小説版【芸人と結婚します！】19

＜まえがき＞

①ブログ漫画【芸人と結婚しました！】が原作の二次創作小説☆
(※七瀬のブログ友達である漫画家の【ゆうゆう】 こと【カキウチさん】 に捧げます☆)
②原作のブログ漫画【芸人と結婚しました！】 に基づき再構成してます☆
(※人物・団体・出来事、心理描写等、原作漫画を元に再構成してま～す☆)
③原作にないお話は基本的にフィクション☆
(※心情や情景等、原作漫画や現実とは異なる描写を大幅に加筆☆)

以上の事をＯＫな方は、拙い文で恐縮ですが、読んでいって頂けると嬉しいです。

(※小説作成・掲載＆漫画のカット使用を快諾、イラストまで寄稿してくれたゆうゆう、本っっ当にありがとう(≧▽≦)

※最初の話はコチラ⇒【１】
※前回の話はコチラ⇒【１８】

※目次＆あらすじはコチラ

　⇒小説版【芸人と結婚します！】目次

以下、小説本編始まり始まり～☆

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原作漫画&イラスト

　：【カキウチ　ユウコ】
小説著

　：【七瀬　夏葵(ななせ　なつき)】

小説版【芸人と結婚します！】19
特別編「自転車男」part.3

「映画に行く事になったぁ～～っっ！！？？」

静かな店内に、カッキーの声が叫び渡った。

「ちょっ、カキウチさん声！もうちょっと静かに！」

「ごご、ごめん！だだ、だってタカタさん、ええ、映画って！それ、完璧脈ありじゃん！！」

興奮気味にまくしたてるカッキーに、タカタは戸惑いの色を浮かべた。

「ええっ！？み、脈ありってそんな・・・・・・」

二人がいるのは、いつも二人が使っている都内某所のバーガーショップ。
タカタは専属恋愛アドバイザーであるカッキーに、例の【ティファニーちゃん】こと【ナミさん】とのプラネタリウムデートの報告をしていたのだが・・・・・・。

「だって！誘ったらＯＫだったんでしょ？こりゃもう絶対付き合っちゃう流れですって！！」

「ええーーーっっ！！？？つ、付き合う！？ぼ、僕と彼女がっっ！！？？」

信じられない様子のタカタに、カッキーがなおも興奮気味に身を乗り出した。

「だって、そもそも彼氏いたら誘っても断られると思うし！ＯＫってことは、タカタさんに興味あるってコトだよ！！」

「ええっ！？そそ、そうでしょうか！？」

事の流れはこうである。
先輩にもらったチケットを手に、彼女、ナミさんとプラネタリウムに行く事になったタカタ。
二人でプラネタリウムデートを堪能した後、別れ際に思いきって映画に誘ったところ……。

意外にもすんなりＯＫがもらえた！
その話を聞いたカッキーは、彼女は絶対タカタに気があるに違いない！という結論に至った、というワケなのだった。

「僕、２６年間生きて来て、女性と二人っきりで映画なんて、初めてなんです・・・・・・！」

「ええっ！？ホントに！？遅っっ！！」

驚くカッキーを前に、タカタはぷるぷると身体を震わせながら言葉を続けた。

「そ、それどころか、て、手があんな近く・・・・・・！！」

あと１０ｃｍ手を動かせれば手を繋げるトコだったのにと嘆くタカタに、カッキーが冷静に尋ねた。

「え？タカタさん、もしかして彼女と手繋ぎたいの？」

「や、その・・・・・・。繋ぎ・・・・・・たい・・・・・・の、かな？」

自信なさげに答えると、カッキーがガバッと身を乗り出して来た。

「タカタさん！！二度目のデートで手繋げたら、絶対彼女と付き合えるよ！！」

「ええっ！？ま、マジですか！？」

「た、多分・・・・・・」

「多分ですかァ・・・・・・」

ガックリと肩を落とすと、カッキーがグッと拳を握って叫んだ。

「いやでも！デートして手繋いでくれたら、そりゃもうほとんどＯＫもらったも同然でしょ！？頑張ってみなよ！！」

私がついてるから！というカッキーに、タカタは思わず感激で身を震わせた。

「カキウチさん・・・・・・！！わかりました！僕、頑張ってみます！！」

「うん！！よし！そうと決まったら服だよ服！！新しいの買いに行こう！！」

―――――そんなこんなで迎えた二度目のデート当日。

都内某所の駅前。
タカタは緊張した面持ちで彼女、ナミさんを待っていた。

――――― 大丈夫！！カッキーにこんな素敵な服選んでもらえたんだし！！

最初のデートよりは全然緊張してないハズだ。
そんなふうに言い聞かせていた時だった。

「どうも～」

Ｔシャツにジーンズというラフな格好のナミが姿を現した。
特別オシャレとも言えないその格好でさえ、ナミが着ていると素敵に見える。
これが俗に言う『美人は何を着ても似合う』というやつだろうか。
Ｔシャツからのぞく白い肌。長く細い手足。
抱きしめたら折れてしまいそうな印象を受ける華奢な身体つき。
飾り気のない白いＴシャツの胸元は豊かに膨らんでいて、そこはかとなく女性らしさを主張している。
長い髪からは、ふわりとシャンプーの良い香りが漂って来る。
整った眉。大きな瞳。長いまつ毛。くっきりとした二重瞼。通った鼻筋。薔薇色の頬。艶めく唇。
けして派手ではないがナチュラルに施されたメイクも、彼女の魅力をより引き立てている。
どこからどう見ても、非の打ちどころのない完璧な美人だ。

――――― こんな女性（ひと）と一緒に歩ける日が来るなんて・・・・・・！！

密かに感動を覚えながら、タカタは緊張気味に声を出した。

「じゃあ、行きましょうか！」

妄想でなくリアルに女性とデートしている。
夢のような現実に空も飛べそうな心境で、タカタはナミをリードして映画館へと向かった。
チケットは事前に購入していたので、タカタとナミはすんなりと中へ入って座る事が出来た。

「楽しみですね～♪」

ニコニコと爽やかな笑みを浮かべるナミに、タカタはドキリとしながら「そうですね」と相槌を打った。
本当は、映画なんかそっちのけで別の事で頭がいっぱいだった。

――――― 今日こそキメるぞ！！！！

今日の映画が泣ける物である事はリサーチ済みだった。
後は、彼女が泣き始めたタイミングでサッとハンカチを差し出す。
何度もシュミレーションしたそのシチュエーションを脳内再生し、心の準備を整えていく。

ブーーーーッ！！！！

開幕のブザーが鳴った。

「あ、始まりますよ」

ナミがわくわくした顔で言い、タカタはゴクリと息を飲んだ。
自転車男タカタ、一世一代の舞台の時が今、始まろうとしていた。