女優中心の作品。東映京都「緋ぢりめん博徒」中村英子/菅原文太。多数の特徴を石井センセイが纏める! | 東映バカの部屋

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東映制作作品を主体として書いていますが、たまに他の話題も…一人でも多くの東映ファンが生まれる事を望みます!

本日ももう一本ご紹介させて頂きます。


「緋ぢりめん博徒」昭和47年・東映京都。VHS/DVD化されています。

団鬼六の原案を高田宏治が脚本にし、石井輝男が監督。音楽は鏑木創。


渡世の義理である親分を殺した女の服役後、人助けを切っ掛けに再び渡世の義理に生きる姿を描いています。


その名の通り、この年に引退(後に復帰)した藤純子(現・富司純子)の「緋牡丹博徒」を受け継ぐ為に作られた作品ですが…全く別物。

僅かながら堅気を守る姿は有りますが、渡世を中心に描かれます。


解り易く言えば、東映任侠路線を女優に演じさせ、高田さんが団さんの原案を基に脚本を書き、石井センセイの世界で演出。

更に鏑木さんの独特の音楽で大映「女賭博師」(江波杏子主演。此方の音楽も担当は鏑木さん)の味をも感じさせる作品。


まぁ団さんの原案なら、当時の東映なら監督は石井センセイしかいなかったでしょう。

他に裸ならソクブンさん、牧口さんも居ましたが…この題材はそつなく扱えても独特の味も必要なだけに…石井センセイの起用は正解。

逆に「徳川セックス禁止令・色情大名」「エロ将軍と21人の愛妾」は石井センセイよりソクブンさん向けの題材でしたが…


シリーズ化はされずに終わりましたが、この独特の石井センセイの世界はやはり面白く、惹かれます。


「ポスト藤純子」として今作主役デビューを果たした中村英子。

「仁義なき戦いシリーズ」でも御馴染みでしたが、早々に寿引退、その後約一年で他界されています。

藤さんの緋牡丹のお竜には貫禄は敵いませんが、もしこの後も磨かれたなら相当の位置に居られただろうと思うと非常に残念。


中村さんを親父の敵と追うのは、当時東映ポルノ映画のトップ女優・池玲子。



ある賭場で中村さんに軍資金を提供したのは、女流れ者の松平純子。



肥後から姉妹で「縛り交尾」の見世物小屋に連れてこられた姉は、堀越光恵。(現・堀越陽子。元・横内正夫人)



今は差別用語になっていますが「めくら(盲目)」の壺振りは、藤浩子。(後に藤ひろ子に改名)



刑務所で中村さんと兄弟分の血を啜り合った「兄貴分」で男として生きる女親分は、土田早苗。



中村さんを慕うある組の子分には、山城新伍。

今回は卑猥さ・滑稽さを捨ててかかった芝居。



中村さんが過去に出逢った男で、最後には助けに廻りながら絶命した渡世人は、菅原文太。

「暴れん坊」ではなく、完全に「渡世に生きる男」でしたが、文ちゃんはこういう役もそつなくこなしています。

因みに新東宝時代も含め、文ちゃんは石井センセイの作品への出演数は今作を含めても極めて少ないです。(他に「やくざ刑罰史・私刑」「網走番外地・吹雪の闘争」他数作品のみ)



凶悪チームは左から、名和宏・丘路千・小池朝雄!

この三人の並び、最高です!



いい人に見えますが今回は極悪なのは、大木実。

手配されている文ちゃんを用心棒・鉄砲玉として飼っています。



その文ちゃんを追う刑事は、左から沼田曜一・疋田泰盛。

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最後の殴りこみの場面では、東映京都撮影所で長年脇役を演じながら「東映剣会」の殺陣師とその先生を務めている福本清三の「キレのいい殺陣」も見られます。

現役です。

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今作は女性を中心に描かれていますので、目を覆われるかもしれない場面も有りますが女性でも共感出来るであろう中身の作品。


卑猥さや血に対してさほど抵抗が無いのであれば、女性が東映作品に足を踏み入れる上では適した作品と思います。