昨夜のフジテレビで放映された「サキヨミ 」を見た方も多いかと思います。
ニュースのほとんどは酒井法子関連のものでしたが、私はその後の中国のパクリケータイの実情リポートにびっくりしてしまいました。
(番組の構成はこちらに詳しく書かれています 。価格COMのサイトではテレビ番組の内容をこんなに詳しく紹介しているんですね。これは使えるかもと思ってしまいました。)
なんと、中国の携帯市場の25%(5,000万台)が、他社のロゴをつけたり、改造したりといった違法な携帯電話であるということです。
何を以って違法な携帯とフジテレビが定義しているのかがやや怪しいので、多少は割り引いて考える必要もあるかとは思いますが、それでも
25%!というのは驚くべき数字です。
単純に携帯電話の4台に1台が違法ということですので、取り締まる気になれば、手当たり次第に検査をしたとしてもかなりの確率で摘発が可能だと思います。
しかし今の中国政府はそれをしない。
現状を取り締まる気がないというのがこの国の現実ですし、著作権や特許というものに対する認識はその程度なのだと思います。
そんなことを思いながら番組を見続けていたのですが、番組自体の問題提起はやや別な方向に向かっていきました。
サキヨミのリポートでは、この問題をもちろん違法な手法に対しどう対処していくべきか、という問題提起で結ばれるわけですが、中国特有の問題としての捉え方ではなく、「先進国に追いつこうという新興国ではこういう問題は起こりうる。かっての日本でもそういう側面はあった」という内容のナレーションをはさみ、どちらかというと“新興国全般の問題”として、提起してリポートを終了したのでした。
そのナレーションが作った流れにコメンテーターとして出演していた伊東乾氏がまんまと乗っかってしまいました。
伊東氏がおっしゃった内容をまとめると、
「かっての高度成長期の日本も欧米のモノマネによって技術成長を遂げてきた。
それを同じことが中国をはじめとしたBRICSなどの新興国すべてで行われている。
そうしたことは新興国が先進国にキャッチアップする過程では、当たり前のように起こりうる話であって、パクリの結果としての技術の蓄積によりいずれは日本も追いつかれる可能性も考えられる。
日本企業は批判するばかりではなく、そうした将来の競争を見据えた準備を怠るべきではない。」
というような感じの内容でした。
伊東氏は東京大学大学院情報学科の准教授で、独特な切り口での深い洞察をされる方だという印象です。(伊東氏のコラム「常識の源流探訪」
)
その伊東氏もリポートVTRが作った流れに影響を受けたのでしょうか。
私もリポートから伊東氏のコメントに続く一連の流れで、すっかりなるほどと思って見てしまっていました。
他の出演者も司会者もこの伊東氏のコメントが作った流れを所与のものとして番組が進み、全体としてパクリ企業に対し寛容なスタンスが形成され、むしろ新興国の成長に煽られた日本は今後どうなっていくのだろうと問題意識がみんなに広がります。
しかし、やはりこれは問題の本質とずれたどこかおかしい捉え方なのだと思います。
ですが、最後に司会者から意見を求められた竹田圭吾氏 が、ずばり問題の本質に視点を戻してくれました。
「いくらかっての日本が欧米のモノマネをしてきたといっても、さすがに本日紹介されたパクリのような酷いことはしていなかった。
SONYやNOKIAといったトップブランドがそのブランドを形成するまでにどれだけの費用をかけ、苦労をしているのか。
またアップルがiPoneを生み出すにあたっての、最初のコンセプト作りやオリジナリティの開発にどれほど苦労したと思っているのか。
本件はそうした著作権や開発の価値に対する認識の甘さの問題であり、法的整備の遅れの問題だ」 と。
竹田氏のコメントに対しては司会者も他の出演者も何も言うことが出来ず、番組はなんとなく気まずい空気の中で次の話題に移っていきました。
しかし、竹田氏の言葉がなかったら、私自身もリポートVTRを見ていて思った印象は薄れ、番組と伊東氏が提起した問題の捉え方の印象を強めて見終わっていたと思います。
なんとなくテレビを見ていると、番組制作者の意図する方向に誘導されてしまうなあと改めて感じた出来事でした。