ある日のこと

副料理長に海苔を買ってくるように頼まれた。


「いつもの海苔を買ってこい!」…と言われたのだが、、、

海苔の買い物は初めてだった。


そこで
一つ上の狂犬N先輩に相談した。


俺「すみません、N先輩!今副料理長に、いつもの海苔を買ってくるように頼まれたのですが、
どこで、どの種類の海苔を買ってきたら宜しいですか?」


N先輩はサラッと答えてくれた。


N先輩「『高島屋』の店行って、うちの店名乗れば、
『いつもの』で伝わるよー。
あと、店のツケだからお金要らないよ!」


俺「ありがとうございます!」


「いつもの!」で伝わるなんて、うちの店ってよっぽど顔馴染みなんだなぁ…
と考えていた。


早速海苔を買いに出掛けた。


銀座にある『高島屋』は
うちの店(築地)から自転車で5分で行けるほど近い。

直ぐに高島屋へ到着!!

地下にある『海苔屋』へ向かった。

そして
海苔屋の店員さんに話しかける。

俺「すみません!」


店員「はい、いらっしゃいませ!」


名前を名乗るだけで伝わると言っていたので、
単刀直入に名前だけ伝えた。

俺「築地の山田亭です。(仮店名)」


店員「………??……はぃっ??!」


ん??
周りがウルサくて聞こえずらかったのか??


俺「つーきーじーの山田亭です!!」


店員「申し訳ありません。どちら様でしょうか??」


もう一度、聞き取りやすいように言った!!



俺「築地のッ!!山田亭ですッ!!」


店員さんは一瞬黙って…


店員「申し訳ありません。少々お待ち下さい。」


そう言うと
店員さんは裏へ消えていった…。


数十秒すると…

裏から「店長」と書いてある名札を付けている人と一緒に戻ってきた。


店長さんなら分かるね!!
さっきの店員さんは多分バイトで慣れてないんだな!!
と一人で納得していた。


俺「すみません。築地の山田亭です。いつもの海苔下さい。」


いつも買いに来る先輩ではなく、
見知らぬ僕が買いに来たので
店長さんも一瞬悩んでいたようだが…

すぐに対応してくれた。


……………………………


数分後、、、


店長「山田様!大変お待たせいたしました。こちらが商品となります!!」


俺「大丈夫です。ありがとうございます!」






そう言って店へ戻ろうとした瞬間………




店長「お客様ッ!!!山田様!!!御代金!!商品の御代金をッ!!」


店長が俺に向かって
追い掛けて来る上に
代金を請求してきた!!


え?!
N先輩、ツケって言ってたじゃん!!??

慌てて店長さんに話しかける。


俺「僕初めて買いに来るんですけど…」


店長「そうですよね…私も初めてお目にかかります。」


俺「店の上司に、ここの海苔屋さんは、『ツケ』で大丈夫と聞いたので…」


店長さんは不思議そうな顔をして…


店長「私どもの店は、掛け……ツケでのお支払いは行っておりません。」


え?!
どういうこと??


俺「ちょっと待って下さい!!上司に確認します!!」


N先輩へ電話を掛けた。


………………………………………


N先輩「もしもし?」


俺「お疲れ様です。先ほどの海苔屋さんの支払いの件ですが、店長さんがツケはヤってないと言っているのですが?」


一瞬N先輩が黙り込んだ。


N先輩「多分、お前初めて行ったから、怪しまれてるよ。」


………………………そうなの???((((;゜Д゜))))


N先輩「分かった、俺も今からそっち向かうから、待ってろ!!」


そう言ってN先輩は電話を切った。



※やっぱりめちゃくちゃ料理の世界シリーズ「海苔のおつかい…後編」へ続く。
焼き場のポジションをやらせてもらっていた

ある夏。

つまり
「鮎の塩焼き」を大量に焼く季節である。  




鮎の焼き方は
まるで「生きている」かのように、
鮎をクネクネさせながら焼き…

そして
器に盛る時も
「泳いでいる」かのように盛る。


そして
こればかりは完全にセンスが出る為、
盛り付け終えたら

毎回料理長に確認してもらってから
お客様へお出ししていた。


毎回言われたとおり全く同じ盛り方をしているのだが

必ず!!
料理長は手を加える。



しかし、
よーーーく見ても分からないくらい
ほんの数ミリ動かすだけである。


内心、、、 
「その数ミリって意味あるのかよ…」


「しかも毎回全く同じ盛り方してるし、変えるところ無いじゃん…」

ずっと心でそう思っていた。



……………………………………………


あるバタバタした日に
料理長も忙しく
鮎の盛り方の確認をしてもらわずに
お客様へお出しした。


そして忙しかった営業が終わり
料理長が僕の元にやってきた。


料理長「オイッ!今日鮎あっただろ!?何で俺に見せなかった……?」

一瞬返す言葉に詰まったが、
今まで思っていた事を言った。


俺「…すみません。確認してもらってないです。
ですが、いつもと同じ様に盛って、お客様からも美味しかった!と言っていただきました!!」



いきなり料理長の目つきが鋭くなり、
俺の心を見透かすように睨みつけてきた…


料理長「いつもと同じ様に…って何だよ?!(怒)」


料理長が珍しく
暴力でなく、口で説明してくれた……。


料理長「この鮎とあの鮎は

いつも同じ所を泳いで…!

いつも同じエサを食べて…!!

同じ重さで…!!!

同じ形の鮎なのかよ?!」


俺「………………」


料理長「もしそうなら、全く同じ盛り方で構わない…
だが、自然で生きている鮎は違う!」


料理長に力説された…


…………


本当ならここで心にグッと来るのだろうが…


この鮎って
「養殖」なんだよね。


「まぁ養殖の鮎なんで…
いつも同じ所を泳いで…(笑)
いつも同じエサを食べて…(笑)
出荷時に、同じ重さと形で揃って送られてきますからね…(笑)

人工的な鮎ですから…(笑)」


「全て当てはまりますが…
料理長…?(笑)」



とは流石に言えなかった…(笑)



だが、
今となって分かる考えであった。


例え人工といえども模様は
二つとして同じ物はない。

エサの食いつきも違えば
微妙に肝の苦味も変わってくる。

毎日微妙に違う鮎
それに対応する…

その時々の空気にあわせる…

それが料理人としての力量になるのだと思っている。


自然の物となれば
もっと形はバラバラで
毎回同じ様に作ることは逆に難しい。


盛り付け
味付け
仕込み

全ての作業を「生かす」も
「殺す」も

自分の一瞬の気持ち次第なのだ。
※やっぱりめちゃくちゃ料理の世界シリーズ「仕事の効率化…前編」の続きです。



仮眠布団を使い始めて1ヶ月たった日の事である。


事件は起こった……



そう、、


先輩が道具部屋に来て
布団が見つかってしまったのだ……



理由も聞かず
ひたすら全員の先輩に殴られまくる
同期4人……

袋叩きに遭い


僕らは
人類史上最強の謝罪を繰り出した!!



それは……





人生初の

DO・GE・ZA!!!




ど・げ・ざ!!!





そう!

日本人の文化

土下座を繰り出した!!





土下座って意外とやり方が分からない(笑)

手の位置や
土下座するタイミングって結構難しいから
今度読んでる皆さんも練習してみて下さい(´▽`)ノ

いつサボってるのが見つかって
土下座するか分からないですからね!!(`・ω・´)キリッ



まぁそれでも怒りの収まらない先輩方、、、(笑)



でも、深夜1時には僕らを殴り疲れて


ひとまずその日は仕事を上がっていった。




そして、

同期全員「どうしようねぇ~」


同期全員で考えていた。


俺「史上最強の謝罪の土下座!!がダメって…」




慶應ボーイK「人類史上最強の謝罪表現は??」



同期3人「謝罪表現??」


慶應ボーイK「…………する」


同期全員「いいねぇ!やろう!やろう!(笑)」

もう殴られすぎて
テンションが可笑しくなっていた(笑)


…………………………………………………………………………………………



次の日の朝…


僕らは全員

「丸坊主」

にして出勤した。



これこそ日本人の誇る最強の謝罪表現!!!



その謝罪表現のかいあって
先輩方は普通に接してくれるようになった。


頭を先輩に見せたとき、

前日に先輩方から受けた制裁のキズがパックリ割れていたりして、
見ていて痛々しいのも功を奏した!(笑)




だが問題が…………



白衣姿に坊主…

そんな奴が4人もいる。
 


そうすると……

先輩が後ろ姿の同期Fに向かって…

ベジータ先輩「おい!Kぇー!」


ベジータ先輩「おい!!(怒)無視かよ!!?(激怒)」



そこへ
何も知らない同期Kがやってくる。

ベジータ先輩「おい!!さっき何で無視したんだよ?(超激怒!!)」


K「…え??」



「バッコーーーーン!!」



何も知らないKは見事に人違いで殴られた。


挙げ句の果てに先輩方は
僕らの事を


「おい!!ハゲっ!!!」


と4人総称として呼び始めた。


まず
ハゲじゃなくて

坊主やし!!

「ハゲならベジータ先輩のがガッツリ天然ハゲだからね(笑)」


「ブッハハハハっ!!」



そう言って
また同期4人で仕事を始めるのであった。



こんな
昭和のガキのような生活も送っていました。


今となっては
笑い話ですが、

過去30年の歴史で
わざわざ布団を敷いて寝てサボった奴は居ないらしいです(笑)


一つ伝説を残せた気がした!(笑)