父と弟の怨念を果たす為に復讐の鬼と化す!東映東京「妖艶毒婦伝・人斬りお勝」宮園純子/中川信夫監督 | 東映バカの部屋

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東映制作作品を主体として書いていますが、たまに他の話題も…一人でも多くの東映ファンが生まれる事を望みます!

●この記事は平成30年10月6日(土)16:30頃に追記の上、再掲載しています。

 

 

 

皆様、こんにちは。

 

 

休み二日目、日本海側は台風の影響の為か、この時期にしては気温の高い曇り空です。

 

 

 

さて本日は「非常に珍しい、東映東京撮影所が制作を手掛けた時代劇作品」を紹介致します。

 

 

屋内の撮影は問題が無かったでしょうが、東映東京撮影所のオープンセットや中庭、更には倉庫・スタジオ等々の建造物を存分に生かして「江戸時代の趣」に化けさせたでしょうし、更には首都圏の「自然が豊かな場所」を選んで撮影を進めたでしょうから「慣れぬ作業に非常に難儀をしたであろう事」は容易に伺い知る事が出来ます。

 

 

 

「妖艶毒婦伝・人斬りお勝」(「妖艶毒婦伝シリーズ」第二弾)昭和44年4月10日公開・高田宏冶脚本・中川信夫監督・東映東京制作。

 

 

日本国内に於いては「未VHS/DVD化作品」ですが(異国向けのDVDが発売されている為)GYAO!ストア内に於いて有料動画配信が行われています。又、以前東映chにて放映された実績が有ります。

 

 

 

 

 

 

※KINENOTEの作品案内は此方から

 

 

※YouTube内「妖艶毒婦伝・人斬りお勝」の予告篇動画は此方から(東映公式の動画ではない為、もし削除されていた場合は何卒御容赦下さい)

 

 

 

「緋牡丹博徒シリーズ」第四弾に当たる「緋牡丹博徒・二代目襲名」(鈴木則文脚本・小沢茂弘監督・藤純子(現・富司純子)主演・東映京都制作。VHS/DVD化作品でDMM.com/TSUTAYA TV/ビデオマーケット/GYAO!ストア/AMAZONビデオ/YouTubeムービー内に於いて有料動画配信が行われています)の併映作品。

 

 

 

 

 

 

※KINENOTEの作品案内は此方から

 

 

 

●東映公式・YouTube予告篇動画

 

 

 

 

 

 

「二人の純子」の主演作品を組み合わせた番組展開とは…東映は「観客の心を歓喜させる粋な番組組合せ」をさせたら「当時は明らかに一番であったんだなぁ」と感じさせてくれます。

 

 

 

「妖艶毒婦伝シリーズ」第一弾に当たる「妖艶毒婦伝・般若のお百」は、東映京都の制作でしたが、当作品と最終作品の「妖艶毒婦伝・お勝兇状旅」は東映東京の制作。

 

 

以前、鈴木則文監督は自著内に於いて「東映京都のヒット作品を東映東京に移管する事がよく有った(東映京都よりもヒット作品に乏しかった東映東京の救済の目的が有った模様です)」とお話をされていましたが「妖艶毒婦伝シリーズ」については「全く別な事情」と私感ではありますが捉えています。

 

 

 

先述の通り「藤純子・宮園純子」と云う「主演級の女優については他社に対して明らかに劣勢だった当時の東映が、多くの観客を動員出来る、特に人気の高かった妖艶で男勝りの二人の純子の主演作品を組み合わせた番組構成により、東映作品とは縁が遠かった女性客を、お家芸の「任侠路線・時代劇路線」で誘い込もうとした」(そして「東映ファンの教祖様」である杉作J太郎が以前、日本映画専門ch内の番組でお話をされた「鶴田浩二・高倉健等々「俳優主演の作品群」も勿論観ていたし様々な物事を教えて下さったが、我々野郎は「純子姐御の様な美人に教えて貰う方が呑み込みが早い」のも事実」と云う側面から「男性客を更に取り込む目的も有った」と考えます)だけに留まらず「東映京都の事情や、緋牡丹博徒シリーズとの棲み分け等々との大義名分で東映東京に移管し「競作の相乗効果」「東映東京の底力を引き出す」他に「東映京都優勢の現実に胡坐をかき、このままでは動脈硬化になり兼ねないと判断した上層部が、東映東京の制作能力を見せ付ける事で東映京都に自ら気付かせ、危機感を募らせ、現状を打破する行動に出る事を期待しての決断であった」とも感じます。

 

 

 

当作品が誕生した当時、東映京都は石井輝男監督の「東映異常性愛路線」等々で新たな鉱脈を発掘はしていたものの「大きな起爆剤」「長期シリーズ化」と迄は行っていませんでしたし、主力事業であった時代劇テレビドラマ作品も「従来路線の踏襲」の印象が拭えない状況…

 

 

しかし、この頃から「大奥」の「オムニバス形式」を上手く生かした「テレビ用の東映プログラムピクチャーとも言える作品群」や、菅原文太/川地民夫主演の「まむしの兄弟シリーズ」に於ける「義理人情の侠客路線を完全に否定した新たな演出」若山富三郎主演の「賞金稼ぎシリーズ」の様な「擬斗の面白さ・奥深さを前面に推し出した作品群」そして「若者向けの路線」「看板作品に負けない強さを持った併映作品群」として「女番長(すけばん)シリーズ」「恐怖女子高校シリーズ」「東映時代劇ポルノ路線」そしてあの「仁義なき戦いシリーズ」に始まる「東映実録やくざ路線」更に「松方弘樹東映脱獄三部作」等々に結実し、それ等は全て東映京都から生み出されましたから「上層部の判断は正解で、想定以上の成果と収益を齎した金字塔」と言えます。

 

 

 

さて「人斬りお勝」ですが、幼い頃に「捨て子」として、道場主の西村晃に拾われ、西村さんの実子で義理の弟に当たる近藤正臣と三人で暮らしていた純子姐御。

 

 

しかし、甲府勤番頭で江戸への帰参と同時に栄転を目論み、農民達から常軌を逸した年貢を取り立て、江戸老中に賄賂を送っていた今井健二に対し、西村さんが苦言を呈すると、西村さんの道場の師範に対し「俺が要職に就いた際には、江戸で道場を開かせてやる」と約束した上で抱き込み、更には近藤さんを昵懇のやくざの賭場に誘い込んで追い込み、加えて純子姐御の処女をも奪い「お前が俺の女房になるのであれば西村さんを解き放ち近藤さんの事も解決してやる。そしてお前にも一生不自由をさせないし贅沢三昧だ!」と迫ったものの拒絶され、西村さんは純子姐御の目前で「拷問による壮絶な死」を迎えます。

 

 

しかも、純子姐御が近藤さんとその交際相手で「子を身篭っていた」賀川雪絵(現・賀川ゆき絵)を甲府から逃がしたのですが「一時的に身を隠す場所」として宛にしていた筈の「過去に西村さんの道場で修業をしていた」曽根晴美と曽根さんの女房である沢淑子に金銭目的で雪絵さんを遊郭に叩き売られた上、近藤さんは殺害されてしまったのです。

 

 

「今では当家の血を引いているのは雪絵さんが身篭っている子供だけ」と、命を賭けて遊郭から雪絵さんを助け出した純子姐御は、遊郭の主の沢彰謙とその手下達、更には曽根さん・淑子さんを見事な立ち回りで斬り殺した際(道場内に於いても「筋のいい純子姐御と、剣の能力が低い近藤さんが逆であったなら」と周囲は言い放ち、その言葉に呼応するかの様に「実子の近藤さんではなく、義娘の純子姐御を道場の後継者と決めていた西村さんの意思」が序盤で明らかにされています)「あたしには「人斬り」の血が流れているのかもしれない」と感じ始めるのです。

 

 

「兇状持ち」となりながらも、雪絵さんと共に江戸へ入る事に成功した純子姐御…その時点で、今井の健さんは南町奉行となっており「仇討ちを恐れて純子姐御を江戸に一歩も足を踏み入れさせない数々の手段」を講じながらも(結果は先述の通り「失敗」です)「悪行に邁進する姿」は相も変わらずで、琴の師匠を表向きの稼業とする悪党の三島ゆり子と結託し、老舗の主人の河合絃司と女房を葬り、愛娘の小林千枝との婚姻を一方的に進め、結実直前に迄漕ぎ着けていたのですが、純子姐御の怨念に加え「今井の健さんの諸行に疑問を持ち、調査に当たっていた北町奉行」「北町奉行の手先として秘密裏に行動していた、くの一で純子姐御に助けられた事の有る大信田礼子」等々が確実に今井の健さんを追い込んでおり、更には「賞金稼ぎの若山富三郎の粋な計らい」にも助けられ、怨念を果たして「兇状持ちの旅に再出発する姿」で終了。

 

 

 

 

 

 

 

「藤の純子姐御」の「静の凄味・高質な華麗さと気品」とは一味違う「宮園の純子姐御」の「躍動感・上品な淫靡さ」を全面に押し出したかなりの娯楽傑作です!


そして両作品共に「理不尽な形で父親を殺された女侠・そして女兇状持ちが目的の完遂と共に「弱きを助け強気を挫く事が出来るのか?」を描いていく物語」「怨念を強く出せば出す程美貌が増す二人の純子姐御」ではありますが「緋牡丹博徒シリーズ」が「侠客仲間に支えられながら一家の親分として着実に成長を続けて行く流れ」であるのに対し「妖艶毒婦伝・人斬りお勝」は「世の中の全てが信じられなくなりながらも、純子姐御の境遇に同情した者達が陰から支え、目的を完遂させる為に尽力する流れ」となっているのが「大きな違い」。

 

 

「世間知らずの箱入り娘の一念発起を、決して器用とは言えない藤の純子姐御の台詞回しと静寂な品の高さを生かして描き切った緋牡丹博徒シリーズ」「生みの親の全てを知らぬまま、世間の甘いも辛いも或る程度享受していた娘が「巨悪の現実」を思い知り「寄って来る者達には「疑いの目」を向け本心を簡単に見せない」代わりに「自らが愛情を持って接した者達には「捨て子の自分を育ててくれ、愛してくれた義理の家族達に対する恩を他人を介して返す姿」を、器用な上に言語明瞭で凛とした感を持つ宮園の純子姐御の台詞回しとそれに見合った激しくも美しい所作・殺陣を焼き付けた妖艶毒婦伝シリーズ」となります。

 

 

 

「父親を配下に甚振らせながら純子姐御と事に至ってっ口説き落とし、それでも飽き足らずに情欲・金欲に邁進する今井の健さんの極悪ぶり」は、当作品の雰囲気に完全に嵌った「見事な配役」ですし、その悪事に手を貸す三島さんの起用も文句無し!

 

 

そして「理不尽な振る舞いに対し毅然とした態度を貫く西村さんの姿は、後に演じる事となる「水戸の御老公」をも通じる芝居である事」「後に「二枚目俳優」として名を馳せる近藤さんの「自らを大きく見せたがる気の小さな男の典型的な結末を見事に演じ切った芝居」(近藤さんの素顔は「何事にも真摯ながら、剽軽な人柄」ですし、魅力ともなっています)「裸になる事も厭わない雪絵さん・千枝さんが見せる「女らしさ」は「素の自分を生かした芝居だったのでは?」と感じるものとなっている事」「現代劇でも時代劇でも変わらない、礼子嬢の持ち味を存分に生かしたくの一姿と芝居」等々も物語を更に奥深いものにする要素となっています。

 

 

更に「壁を完全に取り去った遊郭の全景を正面右寄りの位置に固定されたカメラで映し出し、その場面の主題と共に周囲の動きをも同時に焼き付けた斬新な場面構図の面白さ」は特筆もの!

 

 

中川監督はこの当時、劇場公開作品と同時並行の形でTXN系列放映のテレビドラマ「プレイガール」の主要監督の一人としても活躍されていましたので「時代劇版・プレイガール」とも言える趣を、若干ではあるものの感じる事が可能ですし、この作品での活躍により後に「準オネエ級」として純子姐御が「プレイガール」の一員として起用されたのではないかとも考えます。

 

 

 

他の出演者は、富田仲次郎・土山登士幸・亀山達也・佐藤晟也・谷本小夜子・伊達弘・葵三津子・尾花ミキ・山岡徹也・伊達正三郎・五野上力等々「脇役陣については、東映東京を主体に活躍していた役者達と云う構成」ですし、擬斗担当は「東映東京撮影所・拳友会」の擬斗師である日尾孝司、そして現像は「東映化学工業(現・東映ラボ・テック)」ですので(東映京都の劇場公開作品は「現像担当会社」の表記がクレジットに明記されませんし、テレビドラマは「東洋現像所(現・イマジカウエスト」)」と表記されます)「正真正銘の東映東京制作作品である事」が解ります。

 

 

 

●追記はここから

 

 

この記事を掲載後、自家用車の購入契約をして来ました。

 

 

平成20年式・スズキのパレットで前輪駆動仕様、車体色は黒。

 

 

平成31年10月迄の車検残で走行距離は大凡140000キロ、価格は税込総額¥290000-となり、支払いを現金一括で済ませて来ました。

 

 

走行距離は多いですが、修復歴も無ければ「同じ東北地方」であっても「積雪が少なく、融雪剤の影響を受ける可能性の非常に低い」福島県から取り寄せた車両との事で「秋田県内からの下取り車」に比べて錆が遥かに少ない事が決め手となりました(普通車はそうでもないのですが、燃費向上対策の為に外装材が薄い軽自動車は錆の影響を受け易い短所が有ります)。

 

 

「年式の古い車両は、余り便利な装備が付いていると故障の可能性も高い」ですので「極一般的なフル装備であった事(マニュアルエアコン・プッシュスターターではない従来の鍵式の始動装置等々)も選んだ理由。

 

 

次回の休日である10/11(木)に納車の予定です。