄はっきりと悟らない手法が利用されています。

 

 

しかも当作品が公開されたのは終戦から28年後…有料波の番組で舟木一夫が「実の兄弟姉妹と解らぬままの方々は果たしてどれ程居るものかと専門機関に問いてみた所、大東亜戦争終結から大凡20数年の時点では無数に存在しているとの回答を得て出演作品に生かした」と云う意味合いの事をお話をされていましたが、当作品も「原作が存在する」と云う差異は在るものの、舟木さんと同じ思考を持っていたのではないかと推測をしますし、時代背景を変えて当時考えられた同様の描写を交える事で観客の心情を一挙に捉えたと思われ、事実最後の余韻が非常にいい!

 

 

そして「最後の大凡10分前に起きる急展開と表裏不一致の末路」は「憎々しさと爽快感を同時に高次元で堪能出来る、松竹時代劇作品の中でも屈指の名場面」と言えると感じます。

 

 

 

 

 

 

「日出さん・川地さんの安定感抜群の灰汁と悪…更に東映でお馴染みの脇役であった須賀良等々も顔を出す配役の楽しさと奥深さ」「大悪党の表裏不一致に引けを取らぬ悪女振りを見せた、此方も表裏不一致の野際さんの名芝居」等々も見所ですが…劇場公開作品はテレビドラマとは別の展開で「田宮・高橋コンビの仕掛人」を、年に一度のお楽しみとして観てみたかったと感じる程二人共に嵌っています!

 

 

田宮さんに関しては大映時代に見せた「硬質さ・剽軽さ」を適度に融合させたかの様な雰囲気が梅安の持ち味に合っており、緒方さんや東映制作版の萬屋錦之介等々とはまた違う「梅安像」を堪能させてくれます。同時に、自ら「五社協定をまともに食らった張本人」として二谷英明司会の歌謡番組で「エイメイさん(二谷さんの愛称)、五社協定はね、日本の映画業界を駄目にした最もたる物でしたよ」と語った田宮さんが柵から解き放たれた様に悠々としていた様にも感じます。

 

 

 

最後に…俺が記事内で山村さんを「クラウンの山村」と呼ばせて貰っている理由は「このCMの決め台詞」が切欠です(CM内で歌唱されているのは水原弘)。

 

 

 

 

 

 

しかし「非情のライセンス・第三シリーズ」最終回では、YouTubeの或る動画のコメントに書かれていた通り「クラウンの山村、無残にもセドリックで爆死!」これを考え出した東映制作陣・その意向を受け入れたクラウンの山村・それに対して何も言わなかったトヨタ自動車及び日産自動車の姿勢が在って生まれたであろう名場面!