ライオンは外出がきらいおん! -11ページ目


 箱の中で天気予報のお姉さんが言うには、今日は雨だとか。
 何を塗っているのか艶めかしく光沢を放つお姉さんの唇を熟視していたので、降水確率にまで意識が回らず傘を持たず仕事に出てしまった。

「はぁ……。やはり降ったか」

 私は、学校に併設されている『警備員室』の窓から外を眺めていた。
 見える範囲の空一面は、薄墨色の雲に包まれ、アスファルトに落ちた雨が水紋を作っている。

 時計の針は正午を回ろうとしている。
 丁度生徒達は、今頃教室で連れ立って弁当でもつついているのだろう。
 便所飯をしてる生徒がいないことを祈るばかりだ。

 いつもの警備員の洋装に身を包んだ私は、椅子にどっかりと座りこみ思案していた。

 先日、あなたとコンビになりたい系コンビニで、私は一つの確信めいた仮説を思いついた。
 一連のアイム君を主軸とするイジメ問題についての仮説だ。

「まあ……イジメはフェイクなんだろうなぁ」

 はぁと言った溜息と一緒に、独り言も漏れる。

 私の考案した仮説を披露すると、一連のイジメ行為は全て、ニセモノでまやかしで自作自演ということになるのだ。
 当然、嘘をつくということは理由があり、意味があり、意義があったのだ。

 ここで仮説を披露することにしよう。

         *

 まず結論から言ってしまうと、アイム君は宇佐美さんのことが好きだ。

 物的証拠があるわけではないが、アイム君が宇佐美さんに好意を寄せていたと仮定すれば、これまでの不可解な行動・言動が一本の筋書きとなる。

 私と宇佐美さんは、これまで彼らの掌の上で踊らされていたのだ。

 まず事の発端は、私と宇佐美さんが教室でボロボロになった教科書を発見するところ。
 もうすでに、その時点から彼らの作戦は始まっていたのだ。
 彼らの目的は、アイム君がイジメを受けていると宇佐美さんに錯覚させること。
 もっと端的にローカライズして言えば、宇佐美さんの気を惹くために。

 そのために、手始めに教科書をわざとボロボロにしてゴミ箱に捨てておいたのだ。
 担当教諭なら、クラスのゴミ箱の異変に感付くと思ったのだろう。

 次に実際、イジメの現場を演じて見せた。
 先日、コンビニで彼らが言っていた断片的な情報は、ここに繋がる。

 「作戦・メイク・演技」

 私が聞き取れた中で、意味のありそうな3つの単語。
 作戦とは、まさしく彼らが実行してる作戦そのものを指すのだろう。
 メイクとは、おそらくイジメの現場でアイムが擦り傷を負っているように見えたアレのことだろう。
 そして演技とは、あの現場でいじめられてるように見せるための演技のこと。

 さらに言えば、コンビニでアイム君が誰かを褒めているような言動が見受けられた。

 「人知れず頑張っているところ」
 「寡黙なところ」

 聞き取れたこの台詞を、宇佐美さんに当てはめて見ると自然になる。
 教師と言うのは、陰ながら生徒の為に尽力しているんだろう。
 そして彼女はあまりお喋りな方ではないので、寡黙と言えば寡黙だ。

 全て辻褄が合うのだ。
 彼らはここまで大がかりな計画を立てて、宇佐美さんの目をアイム君に向けようとしている。
 当然クラス内でイジメがあると発覚すれば、担任である宇佐美さんが関わらないわけはないし、それにしたって彼女は人一倍教育に熱心な部分がある。

 彼らの作戦は概ね成功と言っていいだろう。
 ただ一つミスを犯したとすれば、イジメの現場に宇佐美さんではなく、私が登場してしまったことだろう。

 放課後の教室なら、きっと宇佐美さんが来るだろうと予想したのだろうか。
 その部分が詰めが甘く、杜撰だったかもしれない。
 まあ結果としては、宇佐美さんの目は十二分に惹くことは出来たのだから、及第点と言って差し支えないだろう。

 しっかし……まあ、担任の先生の興味を惹くために、わざわざイジメの演技までするとは。
 恋する高校生は何しでかすか、分かったもんじゃねえなホント。
 ここまで面倒なことをしなくとも、もっと効率的な方法がいくらでもあったんじゃないの?

 あと、言うまでもないかもしれないが
 アイム君が、宇佐美さんの無くしたキーホルダーと似たようなものを所持していたことも、まあ…………そういうことだろう。

 人のものを盗ると言うのは、とても褒められたことじゃないが
 まあ若さゆえの過ちってことで。今回は目を瞑ってやっても構わないだろう。

       *

 これが、私の考えた仮説。
 自分でも言うのもなんだが、おそらくこれが真実だろう。
 アイム君はボッチなんかではなかったのだ。

 一緒になって恋の応援をしてくれる友人を持っていたのだ。
 まあ、祭り上げられてノリでされているだけなのかもしれんが。
 その辺までは分かりかねる。どうだっていいことだ。

「このことを宇佐美さんに……うーん。言うべきじゃないんだろうなぁ」

 ここで私はバラしてしまったら、彼らがこれまで入念に実行してきた作戦が水泡に帰すことになる。
 おそらくこの作戦の終着点は、アイム君が宇佐美さんに告白することだろう。
 まあ他人の色恋沙汰に闖入しても、いいことなんて一つもねえしな。
 彼らの作戦が成功するにしろ、失敗に終わるにしろ、余計なことはしないほうがいいだろう。

 未だにしとしと降り続く窓の外をボケーっと眺めていると、雨の中警備室の方に小走りで向かってくる生徒が目に入る。

「……ん?」

 警備員室の立地からして、どこかの移動教室の動線にはなっていない。
 第一、今はお昼休みでランチタイムなのだ。
 生徒が警備員室に来る理由なんて……ないはずなのだが。

 近付いてくる生徒は、2人組の女子生徒だった。
 一人は楚々とした短めボブカット。もう一人は短いスカートに脱色したような髪色。

 ほうほう女子高生2人が、警備員室に何の御用かな? 告白かな? どっちが?

 女子生徒2人は、警備員室に座る私を見て、窓ガラスをコンコンと叩く。
 開けろと言うことらしい。


「はいはい、何か御用かな? お嬢さん方」

「あの……警備員のライオンさんですよね?」

 私と目を合わせようとせず、か細い声でボブカットの女子生徒がそう問うてくる。
 なんでこっち見ないんですかねぇ……。私何か嫌われるようなことした?
 いや、多分恥ずかしいんだな、照れてるだけだ。そうだ。そういうことにしよう。

「そうですよ、私がライオンです」

 出来るだけ優しく声色になるように心掛けた返事。

「あ、あの……コレ」

 未だに目を合わせようとしないボブカットが、ごそごそとポケットから何かを取り出す。
 ん……? 掌サイズの紙切れ、いや……手紙か。

「手紙?」

「は、はい……」

 なんだなんだ。私にラブレターか?
 今時ラブレターは珍しいな。しかし女子高生から恋文を頂くとは。
 お気持ちは大変嬉しいのだが、私も年を考えるとですねぇ……

「あ、あの……! それを渡してくるように言われてて……」

「渡してくるように?」

 となると、彼女からのラブレターではないのか?

「はい……クラスのアイムって子に頼まれて……」

「アイム君!?」

「あ、はい……それじゃあ私たちはこれで」

 そう言い残すと、彼女たちは足早に去って行ってしまった。
 差し詰め、彼女らは伝書バトの役割を全うしただけか。

 おいおい、なんだなんだこの手紙は。

 女子高生からのラブレターで無いのは、心のどこかで分かってはいたが
 まさか差出人がアイム君とは。
 ラブレターを出す相手を間違ってるだろ。私じゃなくて宇佐美さんに出せよ。

 手紙を開くと
 『ライオンさん お話したいことがあります 今日放課後僕の教室でお待ちしてます アイム』
 と女の子のような、可愛らしい丸文字で書いてある。


 え…………なんなのコレ。
 ラブレターって感じ……でもねえな。果たし状? アイム君から恨まれる覚えはないんだけど……。散文的と言うか、用件だけが手短に書いてある。

 その刹那、パッと私は閃く。

「もしかして、これは私に協力の要請か?」

 私と宇佐美さんが仲良くしているのを知ったアイム君は、宇佐美さんへ告白する手伝いをしてほしいのではないか?
 早い話が恋のキューピットになってほしいってことなのでは?
 その為の相談をするために、俺を呼び出したのかもしれない。

 はぁん。なるほどぉ。

 ふふん。今日の私は頭が冴えてるな。
 なんだよ、そういうことなら言ってくれよ。
 年上の兄貴分として、アイム君の恋路を全力で応援してやるさ。
 全力でアタックして、全力で砕けてくるといい。

        *

「それで……話って何かな、アイム君」

 傾いた西日が窓から差し込み、教室全体を赤く染め上げている。
 場所は宇佐美さんが担任するクラスの教室である。

 私とアイム君以外、教室には誰もおらず
 普段の喧噪はなく、運動部の掛け声が窓の外から遠く聞こえる。


 アイム君は、自分の席に鎮座している。
 いつもと違って精悍な顔つきで、どこか緊張しているのが見て取れる。
 席の横のフックに、アイム君のカバンが掛っている、あのウサギのキーホルダーを付けたカバンだ。

 私は、どんな相談をされるのか色々想像していた。
 宇佐美さんとの仲を取り持ってほしいと言うことだろうから
 まあ、ベターな部分だと2人きりになれる場所を用意してほしい、とかだろうか。

 生徒と教師と言うのは、学校以外では滅多に接点が無いからな。
 どこか適当な場所に宇佐美さんを呼び出す役を仰せつかるのだろうか。

 まあ何にしたって、私に出来る範囲で協力するつもりだがな。

「緊張しなくたっていいぞ。気楽になんでも言ってくれ」

 優しい声色で、俺が諭すように言うとアイム君も口を開く。

「あ、あの……実は僕好きな人がいまして」

 ほら見たことか。ビンゴ!

 やはり私の仮説通りだ。
 私の推理力もなかなか侮れないな。
 警備員なんて辞めて、探偵にでもなろうかしらん。

 気恥ずかしそうに、顔を伏せるアイム君。
 大丈夫だ、私はもうすでに全てを見通している。
 なんなりと、君と宇佐美さんの恋のキューピットを演じてみせるさ。

「その……その好きな人って言うのが……」

「ああ」

「そ、そのっ……」

「うん」

「えっと……」

 小っ恥ずかしいのか、なかなか言い出せないアイム君。
 なんだか甘酸っぱいなぁ、この感じ。
 俺も学生時代は、こんな感じで好きな子に想いを馳せたもんだ。

 どもりながら、アイム君は一言一言を大事に紡いでいく。

「あ、あのっ!」

「うんうん」

「僕……ライオンさんのことが……っ」

「うんうん」

「すっ、好きでして!!!!!」













「うんう……うん?」

 我ながら素っ頓狂な声が出た。

 ……ん?
 今なんつった?


「ごめん、良く聞こえなかった」

「ライオンさんのことが好きなんです!」

「聞き間違いかな。もう一度お願いできる?」

「ライオンさんのことが好きなんです!」

「ライオンさんのことが好きなんです?」

「そうです!」

 待て待て待て待て待て待て待て待て。
 落ち着け。落ち着くんだ私。

 ライオンさんのことが好きなんです?

 私の耳には確かにそう聞こえた。
 と言うか2回言い直させたが、一言一句違わずそう聞こえた。

 アイム君は、顔を真っ赤に染め上げて、握り拳をギュッと握りしめ俯いている。
 え? なんで頬染めてんの? あれ違うよね? あれはただ夕焼けが反射して赤く染まってるように見えてるだけだよね? ねっ?

「えっ……待って待って、ちょっと待って」

 余りの衝撃に、茫然自失とする。


 今の現状が上手く飲み込めないんだが……。
 アイム君が私に告白? 愛の告白? 頭大丈夫か?
 宇宙人か地底人の類に意識を乗っ取られているんじゃないのか?

「や、やっぱり……おかしいですよね」

 アイム君が、寂しそうな表情を浮かべ、消え入るようなか細い声で呟く。

「い、いや……おかしいっていうかぁ」

 混乱し、狼狽し、困惑し、右往左往する私。
 どうしたらいい!? どうしたらいいんだこの状況!
 「やらないか?」って低く響かせたイイ声で言ってあげればいいの?

 アイム君は、伏し目で赤面しており、身体を緊張で強張らせている。
 どう見ても、冗談が通じる状況じゃねぇよコレ……。
 やらないか、つったら「……はい」って承諾されそうで怖いよ……。

 私の頬に冷や汗が垂れる。
 ふと視線を下げると、机にかけてある彼のカバンが目に入る。
 よく見ると、カバンのファスナーが空いていて、中身が見える。

 一冊の本。
 ページの端が破かれた、その装丁には見覚えがあった。
 あの時。アイム君がイジメを受けていた(仮)現場で、彼が持っていた本だ。

 あの時は表紙にブックカバーが付いていたが、今は外されており本の表紙がチラと見える。

 全裸の男性同士が抱き合い、頬を染め、恍惚の表情を浮かべている。
 何故か背景に、薔薇ような花が燦然と咲き誇っている。

「い、いや……えーっと……」

 歯の根が合わず、上手くしゃべることが出来ない。
 真剣な眼差しで、私を見つめているアイム君。

「それで、ライオンさん返事は……」

「ちょ、ちょっと待ってね!」

「え?」

「ちょっと考えたいから! こ、ここで待ってて!」

 身の置きようのない羞恥に、押しつぶされそうな空気に耐えられず
 私は一旦強引に話を切り、逃げるようにして教室を出る。

 廊下の一角でへたり込み、瞑目して考える。

 宇佐美さんへの好意じゃなかった……
 俺のへの好意だった……

 全く持って予想外で想定外である。
 いや普通こんなの予想出来ないでしょ……おらぁ普通にノンケなんだよ!

 私の打ち立てた予想は全て、大間違い。
 全ては俺の気を惹くための策略だったわけか……。

 しかし彼が並々ならぬ覚悟を決めてきた以上、こちらとしても誠意をもって対応しないといけないのだろう……。うわぁ日ごろからモテたいモテたいとは思っていたが、ベクトルが全くの逆方向過ぎるよぉ。誰か助けて。

 何かケツに詰め物をすべきなのかと、考えていると
 ポケットの中の携帯が振動し、何かが受信したことを伝える。

「……ん? ライン?」

 画面を見れば、ラインのメッセージ受信だった。
 差出人は宇佐美さん。

 『無くしていたキーホルダーですが、改めて探してみたら私のカバンの中にありました。色々とご迷惑をおかけしました』

 おい、そりゃあねえだろ……。

 じゃあなんだ。あのアイム君のカバンについているのは宇佐美さんの探しているキーホルダーとは別の、ただの瓜二つのキーホルダーってことか!?

 これで宇佐美さんルートの、状況証拠は全て打ち砕かれる。
 同時に目を背けたい現実が、明瞭となりのしかかる。

 私は、宇佐美さんには何の落ち度もないことを重々承知しながら
 荒々しい筆致で、彼女にラインを返信する。



 『貴女のお蔭で、私は今とんでもない羽目に合っております。一般人とは違う大人の階段をスキップで駆け上がることになるかもしれません。そうなった場合お婿に行けなくなるので、貴女に責任を取ってもらうことに…………アッー!♂』




【ストーリー考案】
ライオン・みやび
【プロット作成】
みやび
【ピグ出演】
ライオン・みやび・アイム・薫・ししとう・うさみ・ワスタ
【文】
ライオン


thank you bye

 アイム君がいじめられてる現場を視認してから3日程経過したある日であった。

 ほぼ目覚まし時計としてしか活躍しない、私のスマホがブルブルと震え始めたのだ。
 アラーム指定時間以外に震えるなんて、どうした? 西野○ナか? 誰に会いたいんだ?

 私も携帯のことを目覚まし時計だと思ってるし。
 きっと携帯自身も、自分のことを目覚まし時計だと思ってるんだろう。
 言うなれば、自他ともに認める通信機能付き目覚まし時計なのだ。あくまで目覚ましメイン。

 そんな目覚まし時計の画面を見ると、ラインの通知であった。
 あぁ……ラインか。

 私自身、ラインが如何様なものなのか、熟知していない。
 買った当初からプリインストールで入ってるので、そのままにしてるのだが
 なるほど、ラインの通知とはそういう風に表示されるのか。勉強になりやしたー。 

 見てみれば、なんとラインの相手は宇佐美さんではないか。

「おいおい……なんでこの人俺のライン知ってんだ……」

 宇佐美さんとラインのIDを交換した覚えは全くないのだが。
 と言うかむしろ、私のラインの友達欄には誰一人の名前も表示されてない。
 ちょっと! 怖いんだけど! 俺の個人情報だだ漏れなんじゃないの?!

 もう一度携帯が震え、宇佐美さんからのメッセージ。
 『ライオンさん。お願いがあるのですが』

 何? お願い? 私に?

 宇佐美さんが私にお願いとは何事だろう。
 「体が火照ってもう耐えられないんです、なんとか慰めては頂けませんか」
 とか、そういう頼みであれば2つ返事で快諾するとしよう。そんなわけないが。

 とりあえず、何故私のラインIDを知っているのかを問いただすとしよう。
 私は『宇佐美さん。なぜ僕のラインを知ってるのですか?』と返信する。

 10分程して、返信。
 『以前無くしたウサギのキーホルダーが、まだ見つかってないんです』

 俺の問いに対する答えは!?

 彼女、私の詰問に対して答える気が毛ほども感じられないんですが。
 コミュニケーションが一方通行のドッヂボール過ぎるよぉ……。

 私はすぐさま『僕の返信、見えてます?』と返信する。

 また10分程して、宇佐美さんから返信。
 『大事なものなので、もし見つけたら教えてください』

 俺の話聞く気がねええええええ!!!

 俺と会話しよう、と言うよりも自分の要件だけ手短に伝えようみたいなニュアンスじゃないかコレ。
 適当に「はい分かりました」って連呼してれば、いつの間にか終わってる上司との電話みたいじゃねえか。そして後で分かんなくなって「あの……さっきの電話の要件って……」って申し訳ない表情で聞きに行くんだよな。

 上司の方は、脳裏の片隅にでも覚えておいてほしいのだが
 ゆとり世代の「分かりました」は8割5分の確率で分かってないので注意が必要です。

 とりあえず、ウサギのキーホルダー見つけたら教えろってことだな。
 私は『それなら、パトロールついでに探しますよ』と返信。

 するとノータイムで、宇佐美さんから『それではお願いします』との返信。
 なんでこれだけ返信はええんだよ……。
 なに? もうこれ以上返信してこないで、っていう無言の圧力なの?

 何故、宇佐美さんが私のラインを勝手に知り得たのか知りたかったんですが……まあいいか。それは今度、実際会ったときにでも聞くことにしましょう。

         *

 その日の夜。
 リノリウムの床に、窓から差し込む月明かりが反射して、鈍く光っている。
 私はいつものように、校内を懐中電灯片手にパトロールしていた。
 一歩踏み出すたびに神経質で硬質な音が、誰もいない廊下に反響する。

 今日はいつものパトロールと、ついでに宇佐美さんのキーホルダー探しも兼ねている。
 確か、ピンク色のウサギのキーホルダーだったか?

 うーん、情報がそれだけではなぁ。
 と言うか、大体ウサギの色はピンクではないのか。

 この広い校内を隅から隅まで捜索するとなると、かなり骨が折れる。
 流石に目のつく部分だけでいいだろう。
 勿論、引き受けたからには鵜の目鷹の目で探しますがね。

 私は懐中電灯で床を照らしながら、歩き始める。

「こりゃあ……手間かかるなぁ」

 そもそもの問題として、宇佐美さんが学校内で落としたという確証もないのだ。
 学校に来るまでの、道中で落としたという可能性だって無いとは言い切れないだろう。

 彼女が、どういった方法で通勤してるかは知らない。
 マイカー通勤なら車の中を探すだけで済むが、もし電車やバスなど公共交通機関を利用しているのだとすると、捜索範囲は膨大なものになる。

 それに、毎日不特定多数の人が利用する電車・バスなどから、探し物一つ見つけ出すというのは、可能性的にかなり低くなるのではないだろうか。

 誰か良心的な人が、届け出てくれていれば話は別なのだろうが。
 うーん、キーホルダーなんかを拾って届け出る、奇特な人間がいるだろうか。

 宇佐美さん当人にとっては、大事なものであっても
 傍目から見れば、ただの小さなキーホルダーに過ぎないのだから。

 私だったら
 「なんだこの薄汚いキーホルダー」
 と、そのまま投げ捨ててしまうかもしれない。

 神様、どうか世の中の人間が、私みたいな悪辣な人間ばかりでありませんように……。

 その後、普段のパトロールコースを倍の時間をかけて、周り捜索したが
 宇佐美さんのウサギのキーホルダー発見には至らなかった。

「こりゃあ……本当に見つからないかもなぁ」

 宇佐美さんには悪いが、見つからなかったという要件を伝えるとしよう。
 さすがに深夜の時間帯。電話するのは悪いか……。いや待てよ。

 こういう時の為にラインがあるのではないか。
 私はラインを起動し『キーホルダー発見ならず。捜索は困難を極める模様』送信。

 すぐに返信が返ってくることはなかったので、きっと彼女はもう寝てるのだろう。

        *

 警備員の仕事として、パトロールが終われば後は書類等を片づけるだけである。
 要約すると『今夜も異常なし』と言った内容の報告書を作り、ファイルに挟んでおくのだ。

「さて、と」

 今夜もお仕事終了である。
 私は、警備員の帽子をヒョイと壁のフックに引っかけ、制服から私服へと着替え始める。
 ふと腕の時計を見ると、もうすぐ22時になろうという時間帯だった。

 帰りにどこか寄って、何か買って行くことにしようか。
 品目はそうだなぁ……とりあえずお酒と何かおつまみ的なものは必須だろう。
 そして暇つぶしに何か、雑誌の類も一冊買おうかな。どんな雑誌かは明記しない。

 着替えが終わり、車に乗り込み帰りの道中。
 立ち寄ったコンビニで、買い物をしてる時だった。

「おっ……この雑誌なんていいじゃないか。なになに……DVD付きだと? ふむ……」


 私が雑誌の見出しに目を奪われていると
 コンビニ店内に来客を伝える電子音が鳴り、数人の男性客が来店する。

 その時は別に気にも留めてなかったが、よく注視してみると見覚えのある顔。
 人の顔を覚えるのが苦手な私はなかなか思い出せない。
 ちなみに言うと、人に顔を覚えられるのも苦手である。

「はて……誰だったか……」

 うーん、と頭を抱えて思案すると、私の頼りない記憶中枢に該当する人物が浮かび上がってくる。

「ああ、アイム君か」
 
 例のいじめられっこアイム君である。
 こんな時間にコンビニに来店とは、褒められたもんじゃないなぁ。

 そういえば、彼が大事そうに抱えていた本は結局どういうタイトルだったのだろう。
 彼がそこまで大事にするということは、相当面白い小説なのだろう。

 いい機会だし、この場で彼に本のタイトルを聞こうか。

 そう思い、彼に近づこうとする。
 しかし死角になっていたアイム君の連れの顔を見て、ふと足が止まる。

「……ん?」

 アイム君と一緒に、連れ立っている3人。
 私の記憶違いでなければ、あの時教室アイム君をいじめていた3人だ。

 待て待て待て、おかしい。

 なぜアイム君といじめっ子3人がコンビニに来店しているんだ。
 一瞬、アイム君が彼ら3人組にたかられて、財布役として連れてこられたのかもしれない可能性も考えたのだが、どうやらそれも違うようなのだ。

 彼ら4人は、いかにも友達と言った様子で、楽しそうに談笑しながらコンビニで商品を選んでるのだ。
 アイム君は屈託のない笑顔を見せ、他の3人もあの時とは全く別人のような、朗らかで愛想の良さそうな表情を浮かべている。
 服装も心なしか、シンプルで清潔感のある、今時の若者と言った風体。

 傍目から見れば、彼らは仲良し4人組に見えるだろう。
 現にいま、それに差し支えない友情模様が目の前にある。
 
 どういうことだ……?

 確かにあの時、アイム君はあの3人組に酷い暴行を受け、いじめられていた。
 なのに、今はアイム君を含む4人組で、あんなに上機嫌なご様子じゃないか。

 すると、いじめっ子の一人がアイム君に、喋りかける。

「……が……だよな。それにしても……のどこがよかったの?」

 店内の距離感からか、それとも小声で話してることも影響してか
 全文までは聞き取れず、断片的な会話が耳に飛び込んでくる。

 私は彼らに気付かれないよう、雑誌に顔を落として耳を澄ませる。
 おおっとこの雑誌は刺激が強すぎて集中できそうにないな。少年誌にしよう。

「……のいいところ? 人知れず頑張ってるところ……とかかな?」

「「「おおー!」」」

「あとは……だし……寡黙なところも……だよね」

「「「おおおー!!」」」

 よく聞き取れないが、何やら盛り上がってる模様。
 アイム君が、誰かの良い点を言ってるのか?
 誰かを褒めてる? なんだ? なんの話をしているんだ?

「それにしても……の作戦は……ったよなぁ」

 いじめっ子の一人が発した、小さな一言が気になった。
 作戦? 作戦とはなんだ? ノルマンディーに上陸したりするアレか?

「時間を……て……メイクした甲斐があったよなぁ」

「演技も……んぎで……かと思ったくらいさ」

 そこでまたワハハと小さな笑いが起こる。
 断片的にしか聞こえないが、作戦……メイク……演技? なんのことだろうか。

 そういう考えているうちに、彼ら4人はレジに並び、商品を清算している。
 ここでアイム君に払わせるのかと思いきや「ここは俺が奢るよ」といじめっ子の一人が勘定を持ったではないか。


 アイム君も素直に「ありがとう」と笑顔で礼を言っている。
 と、ここでアイム君の背負っているバックに、目が留まった。

 普通の肩下げバックだったが、正確にはバック本体ではなく
 バックに着けられているキーホルダーに目を取られた。

「ピンクの……ウサギの……キーホルダー」

 アイム君のバックには確かに、ピンクのウサギのキーホルダーがぶら下がっている。
 ファンシーなデザインのウサギが右に左に、アイム君の動きと連動して揺れている。

 すぐに彼らは会計を済ませ、駄弁りながらコンビニを後にしていった。

 私は雑誌に目を落としたまま、深く思案する。
 何かがおかしい。

 まず状況を整理すべきだ。

 あの日、いじめられていたアイム君と、いじめていた3人組は実は仲が良く友達であった。
 これが今、私の眼前で確固たる証拠として繰り広げられた事実だ。

 なら、あのいじめ行為はフェイクだったことになる。
 なぜそんなことを?

 気になるのはあと一つ、アイム君のバックについていたキーホルダーの特徴が
 宇佐美さんの探しているキーホルダーの特徴と一致するのだ。

 私は実物を見たことがないので、あのキーホルダーが宇佐美さんのもとと同じものだとは断定出来ないのだが。偶然か? それとも……。

 いつも働かない脳が、様々な可能性を示唆し、棄却し、あらゆる方向性に考えを膨らませていく。
 今までの行動・発言を思い返し、何か一つの結果に導こうとしている。
 彼らのセリフ、作戦・メイク、そして演技。きっと私は何か一つの事実にまだ気づけていないのだ。

 そのまま雑誌の同じページを凝視し続け、私はある一つの可能性に辿り着く。
 この仮説なら、これまでの全ての事柄で辻褄が合う。
 考えてみれば簡単なことだった。むしろそうなることが必然的であったと言ってもいい。

「なるほど……そういうことだったか」

 感極まって、握っていた雑誌の表紙をぐしゃっと握りしめてしまう。
 あっ、やべ、これ買わないと。










 結果から言ってしまうと
 宇佐美さんは、ボロボロで発見された教科書を見て

「これはイジメの痕跡ではないのか?」

 と疑い、教科書の持ち主であるアイム君とやらに話を聞くことになっていた。

 もしこれがイジメならば、私はこのクラスの担任として看過するわけにはいきません。
 というのが宇佐美さんの意見である。
 何と言うか、今の時代では珍しく奇特な教育者だなぁと感心したものだ。

 しかし、そんな正義感や義侠心は案の定、生徒には伝わらないもので。

        *

「アイム君に何を訪ねても『何でもない』の一点張りで……」

 疑惑の教科書を発見した次の日の夜。
 いつものルーティーンである校内パトロールをしていたところ宇佐美さんから電話がかかってきたのだ。

「宇佐美さん、私達いつの間に連絡先交換してたんでしたっけ」

「そんなことはどうだっていいんです」

 どうでもいいのか……。


「それでその……アイム?でしたっけ、その生徒がなんでしょう?」

「ですから、いじめられてるのではないかと言う話です」

「あー……」

 正直、私としては勤務先の学校で誰がいじめられていまいが関係ないし、興味もない。
 むしろ、そんな厄介事には首を突っ込みたくない所存なのだが
 宇佐美さんは俄然やる気が充溢しており、私にこうして電話で連絡してくるのである。

 うーん……面倒事に巻き込まれそうな予感。

「今日、アイム君から別室でお話を聞いたのです」

「へぇ、体育準備室ですか?」

「え? 普通に生徒指導室ですけど、なんで体育準備室なんです?」

「いやぁ……」

 私は言葉に詰まる。

 若い女教師と体育準備室で二人きり。
 柔らかいマットや跳び箱の上に先生を押し倒し

「やっ、こんなところで!」

「大丈夫。誰も来やしませんよ」

 ……っていうのはゲームの中ではド定番なのですがねぇ。
 さあて、私が普段嗜んでいるゲームのレーディングが白日の下に晒されたところで、話を元に戻しましょう。

「で、何か情報は得られたんですか?」

 私はそう問うと、宇佐美さんは少し言いよどんだ様子でワンテンポ置き
 「何でもないの一点張りで……」と、冒頭の一文に戻るわけである。

 要約するに、アイム君に話を聞いたはいいが
 彼の心は固く閉ざされており、何の話も情報も得られなかった。ということである。

 まぁ、そう易々と
 「僕、いじめられてるんです」
 なんて告白する生徒もいるまい。

 いじめられてる側にだって、多少なりともプライドや矜持がある。
 自身がいじめられてる分は耐えられるが、それが周囲に露呈し憐憫の眼差しを受けるのは耐えられない、という気持ちを持っていたって不自然じゃない。

 まあ……まだイジメだと断定されたわけでもないしな。

「別に彼がなんでもないつってんなら、なんでもないんじゃないですか?」

「そんなわけないでしょう!」

 電話口から裂帛の如く鋭い怒声が飛んでくる。
 ちょ……うるさいですよ宇佐美さん……。

「彼は誰にも相談できずに、一人で抱え込み今この瞬間も悩み苦しんでるかもしれないんですよ?」

「う、うーん? ……そうですかねぇ」

 この人は青春ドラマの見過ぎではないだろうか。
 それとも私が冷酷なだけなのだろうか。
 まあ、教育に熱心なのはいいことですけどね……。

 このまま、水掛け論を繰り広げても話が進まないと見て
 私はそれとなく話題を逸らしてみようと試みる。

「それはそうと、アイム君って生徒は普段どんな様子なんです?」

「どんな様子と言うと?」

「ほら……授業中とか休み時間とか」

「授業態度は至って真面目ですね。成績もクラス内では決して悪い方はなかったかと」

 ほう……学生の本分が勉学であることをちゃんと認識してるようじゃないか。
 これが頭の軽いチャラ男で、女の子と一緒に撮ったプリクラをツイッターなんかに上げる糞馬鹿野郎だったら、私がアカウント特定して荒らしてる所だった。九死に一生を得たなアイム。

「休み時間の様子とかはどうなんです?」

「休み時間は……本読んでますね」

「ああ……」

 私はこの時点で、色々察したのである。
 そして半ば答えが分かりつつも、質問を続ける。

「友達は……いるんですか?」

「私の見るところでは……特定の誰かと一緒にいるところはあまり」

 ああ、なるほど。もういいです。
 もう大体アイム君どのような人柄なのか、そしてどのような学園生活を強いられてるのか大まかな予想はつきました。ついてしまいました。

「い、いやでも! 私もまだ着任してから半年も経ってないですし!」

「なんですかその謎のフォロー」

 彼は要するに…………ぼっちなのだろう。

 彼はいつ何時でも一人でいることを強いられ、そして一人でいる自分を享受して毎日ひっそりと学校生活を送っているのである。

 想像に容易いが、最初の出だしに失敗したのだろう。
 クラス替えなどの環境の変化に、素早く適応して機先を打たねば敗北は必須。
 特に高校生における人間関係など、その最たる例と呼べるものだろう。

 出遅れたものは、根暗やコミュ障。学生風の造語を用いれば
 『陰キャラ』などと言ったレッテルを張られ、その後の1年間をその役割を全うしなければならない。それが学校と言う箱庭内での暗黙の了解なのだ。ハイコンテクストの極みとも言える。

 陰キャラが一つ間違えて出しゃばれば
 「何アイツ調子乗ってる」と反感を買い、イジメの標的となることも少なくないだろう。
 きっとアイム君も、その例に当てはまるのではないだろうか。

 まあ、全て私の想像なわけですが……。

 そんなものが楽しいのか否か、なんて誰に聞くまでもない愚問であることは明確。
 きっと彼は毎日早く学校が終わってほしいと願いながら、口を真一文字に結んでいることだろう。ソースは私。

「まあ、私もそうでした」

「そうだったと、言うと?」

「友達いなかったし、休み時間はずっと本読んでました。体育の時間のペアは立ち尽くしてる所を体育教諭に『何? 一緒にする人いないの?』って言われて一緒にするのが通例でした」

「…………」

 宇佐美さん、まさかのスルーである。
 自虐ネタってある程度の親密度がないとガチで引かれるから気を付けないとね! てへ!

 まあ傍目から見れば、寂しく荒涼たる様子に見えるかもしれないが慣れてしまえば一人と言うのは、案外楽なものである。
 友達がいないということは、人間関係における面倒ないざこざや軋轢などから解放されるので、自由極まりないことだと言える。
 休み時間だって上辺だけの友達と何度も同じ会話でバカ騒ぎするより、読書で知識を積んでいく方がはるかに建設的と言える。

 体育の時間のぼっちは……。た、体育の時間は…………えっと……。
 ちょっと体育の時間は、どう頑張っても救いようがないわ。やっぱボッチって辛いわ。

「どうしたらいいんでしょうか」

 心配そうな宇佐美さんの声。

 どうしたらいいつってもなぁ……。
 イジメだってボッチだって周囲がずかずか介入して上手く行った試しを聞いたことがない。
 畢竟、双方共に本人の心構えの問題なのである。

「まだイジメだと決まったわけではないですし、様子を見ましょうか」

 そう言って、私は電話を切る。
 そして電話を切った後に気付く。

「しまった。そのままの流れで自然にデートに誘うチャンスだったか」

 『それはそうと、今度一緒にお食事でもいかがですか宇佐美さん。この前美味しいお店を見つけましてね』とでも切り出せばよかったのだ。下心丸出しで。
 千載一遇のチャンスを逃したライオン。我ながら失態。

       *

 翌日、夕暮れ。

 私はお仕事。
 まあつまり、放課後の校内徘徊である。
 言い方がちょっと犯罪チックなんだけど……パトロールな。

 部活が終わり、生徒が各自帰路につく時間帯。
 校内に残ってる生徒がいないか確認したりするのも警備員の仕事なのである。

 あーあ。ホント面倒なんだけど。
 何で生徒帰ってんのに私帰れないの?
 早いとこ撮り溜めてるアニメを消化したいんですけど? お?

 毎日愚痴りながらも、こうしてちゃんと勤労に励むあたり
 私もこの労働大国日本に染まりつつあるということか……。

 希望を言うならば、もう少し賃金が上がると嬉しい。
 ロリ物の薄い本みたいなニュアンスで
 「おちんぎん……おちんぎん欲しいのぉ!」
 とか上司に言えば、給料上がるだろうか。解雇だな。

 下ネタ繋がりで言うと、私はここで校内の風景をスケッチし始めるとどうなるだろう。
 文字面的には『こうないしゃせい』ということになるのではないか。
 あえて漢字に変換するのは避けておくことにする(確信犯)

 よし今日も頭沸いてんな私。正常だな。


 そんな益体もないことを思案しつつ、パトロールを続けていた時に
 以前と同じような出来事に出くわす。

 窓の外から見える一つの教室に、明かりがついているのだ。

 偶然かそれとも何かの巡りあわせか。
 電気のついたままの教室は、例の宇佐美さんの担任する教室ではないか。
 
 なんでいつも、あの教室だけ明かりついてんの?
 なんなの? 学園の七不思議なの? 『怪奇!一人でに点灯する蛍光灯!』なの?

「仕方ない……消しに向かうか」

 大方、宇佐美さんが消し忘れたのだろう。
 あの人しっかりしてそうで、意外と抜けてる所があるのかもしれない。
 何それ、しっかり萌えポイント突いてきてるじゃないですか! キュンとくるぅ!

 私は明かりを消すために、教室の扉に手をかける。
 その時、中から荒々しい声が聞こえてくる。

「……ん?」

 何の声だろうか。
 はっ! まさか今度こそ夕暮れ迫る教室で、男女の生徒が2人きりで!?
 たわわに実る“何か”を窓ガラスに押し付けられて

「やだっ! 下校中の生徒に見られちゃうよぉ!」

「へへっ。いいじゃねぇか、見せつけてやろうぜ」

 ってなってるド定番の展開か! 羞恥に悶える表情がグッとくるやつな!
 さ、さあて……私が普段読み耽ってる本の下劣さが伝わったところで、話を元に戻しましょうか。

 私は、扉に耳をぴったりとくっ付け、聞き耳を立てる体勢。

「……っんだよ! ……が……じゃねえかよ!」

 扉越しなので、上手く聞き取れないのだが、声質から推察するに男性。
 一人の男性がかなり声を荒げ怒鳴りちらしている。

「……だぞ! ……っし!」

「この……やろう! くそ……らえ!」

 その声に続くように、さらに違う男の声が聞こえる。少なくとも計3人の声。
 おいおい、これはどう考えても夕暮れの教室で逢引って空気じゃねぇな。

 私は少しだけ、教室の扉を開けて中の様子を伺う。


「この糞野郎! 見ててイライラするんだよ!」

 そんな怒声が耳に入ると同時に、教室内の風景も目に入る。
 3人の男子生徒が、横たわる1人の男子生徒を囲み、勢いよく蹴りつけ、ストンプしてるではないか。

 おいおいおいおい……こりゃあまずいでしょう。
 これがまさにイジメの現場と言うやつか。

 囲んでる3人の男子生徒は、どれも制服を着崩しており
 いかにも不良ぶってます、みたいな雰囲気を漂わせ、順々に文句を吐き捨てながら中央の男子生徒を蹴りつけている。

「やけに勉強が出来るのも腹立たしいしよぉ!」

「そうだよ! 俺この前の試験平均以下だったしよぉ!」

「んだよ! 俺の好きな2組の佐々宮さんが実は彼氏持ちだったしよぉ!」

 文句が完全に逆恨みぃ!

 と言うか、後半2人は逆恨みでもなんでもねえ!
 佐々宮さんはお前のことなんて、見向きもしてねえよ! 多分!

 ど、どうする……?

 私の額にタラリと冷汗が伝う。
 ここは警備員として、颯爽と助けに入るべきか。
 いやしかし闇雲に突っ込んでも、高校生不良3人が相手だぞ? 囲まれて、あの中央の彼と同じように袋にされるのが関の山ではないのか。

 ここはまず策謀を張り巡らすために、一時戦略的撤退をだな……
 昔の人もこう言ってます、君子危うきに近寄らず、と……。

「そんなこと言ってる場合じゃねぇ!」

 私はガラガラ勢いよく扉を開き、教室に乱入する。

「き、ききき貴様らぁ! ななななにゃにをしとるかぁ!」

 こうなれば、最初の怒声で相手を怯ませるしかない。
 そう思って、腹から声を出しビビらせようとしたが、案の定ドモりまくる。

 あ、あああぁぁ……自分のコミュ症が憎い。
 小さい女の子とすら、まともに会話出来ない私にとって、これはさすがに難易度が高すぎました。あと幼女と会話するそれ事案だから。

 これはまずい。
 きっと不良たちは逆上して、荒々しい言動で私に向かって拳を……っ!

「や、やべー。警備員だー」

「もう帰ろうぜー」

「おー」

 暴行に備え、身構えてた私を余所に、不良3人組はそれぞれ棒読みで何か言い残し、そそくさと教室を去って行った。

 あ、あれぇ……?

 えらく簡単に帰って言ったなオイ……。何とも呆気ない。
 もう俺の脳内ではボコボコにされて、3人の男子生徒に蹂躙されるところまで覚悟が決まっていたというのに。

 なにはともあれ、助かった。
 私は横たわっている生徒に声をかける。

「君、大丈夫か?」

「あっ……は、はい……」

 上履きのまま蹴られたからだろうか、彼の制服は埃などで薄汚く汚れており、顔やそこかしこに擦り傷等が見受けられる。

 初対面だが、おそらくこの生徒がこの前の教科書の持ち主であるアイム君、なのだろう。
 面識がないので断定は出来ないが、パッと見の雰囲気からそんな気がする。
 私の童貞センサーがそう反応してるのだ。間違いないだろう。

「全く酷いことをするやつもいたものだな……ん? これは」

 アイム君の横にビリビリに破かれた一冊の本が落ちている。

「あっ! これは」

 私が手に取ろうとすると、アイム君が横からサッと手を伸ばし先に取ってしまった。

 そういえば宇佐美さんの話では、休み時間に本ばかり読んでいると言ってたな。
その本だろうか? おそらく「休み時間本ばかり読んでて気持ち悪いんだよ!」とでも因縁をつけられ、破られたのだろう。

「大事な本だったのか?」

 ページの一部分が、床に散乱している。
 小説だったようで、端切れに印字された活字がチラと見える。

「ええ、まあ……」

 3人の暴行から必死に身を守ったからだろうか。
 アイム君の顔は真っ赤になっており、心なしか息も荒いように感じる。
 まあ仕方あるまい。相当酷くやられてたようだしな。

「あ、あの……っ!」

「ん」

 アイム君が傷だらけの本を大事そうに抱えながら、声をかけてくる。
 なんだろう、助けてくれたお礼とかだろうか。
 なぁに、礼には及びませんよ。大人として当たり前のことをしたまでですよ。

「警備員さんも……こういう本……読むんですか?」

 本?
 こういう本、とはどういう本なのか知らんが小説ならまあ人並みくらいには。

「まあ、多少は」

「そ、そうですか……。助けてくれてありがとうございました」

 アイム君はそう言って、急ぎ足で教室を去って行ってしまった。

 何を考えてるのか、よく分からない生徒だったな。
 まあ、その気持ちよく分かるぞ。コミュ障は大体他人との会話を早急に切って、とっととその場を去るのが自己保身の最も安全な手段であることを知っているのだ。そうしてコミュ障が悪化していく。

 あやつ、コミュ障としてはかなりの手練れだな。

「さて……このことを宇佐美さんに報告すべきか……」

 今さっき私が見た現場によって、アイム君がイジメにあっているのが確然たるものになったのだが。

「まあ……また今度でいいかぁ」

 物臭な私の特性が出てしまった。
 とりあえず、この破り捨てられた本の端切れ達を掃除するか……。

 掃除って絶対、警備員の職務の範疇から外れてると思うんだけどなぁ。














 私は警備員である。



 唐突な始まり方で恐縮だが、ついに私の頭がイカれたわけではない。
 それにご存知やもしれんが、現実の私は警備員などではない。

 現実の私の話ではなく、仮想空間の私の話になる。

       *

 秋の日は釣瓶落とし。そんな季節がやってきた。
 残暑も過ぎ去り、日が落ちれば少し肌寒く感じ始める昨今。

 そろそろ衣替えすべきだろうか、掛け毛布を出すべきだろうか。
 などと益体もないことを思案しながら、私はパソコンを開く。

 何をするかなど、そのような愚問。
 アメーバピグを始めるのである。

 アメーバピグとは何か。
 仮想空間で自分のアバターを操作し、チャット等を用いて他人とのコミュニケーションを主に楽しむオンラインゲームである。

 さて、液晶画面の中には見慣れた仏頂面がつっ立っている。
 仮想空間での私。ライオン君である。



 今日もまた、一段と生気の抜けた敗者負け犬穀潰しの面構えである。
 正面に鎮座するハムスターが、ライオンくんを上目づかいで見上げてるように思えるが
 本当はハムスターにすら、見下されるほどのおおよそ褒める部分の無い落伍者であることは、読者諸君きっとご存知であろう。

 さて、私には向かうところがある。
 おでかけの中から『学校』を選択し、エリアを移動。

 ピグの中の私は、今現在とある学校の警備員をしている。
 そういう設定なのだ。あまり深く掘り下げないで頂きたい。

       *

 警備員である私の主な職務と言えば、深夜の時間帯における校内のパトロール。
 不審者はもちろん、校内に残ってる生徒なんかが居ないか各教室を確認して周るのだ。

 夜の学校というのは、如何せん薄気味悪いものである。
 ひやりとしたリノリウムの廊下を歩きながら、懐中電灯を片手に握りしめる。

 まさかこの歳になって、学校の怪談などに怯える私ではない。
 大体警備員が無色透明の幽霊を怖がってどうする。
 本当に怖いのは無職童貞になってしまうことである。

 薄暗い廊下の窓から外を眺め
 大きく欠伸をして、気だるく頭をボリボリと掻く。

「ふぁぁぁああ……」

 良い子は、このように職務中に大欠伸をする大人を見習ってはならない。
 上司に発覚したら、間髪入れずに解雇されちゃうぞ。

 欠伸だけに「あ、クビ」なんつって!
 よしよし。今日も私は超絶面白いな。キレッキレだ。

 …………仕事しよう。

「今日も異常な……ん?」

 窓の外で、一つの教室の明かりが点いてるのが見える。
 とうに下校時刻は過ぎ、教室は全て消灯されてるはずなのだが。

 おかしい。

 この時間帯、明かりのついてる教室と言えば
 先生方が数人残ってらっしゃる職員室くらいのはずなのだ。

「ははーん。これは」

 もしや、深夜の教室で高校生カップルの逢引ではあるまいか。
 私はそんな下世話な推測を立てる。

 プラトニックな愛を確かめるようにして、教室で2人きり同じ時間を共有しているのだろう。
 うーんこれぞ青春というやつか。教室から見える星空の下で接吻とかしちゃうんだろう。

 さらに言えば、血気盛んなお年頃でお盛んでしょうから、走り出した青春列車は止まらないわけです。
 甘くとろけた嬌声を上げる彼女に、我慢ならず猛り狂う己自身をインサートしちゃうわけです。
 言っとくけど、もうそれ全然プラトニックじゃないからね?

 私に出歯亀の趣味はないが、ここは警備員として注意しなければ。

 そう。義務なのである。別にこれは
 「リア充許すまじ、いい空気なんて死んでもさせてなるものか」
 と言った、私の個人的な思惑などは一切介入していない。ええ本当ですとも。

 不純異性交遊が今まさに行われんとしているのを、大人が見て見ぬふりなんて。
 若さゆえの過ちを正すのも大人の指名であり、宿命であり、嫉妬なのです。
 嫉妬って言っちゃってんじゃねぇか。

 私は明かりのついてる教室の前で、一度深呼吸をする。
 教室内の明かりが漏れる扉を、勢いよく開ける。

「こらお前らこんな時間になにをし……て……あれ?」

 教室の明かりで一瞬目が眩み、徐々に視界が開けてくる。
 明かりのついた教室の中に居たのは、カップルはおろか生徒ですらなかった。


「えっ……」

「あ……」

 目が合う。
 大きく見開かれた綺麗な双眸が僕を捉え、柳眉を寄せる。
 ファーストインプレッションで綺麗な女性だ、と私はそう思った。

 肩ほどまで伸ばされたブラウンがかった髪に、花柄の髪留めがよく似合っている。
 上品な白いワンピースの上から、ライトブルーのカーディガンを羽織った楚々とした印象。
 彼女と数秒間目が合い、どこか既視感を覚える。

 あれ、この人どこかで見たことあるような……。
 
 しかしどうだろう。仮に
 「もしかして、どこかでお会いしましたか」
 ど訪ねて知らない人だった時の、羞恥心と言ったら筆舌に尽くしがたい。

 例えるなら、道端で知らない人が手を振りながらこっちにやってくるから
 よく分からないけど愛想笑いで手を振ってみたら、私ではなく私の後ろにいる人に手を振ってましたー、みたいな。ああいった辱めはもう二度と味わいたくないのだ。

 人間一度失敗すると、同じ過ちを恐れて消極的になるものである。
 失敗は成功の元と言うが、失敗したから次は必ず成功とは限らないものだ。
 同じ失敗をしないよう傾向と対策を学習するだけで、違う失敗を犯す可能性も往々にしてある。

 私が訪ねようかどうか逡巡していると、彼女の方から声がかかった。

「……ライオンさんですか」

 女性にしては低く、どこか訝しむような声色。

 というか、私の名前を知っているではないか。
 むむむ、と私は頭を抱え思案する。

 私の知人友人顔見知りの類に女性はそう多くない。
 強いて挙げるならば、母親と親戚の叔母さんとコンビニで「お箸お付けしますか?」と優しく訪ねてくれるバイトの高橋さんくらいである。

 最後の一人は知り合いと呼んでいいのか、少し悩ましいところではあるが。

「…………宇佐美さん?」

 私のいささか頼りない記憶中枢と照合したところ
 顔見知りに該当する人物が一人。

 宇佐美さんと仰る女性。
 彼女とは以前、ひょんなことで顔見知りになったのである。
 まあ私がそう思ってるだけで、彼女側からは『気持ち悪いストーカー』と誤認されてる可能性も微々としてあるのだが。
 その話は今は置いておくとしよう。

 目下のところ考えるべきは、なぜ宇佐美さんが深夜、学校の教室にいるのかということである。

「あー……えっと、宇佐美さんですよね」

「ええ」

 なんとも素っ気ない散文的な返事。
 人の顔色を伺うとかおべっかを言ったり、ゴマをすったりしない宇佐美さんの毅然とした態度。
 ああ、以前と変わらずですね。ぞくぞくします。

「なぜ宇佐美さんが、ここにいるのでしょう」

「それは私は教師だからです」

 彼女の口から思わぬ言葉が飛び出す。
 なに。教師だと?宇佐美さんが?

 おでこにお札を貼ってないじゃありませんか。
 馬鹿言えそりゃ教師でなく、キョンシーだ。

 くだらない冗談を頭の中で繰り広げるほどに
 私の頭はしばしの間プチパニック状態。

 そういえば今年、見る目麗しい女教師が新任でやってきたと
 風の噂で聞いたことがあるような。宇佐美さんのことか。

「教師になったのですか」

 担当教科はなんなんでしょうか?
 もしかして保健体育でしょうか?
 実技で手取り足取りご指導お願いしたいのですが?

「そういう貴方は……警備員?」

 私の下卑た妄想を知ってか知らずか
 見定めるような視線を私に向けながら、宇佐美さんが問う。

「ええ、ご覧のとおり」

 私は警備員の制服である帽子を、ヒョイとあげて見せた。

「それはそうと、宇佐美先生は深夜の教室に?」

「先生だなんてやめてください」

「……残念」

 サラッと先生呼びしてみたのだが、一蹴。
 相変わらずSっ気があるというか、キツイ性格のご様子。

「ちょっと探し物が」

 少し困った様子で眉を寄せる宇佐美さん。

「何か大切なものでも無くしたんですか?」

「ええ、キーボルダ―を」

 なるほど。
 宇佐美さんは紛失したキーホルダーの捜索中だったというわけですか。

「そういうことなら、私も探しますよ」

「いいえ、結構です」

「まあ、そう仰らずに。どうせ暇なもので」

「……そうですか」

 宇佐美さんは、一瞬怪訝な表情を見せるが
 探しているキーホルダーがピンク色のうさぎのものであると教えてくれた。

「大事なものなんですか?」

「……まあ」

 宇佐美さんは少し視線を落とし、寂しげな表情を浮かべる。
 ふーむ。これはあまり深入りして聞くべきではないご様子か?

 さしずめ誰かからのプレゼントと言ったところでしょうか。
 まあ何でも構いません。彼女が大事にしてるということだけで十分。

「なら、必ず見つけねばなりませんね」

「この教室で落としたはずなんですが」

 宇佐美さんと私は、腰をかがめキーホルダーの捜索を開始する。

「宇佐美さんはこの教室の担任なんですか?」

「ええ、そうですよ」

「なるほどぉ……」

 こんな美人先生が担任とは、このクラスの男子学生は何とも恵まれてるじゃないか。
 宇佐美さんが教鞭をとる姿……。いやぁ……いいですねぇ。

 宇佐美さんが先生なら、私わざと宿題忘れて怒られたい!
 そして特別補習のお題目で、宇佐美さんと2人きりの教室で……!

 違うここが間違ってるわよ、などと言いながら縮まる2人の距離。
 鉛筆を握る私の右腕に、ふわりと柔らかく包み込むような感触が……。

「鼻の下が伸びてますが?」

「い、いえ! そんなことは!」

 宇佐美さんの冷たい視線が刺さる。
 いかんいかん。煩悩を取り払って探し物に集中せねば。

 私は教室の後ろに設置されているゴミ箱の周囲を捜索する。
 まさか、ゴミ箱に捨てられてるなんてことは……。

「ん?」

 ゴミ箱の中の何かに違和感を感じる。

「ありましたか?」

「い、いえ……キーホルダーではなく」

「ん?」

 宇佐美さんは、何を言ってるのか分からない様子で首を傾げる。可愛い。

「いや、ゴミ箱にこれが入ってたんですがね」

 私はゴミ箱の中から、ぐしゃぐしゃになったあるものを取り出し
 宇佐美さんにも見えるように、表紙を向ける。


「これは……」

 宇佐美さんの表情が歪む。

 ゴミ箱の中から出てきたのは、教科書。
 世界史Aと印字された表紙には、いくつの破れがあり
 明らかに人為的にズタボロにされたことが分かる状態だった。

 裏表紙には、薄く頼りなさそうな字で
 「アイム」
 と名前が書かれていた。

 私と宇佐美さんは、目を合わせる。
 宇佐美さんは疑わしむとも悲しむとも取れない微妙な面持ち。

 これは……ねえ?



脳無し用無し甲斐性無し。
こんばんみ、ライオンです。


すっげえどうでもいいと思うんですが
いつの間にか、ブログの始まりは「こんばんみ」の一言を必ず入れるのが
自分の中での不文律となりつつあるんですが

こんばんみ、って一発で変換すると
「今晩身」ってなるんですよね、僕のパソコンだと。

分解して、意味を考えていくと
今晩は、まあ……今日の晩ということですよね。
は、我が身のことを指してるんでしょう。自分の体のことです。

想像力を膨らませて思案すると、おそらくこれは
今晩、僕の体を好きにしませんか」の略だと思うんですよ。多分ね?

となると、僕は毎回、不特定多数に対して
常時、情事のお誘いをしてたということになりますね。

そんなわけで。
皆さん、こんばんみ!(ただしホモは除く)






閑話休題しまして、ブログネタに久しぶりに参加しますよ僕は。


友達は大事? ブログネタ:友達は大事? 参加中



友達は大事?


ということで。

あー……まあ、友達は大事ですよね。

失って初めて、大事さに気付くことってあると思うんです。
友達もしかり、将来もしかり、笑顔もしかり。

おい、そういう意味では俺失ってばかりなんだけど?
そろそろ世界の真理とか垣間見えてもいいレベルなんですけど?

得られるものと言えば、罵倒・雑言・誹謗くらいなもんです。
罵られ過ぎでしょ俺。なんなの?ご褒美なの?

さあて、僕がドMである片鱗がチラと覗いたところで、話を戻しましょう。

友達って大事?ということで。

まあ10人に聞けば、10人が大事だと言うでしょうね。
「大事じゃねぇしぃ?」とか言っちゃうのは、性根のひん曲がった俺みたいなやつだけ。

持論ですが友人と言う存在は、生きていく上で絶対的に必要なものだとは思いません。
一人で自立できる甲斐性があれば、必要最低限の生活は出来るわけですし。

一人で人生を楽しんでる人だって、この世の中に五万といるでしょう。

言うなれば、友人とは嗜好品の一種と呼べるのかもしれません。
嗜好品はなくても死にはしないが、あれば人生をより一層豊かなものにしてくれるでしょう。
なんで今日の俺はこんな真面目なトーンで喋ってるのん?

友人が無ければ、世界は荒野に過ぎないと言った名言を聞いたことがある気がする。
誰が言ったかは知らん。本当に名言なのかも知らん。もし誰も言ってないんだったら今度から俺が言ったことにしようと思う。

しかし、世界が荒野だと言うのは、中々に大げさな表現である。
この人の中で、友人と言う存在はそれほどまでに大きな存在であるということだろう。
友達のいない私には、全く持って理解し難い。

そもそも友達とは、一体なんなのだろうか
変に理屈っぽい私は、その疑問に辿り着く。
単に物事を深く考える時間が有り余ってるだけかもしれない。暇人。


仮に私に友達が出来たとして、その友達に対して僕は何をすればいいんだろう。
友達になった人に対して、友達という関係性を維持し続けるために何をすれば?

人と人との関係性の中で、友情と言うのはなかなか難しい関係性だと思う。

利害や損得が絡んでくる関係は、至極シンプルで分かりやすいものである。
例えば、私はバイトとして働いてる先の店長と私の関係性は。


私「働いてやるから金くれよ」
店長「小金をくれてやるから、こき使わせろよ」



と言った感じである。なんとも分かりやすいだろう。
需要と供給で成り立っているのだ。御恩と奉公と言ってもいい。

どちらかの供給を打ち切れば、その時点で関係性も途切れる。
この例で言えば、店長が「今日から給料ゼロにしまーっす」つったら私はバイト辞めるまでであるし、私が「かったるいんで働きたくないでーっす」つったら、店長は私をクビにするまでなのだ。

まあ現実は、真面目に働いてても、人件費削減とか気まぐれとかトカゲの尻尾切りとか上の人間の匙加減ひとつで、生殺与奪が決まるもんだけどな……。

おまわりさーん!
ここにまともに働いたこともないような小僧が、なんかこましゃくれたこといってまーっす!


愛情での関係性も、なんとなく分かるような気がする。
相手のことを好いてるから、相手の為になりたいという意識になるんだろう。
お互いにお互いを支え合う関係性だ。

私には恋人も結婚相手も婚約者もいないので、実感としては理解できないが
まあ理屈としてはこんなところだろう。

おまわりさーん!
あと3ヶ月で成人しようとしてる童貞が何か言ってまーっす!

死語を使ってしまうが、私が中学生の時には『ヤラハタ』なるものに、自分がなるとは予想だにしてなかった。めざせヤラミソ!魔法使いになったらリア充共を石に変えて、石釜を作って、俺は美味しいピザを作る。


あとまあ、恋人を持ってることを自分のステータスだと思ってるやつもいるだろうな。
ブランド品で身を固めるのと同じように、自分の価値の一片だと。

理屈としてはこっちの方が分かりやすい。
自分の為になるから、自分の傍に置いておくってだけの話だろう。

恋人がいるから、手前の価値が上がるわけないだろ。
人間の価値ってのは、自分以外の人間にどれだけ優しく出来るかで決まるもんだ。

そういうことだから、俺のことを蛇蝎のように嫌うやつなんかに生きる価値なんてないよな。な?


結局のところ、友達ってどういう存在なのかよく理解できないんだけど?
己の利害が関係してこないと、他人との関係性って説明しづらいものなのかもしれません。

友達作っちゃうと
「友達だから~」っていうお題目で色々させられそうで怖い。

「ここの勘定だしておいてくれよ。俺たち友達だもんな?」

みたいな。
なんなの?友達ってすべての罪が霧散する免罪符かなんかなの?


他にも、自分へのご褒美と称して、意気揚々と出かけた旅行先で
「あっ、あの人と私友達だから、お土産を買って行かないといけないのかな……」
とか、精神的に重荷になったりするんじゃないの?

どんなお土産がいいんだろう、あまり安いものを買って行くと
「私たちの友情って、この程度の値段なんだね」って思われそうだし……
とか、旅行先で煩悶し始めて、もう旅行楽しむどころの話じゃなくなってくるんじゃないの?



おいもう友達ってなんなんだよ……


この世の中から友達という概念をなくせば、無意味なしがらみから解放されて、みんな幸せになれるんじゃないの?

もうそもそもの問題として、友達と言う言葉が曖昧模糊過ぎる。
これはいつも僕が言ってることですが。

そういう意味では、手下とか部下とか召使とか奴隷とか使い走りとか
目的がはっきりしてる言葉は分かりやすくて好きだな。


こんなめんどくさいことを考えてしまうので、僕は人と関わる際にあまり深く立ち入られて友達面されないように心掛けてます!

ち、違うから!
友達が出来ないんじゃなくて、作らないだけだから!
意欲的になれば、ぬいぐるみとは友達になれるくらいのコミュニケーションスキルを持ち合わせてるから!俺たち友達だもんなジョニー!





まあ、そんな感じですかね、最近の私の日常は。
え?なんか日常生活に関する話したっけ?


全く関係ない話になるんですが
近々、このブログでゴミみたいな小説を……

いや。
小説みたいなゴミを公開することになるかと思います。
やったねゴミマニア大歓喜!他人のゴミで今日も飯が美味い!なんだそれ。


と言いますのも、事の発端は私が2年前に上げた記事になるのです。

いやぁ、2年前つったらかなり前ですよ。
絶対2年前の記事とか、ご存じの方いないと思うんですが
僕のピグ友のみやびきゅん……みやびきゅんご存知ですかね?

僕のブログやなうなんかで、度々出てくるみやびきゅんなんですけども。
ええ、そうですあのみやびきゅんです。どのみやびきゅんだよ。

そのみやびきゅんが、2年前に投稿したある記事を読んでたらしく。

その2年前の記事というのが

一話 ライオン浅草を警備する。
二話 ライオン海賊を目指す。
三話 鴨川での未知との遭遇。
四話 劇場版NEWLIONBUROGU

の4つの記事になるんですが。
いやぁ、2年前の私はこんなものを書いてたんですね。
実際、みやびきゅんに言われるまで、自分の書いたものの存在すら薄ら忘れてました。

それぞれが、ピグ内のライオンを主軸とした物語……
物語なんて表現するのも烏滸がましいくらいの駄文なんですが
まあ若気の至りで、そんなくだらないものを書いてたわけなんです。

若気の至りと言う言葉は便利ですね。そろそろ使えなくなるぞ。

その黒歴史たる記事を、読んだみやびきゅんから
「これの続きみたいなの書いたら面白いんじゃないの?」
と、進言を頂きまして

僕はこの黒歴史をさらに真っ黒に塗りつぶすよ!!

黒に何混ぜても白には戻らないわけですから
より一層黒々としたダークマターを目指しますよ。来期のテラフォーマーズを見るのがちょっと怖い。

そんなわけで、現在遅々ながら制作が進行中です。

発起人であるみやびきゅんと一緒にストーリーを考え
載せるための写真を撮って、本文を書いてます(←いまここ)

私が、そんな大層で面白い文章を書けないのは、ここまで読んで下さった読者皆様がご存知とは思いますが、過剰な期待を持たず

「あー……またライオンが何かくっだらねえもの書いてらぁ、ケツ痒い」

くらいの心持ちで、読んで頂けると嬉しいです。
2年前の記事との違いもかなりあるのではないかと思います。文章の書き方とかね。

おそらく次更新する記事が、それになるんじゃないかと。
合計4話を予定してるので、一日ごとに更新致します。

それでは、4話全て更新し終えた後の
あとがき兼反省会、の記事でまたお会いできればと思います。

ライオンでした。

thank you bye