学生愚連隊・暴力団予備軍・過激派が激突!東映京都「学生やくざ」渡瀬恒彦/菅原文太/峰岸隆之介 | 東映バカの部屋

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東映制作作品を主体として書いていますが、たまに他の話題も…一人でも多くの東映ファンが生まれる事を望みます!

皆様、おはようございます。

 

 

今晩は休日出勤…それに備えて夜更かしをしていますが昨日の夕方から仮眠を使用と布団に入ったものの眠られず、睡魔との戦いとなっています。

 

 

 

さて、去年の9月に全放映波に於ける初放映が実現し、当方の記事でも紹介させて貰った東映京都「ラグビー野郎」の演出を務められた清水彰監督…「演出に携わった二作品の内の一つ」ですが「もう一方の演出作品」は残念ながら未見でした。

 

 

しかし「ラグビー野郎」の鑑賞直後、ひょんな事からその「未見作品」を全篇鑑賞!

 

 

 

「学生(セイガク)やくざ」昭和49年2月13日公開・富綱宏一原案・富綱宏一/皆川隆之の共同脚本・清水彰監督・東映京都制作。

 

 

VHS化作品ですが未DVD化で、GYAO!ストアに於いて有料動画配信が行われています。

 

 

 

 

 

 

※KINENOTEの作品案内は此方から

 

 

 

併映作品は「鈴木則文監督が東映京都撮影所から東映東京撮影所に転籍後、初めて演出に携わった作品」(同時に「基本的に東映京都常駐女優」であった渡辺やよい・衣麻遼子と「鈴木組の守り神」であった三原葉子を「貴重なキャラクター」として起用し、重要な役処に配しています)かつ「多岐川裕美のデビュー作品(主演)」となった「聖獣学園」(鈴木則文/掛札昌裕の共同脚本・鈴木則文原案/監督兼任・東映東京制作)。

 

 

VHS/DVD化作品ですが、有料動画配信は行われていません。

 

 

 

 

 

 

※KINENOTEの作品案内は此方から

 

 

 

東京の大学に在籍をしていた「元・老舗一家の長男」渡瀬恒彦は、敵対する大学応援団の一人を半殺しの目に遭わせてしまった為、実母・荒木雅子と一家の元・若衆で現在は板前をしながら恒さんのお守り役を続けていた菅原文太の伝手でほとぼりが冷める迄「旧知の大阪の老舗一家…しかし現在は虫の息であった北村英三の元」に身を寄せる事となります。

 

 

北村さんの一家に居候中「自分の食い扶持は自分で稼ぐ!」の心意気は良かったのですが、日雇人夫として働いていた現場で此方も学生で過激派の一人であった峰岸隆之介(後の峰岸徹)と睨み合いとなり、更には「大阪の大学生不良軍団」「青木リカ(近代映画協会制作/東宝配給「混血児リカシリーズ」の主演女優)が率いる高校生スケバン軍団」等々との喧嘩に勝利をした事から「大同団結の親分」に祭り上げられ「俺達はセイガク!暴力団でもなければその予備軍でもない!セイガクはセイガクらしくプライドを持ち、仁義と正義に生きて欲しい」と命じます。

 

 

そして「暴力団予備軍である神太郎が率いる「もう一方の大学生不良軍団」と、それを手先に利用する今井健二率いる暴力団(北村さんの一家が「虫の息」であった最大の理由は「今井の健さんの勢い」です)」「暴力団の追放・壊滅とピンハネ一掃を要求し、釜ヶ崎の労務者を煽動→それを隠れ蓑に過激派活動を遂行しようとする峰岸さんと他の過激派メンバー」と「恒さんが率いる大学生不良軍団」三つ巴の戦いに突入して行くのですが、峰岸さんの知らぬ所で過激派メンバーと今井の健さんの間で「手打ち金」が遣り取りされた事を切欠に内部分裂が発生し峰岸さんは絶命、更に釜ヶ崎の労務者達に牙が向けられ…

 

 

最後の最後で峰岸さんと心が通じ合った恒さんは「以前、仲間達の一部が今井の健さん・神さん連合軍に傷付けられた経緯」も在り殴り込みに向かうと、今井の健さんの兄弟分である文太さんが「先の件では「過去のお前に戻ってくれ!」と目を瞑った際「次は無い!」と言った筈だ!」と、先に匕首を持って暴れており「恒さんと文太さんの共闘による最後の戦い」の火蓋が切って落とされます。

 

 

 

 

 

 

場面場面を切り離して観ていくと「空手二段の腕前を持つ恒さんの暴れぶりと身体能力の高さが堪能出来る」「三十路を前にして恒さんが演じた不良大学生役が非常に嵌っている=不良中学生/高校生とは比較にならぬ程の背伸びをして自らを大きく見せようとする不良大学生の現実に当時の恒さんが適任であった事を伺わせる芝居」「共演経験が非常に少ない、恒さんと峰岸さんの相性の良さ」「出演時間及び場面数は僅かながらも、東映京都制作「三代目襲名」と同様の「笑いを封印した芝居」で「真摯かつ脱線の無い芝居でも第一人者」と強い印象を観る側に抱かせる南利明・岡八郎」「組織の結成式に参加をしていた女子高校生スケバン軍団の面々に、ノンクレジットで池玲子・杉本美樹が登場し神さんに凄む一幕が在る!(やはり「青木さんと、他のスケバン高校生役に配された駆け出しの女優陣のみでは「結成式」の場面は締まらなかった」のでしょう。「真打登場!」と云った趣です)」「理想の実現に対して全くぶれない峰岸さんと、場合によっては風見鶏になる他の過激派メンバーとの内部分裂に学生運動の見えない真実を見た様な気にさせる効果の大きさ」「白髪交じりの頭髪になり、四十代初頭にして「初老の貫禄」を演じ切った文太さん。見方によっては「文太さんから恒さんへの、狂犬の座の引継ぎ式」の様にも見える趣が…」「役は小さくても真剣に見せ、他の脇役陣よりも一層光る存在であった片桐竜次・川谷拓三」等々の見所も多いのですが「物語の繋がり方と広げ方、終盤直前の束の纏め方」に難が在り、そこが「識者評価・観客評価」双方共に落とす要因となってしまっているのは残念。

 

 

助監督経験は非常に豊富であった清水監督ですが「一度得た監督の座を絶対に手放さない!」と「学生やくざ」に於いては恐らく意気込んだものと思いますし「観客目線への寄り添い」は十二分に達成されているものの「遣りたいもの・伝えたいものを尺の中に詰め込み過ぎて収拾が付かなくなってしまった」のかもしれません…これをスッキリと、例えば「恒さんの組織内の遣り取り」「過激派側の内部状況」「三つ巴の抗争」等々を幾分簡略化する手腕が発揮されていれば「佳作」となったと思います。

 

 

しかし「その熱意」は後に演出を務められた「ラグビー野郎」でも存分に伝わって来ましたし「学生やくざ」以上に観客目線に応えながら纏まりも良く、ラグビーを知らない方々でも十分に楽しめる内容を持った「佳作」と俺は思っています。そして再び助監督業に戻り携わった作品群は「東映大作路線の中でも評価の高い作品ばかり」であり「監督経験を生かし、監督達の右腕として頼られる存在となっていたのではないかなぁ」と推測をします。

 

 

 

 

 

 

因みに「学生やくざ」の「恒さんの空手アクション」を観ていて「東映制作の特撮テレビドラマ「仮面ライダー」は「生真面目な好青年の印象で演じた藤岡弘(現・藤岡弘、)」よりも「とっぽいが剽軽かつ気のいい、いざとなれば本当に頼りになる兄貴肌で、空手もカースタントも一流かつ、二輪の腕も高い恒さん」が演じた方がより人気が出たのでは?」と感じた程。

 

 

「バ~カ!」と子供達を咥え煙草で罵ったり「おい、おっさん!」とコップ酒を片手に小林昭二を煽ったり「オネ~チャン!いい事をしに行かない?」と腰に手を廻して島田陽子・山本リンダ等々に平手打ち(又は股間蹴り!)を食らったり…想像するだけでも楽しくなります!

 

 

俺は「アクション俳優」として比較をした場合には「藤岡さんより恒さんの方が芝居の巧さでは勿論の事、スタントの技量・精神力・真摯な姿勢等々、総合力で遥かに上」だと思っていますから「恒さんの持ち味を幼少者向けの作品に生かしても面白かったのではないか?」と…勿論「当時の東映の事情がそれを許す筈が無かった事を承知の上での幻想」ですが「偽・仮面ライダー」「仮面ライダー●●」(例えば「狂犬渡瀬」にかけて「仮面ライダーKEN」(KEN=犬)とか)等々の配役でゲスト出演でも良かったなぁ…