安楽死について考えてみた(2) | しちふくのひとやすみ

しちふくのひとやすみ

獣医師&獣医鍼灸師&レイキヒーラーである
しちふくの感じたいろんなこと

前回の続きです。

 
論文からの引用文は青文字、
私見は黒文字で書いてあります。
 
引用している論文はシリーズ1回目に書いてありますが、主に
『不治の病にかかった動物は安楽寺させるべきか』という論文から引用しています。
 
ハート キラキラ ハート キラキラ ハート
 
人における安楽死とは
『死期が切迫した病者の激しい肉体的苦痛を
 病者の真摯な要求に基づいて緩和・除去し、
 病者に安らかな死を迎えさせる行為』
と定義されています。
 
動物の場合は、動物自身が安楽死を
望んでいるかどうか確認できません。
 
以前も書いたように、
動物は、過去を思い悩んだり
未来を悲観したりすることはないと
個人的には思っています。
 
動物は今だけを生きていると思います。
 
苦痛を免れるために死を願う
という考えは動物には無いように思います。
 
 
人の場合、安楽死と区別すべきものとして
尊厳死と慈悲殺がある。
 
尊厳死とは、
『栄養と水分の補給以外には
 積極的な治療もせず、
 寿命が尽きたら尊厳のあるうちに
 自然に死なせて欲しいと願う死』
をいう
 
慈悲殺とは
『苦痛に耐えている動物を、
 苦痛から開放するために銃などで殺すように
 患者の苦痛を見るに忍びず、
 同情の念から回りの誰かが
 その人を死に至らしめる』
ことをいう。
 
慈悲殺の説明に、まさに動物の致死が
例に挙げられているように、
ペットの安楽死は慈悲殺の概念に
近いのではないかと思われる。
 
実際に欧米の文献では、
動物の安楽死を慈悲殺と表現している
場合が多く見受けられる。
 
 
一般家庭で暮らしている動物の安楽死は、
動物本人が望んでいるかどうかに関わらず
飼い主が動物の苦しむ姿を見ることに
耐えられず、苦しみから開放してあげたい
と思って行われる慈悲殺である、
ということなのでしょうね。
 
 
 
「我が子」が不治の病にかかった時
飼い主はどのように考えるのか
調べた結果があります。
 
 
左の円グラフは「不治の病に対する検査の希望」、
右の円グラフは「不治の病の治療の希望」を表します。
 
「我が子」が不治の病にかかった時、
安楽死を選択したい人は5.5%です。
 
最も多いのは、高次医療施設には行かず、
かかりつけ動物病院で苦しみを取り除く
治療だけをしてもらいたい
という考え方のようです。
 
私が普段診療させていただいている動物の
飼い主様のほとんどは
寿命が延びることよりも
最期まで穏やかに過ごすことを望まれます。
 
もちろん、中には、可能性があるのなら
どんな治療でも受けさせ
少しでも長生きして欲しいと
高度医療の動物病院に行かれる飼い主様も
いるでしょう。
 
私の治療を受ける、ということ自体が、
高度医療ではなく緩和治療を求めている
という意志の表れかもしれません。
 
私は、神の決めた寿命は変えられない
と思っています。
 
どのような治療をしても、
寿命はそれほど変えられないと思います。
 
でも、生活の質は変えられると思っています。
 
私が東洋医学を始めた理由は
西洋医学だけをやっていた頃に
西洋医学でボロボロになっていく
動物たちを見続けたことがきっかけでした。
 
もちろん、西洋医学で元気になる子もいます。
 
西洋医学を否定するつもりはありません。
 
でも、西洋医学では、医学が病気と闘う間、
動物の身体を犠牲にしてしまうことがあります。
 
まず病気をやっつけるためには
身体に表れる副作用には目をつむり、
病気がなくなったら
身体が元気を取り戻せば良い
という考えです。
 
身体は、病気と医学が闘う戦場となり、
荒れ果ててしまうこともあります。
 
複雑な症状の子は沢山の薬を投与され、
副作用が出れば、副作用を抑える薬を投与されます。
 
肝臓をはじめとする臓器がボロボロになっていきます。
 
本来の病気なんだか、副作用なんだか
分からなくなってしまう子もいます。
 
それを見ていて私は
『本当にこの治療法しかないのか』
と悩んでしまいました。
 
院長や他の勤務医たちは
『現代医学的に正しい治療をしているのだから
全く問題ない』
と完全に割り切っています。
 
でも、私は割り切れなかった。
 
その悩みが頂点に達したころ、
動物の鍼治療が日本でも行われていることを知りました。
 
そこで、アメリカの獣医師向け
動物鍼灸学校であるChi Instituteで
獣医鍼灸師の資格を取りました。
 
 
 
今日はここまで。
 
まだ続きます続く
 
 
 
 

 

 

コメント欄は開けてありますが、すべてのコメントに個別にお返事をする時間がありませんのでご了承ください。