舞台演出の楽しさも兼ね備えた傑作!大映東京「黒蜥蜴」京マチ子/大木実・井上梅次監督 | 東映バカの部屋

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東映制作作品を主体として書いていますが、たまに他の話題も…一人でも多くの東映ファンが生まれる事を望みます!

皆様、おはようございます。

 

 

今朝の5時半に勤務を終え、日曜日8時の始業時迄の休みに入りました。

 

 

 

本日は簡単に、昭和54年に松竹制作/ANN系列放映「土曜ワイド劇場・江戸川乱歩の美女シリーズ」(天知茂版)の第八弾「悪魔のような美女」(DVD/ブルーレイ化作品です)の演出を務められた井上梅次監督が、遡る事16年前に演出を務められた「同じ原作を使用した劇場公開作品」です。

 

 

 

「黒蜥蜴」昭和37年3月14日公開・江戸川乱歩原作・新藤兼人脚色・三島由紀夫劇化・黛敏郎音楽・井上梅次監督・大映東京制作。

 

 

DVD化作品ですが、有料動画配信は行われていません。

 

 

 

 

 

 

※KINENOTEの作品案内は此方から

 

 

 

今年、東映/新東宝/日活の「江戸川乱歩の原作を使用した劇場公開作品」と共に東映chで放映されました。

 

 

先述した「松竹制作版」が「明智小五郎=天知茂/黒蜥蜴=小川真由美」に対し、大映東京版は「明智小五郎=大木実/黒蜥蜴=京マチ子」となっています。

 

 

 

 

 

 

「物語の流れ」については、原作及び映像作品を既にご存知の方々が多いと思いますので割愛させて頂きます。

 

 

いい機会でしたので、先日「天知茂版と大木実版」を見比べてみたのですが、細部の演出に違いは相当数存在するものの「この物語の根底に有る「犯罪は美学」という考え方を持つ双方が、敵対関係等々を超えてお互いに惹かれ合い対決を心待ちにしゲームの様に楽しみ、そこに決して許されない上に結実する事の無い愛情さえも芽生えたかの様な流れ」は「制作時期に16年の差」は存在しても「序盤から観る者を引き摺り込む力量と面白さ」は全く変わっていない事に気付かされました。

 

 

「大きな違い」は、松竹版が「完全なる映像作品としての仕上がり」であるのに対し、大映版は「舞台演出(劇中で大木さん・マチ子さんが観客に問質したり声を掛けたり、更には「歌い踊る用心棒達」「突然踊り出す、絶命した筈の人間の剥製達」等々)の要素をも嵌め込み、それが「犯罪は美学」と云う物語の根底を更に昇華させる役目をしっかりと果たしている事」。

 

 

そして「貴方の一番大事な物を奪う」と黒蜥蜴に犯行予告をされた宝石商の三島雅夫は「探偵費用は月に100万円!」と明智探偵に言われながらも「二つ返事」で了承し(大木さんは「100万円でビクともしない人物であれば、もっと吹っ掛けて遣ればよかった…」と云う台詞を独り言で放っています)序盤では「俺は日本一の探偵をも即座に雇える大物!」と自慢していたものの、愛娘の叶順子を簡単に誘拐され(但し数時間後に無事解放されます)「自分の一番大事な物」に改めて気付かされましたが…既に時は遅く、最後には叶さんに愛想を尽かされる事になる結末も「大きな違い」となります。

 

 

 

何れにしても「松竹版・大映東京版」双方共に「多くの方々に存分に楽しんで貰える上に、お気に入りの一作品に加えて頂けるであろうお薦め作品である事」には変わりませんので、もし鑑賞機会が訪れましたなら是非ご覧になってみて下さい。

 

 

 

他の出演者は、目黒幸子・川口浩・藤山浩二・久里千春・丸井太郎・三角八郎・中条静夫等々です。