セブン-イレブン経営被害者の会 -4ページ目

セブン-イレブンの答弁書 6頁~9頁

2.「第2 原判決の法令違反」について


(1) 「1 簿記会計代行業務の実態と請求書等の必要性について」

   (同理由書2頁~4頁)


ア.「(1)決済代行・帳簿作成代行にかかる法律関係」について


(ア)決済代行について


a.被上告人セブン-イレブンによる決済代行について


(a) 被上告人セブン-イレブンと推奨仕入先との間では、ターンアラウンドシステムと呼ばれるセブン-イレブン総合仕入システム(乙イ3の1、2)(以下、総合仕入システムという。)によりコンピュータを用いた受注・納品・検品・会計処理・代金決済が為され、導入当初より省力化、効率化が推進され、商品仕入システムの合理化がはかられている。

 また、各加盟店オーナーは、推奨仕入先から商品を仕入れる場合、コンピュータのオンラインで被上告人セブン-イレブンのコンピュータを経由して発注する。

 この場合、各商品の仕入原価と標準的小売価格は、事前に、各商品の写真、特色等とともに、各加盟店オーナーに案内されている。


(b) 総合仕入システムの特徴は、基本的に、紙を使用しない電子的手段によって、商品仕入の受・発注および商品仕入代金の請求・支払いが為されることにある。また、推奨仕入先と被上告人セブン-イレブンとの間の決済は、各加盟店オーナーが注文した商品の納品時に検品して、納品した商品を確定した後、被上告人セブン-イレブンに対して納品データが送信され、その後、推奨仕入先に転送される納品データに基づいて作成される売掛データと買掛データとの照合により行われるため、納品データと決済内容とに齟齬が生じない。


(c) 被上告人セブン-イレブンは、各加盟店オーナーに対して、各加盟店基本契約に基づき、確定した納品データの商品仕入原価を各加盟店オーナーの被上告人セブン-イレブンに対するオープンアカウント上の負債として記帳する。また、被上告人セブン-イレブンは、各加盟店オーナーに対し、それぞれ商品仕入代金の送金を個別に求めず、推奨仕入先に対して、各加盟店オーナーの商品仕入代金債務を自らの債務として引受けたうえ、支払っているため、各加盟店オーナーは、資金繰りを気にせずに経営に専念できるのである〔加盟店基本契約(以下、本契約という。)第18条第4項〕。


(d) また、推奨仕入先に対して支払うべき商品仕入代金について、推奨仕入先からは、各加盟店オーナーに対する個別請求がそれぞれ為されず、被上告人セブン-イレブンが、推奨仕入先から、推奨仕入先と取引をした各加盟店オーナーの商品仕入代金総額について、一括して請求を受け、被上告人セブン-イレブンが確認した納品データと照合のうえ、あるいは推奨仕入先の希望によっては被上告人セブン-イレブンが確認した納品データのまま自動的に、それぞれ一括して支払いをすることから、推奨仕入先の事務の合理化にも繋がっている。


(e) 従って、本契約において、被上告人セブン-イレブンが各加盟店オーナーの商品仕入代金を自らの債務として引受けて支払っていることは、各加盟店オーナーからみれば実質的な免責と異ならない。また、実際上も、推奨仕入先から上告人らに対して、商品仕入代金の請求が為されたことは無いとともに、上告人らが推奨仕入先に直接、代金を支払ったことも無い。


(f) なお、商品代金の決済方法は、一般に、商品の特性、商品仕入を行う者の信用等によって決定されるため、掛け仕入、後払いが商慣習であるとは言えない。現に、被上告人セブン-イレブンにおいても、たばこの支払いなどは先払いとなっている。


(g) 各加盟店オーナーが被上告人セブン-イレブンに送金している販売受取高(本契約第27条第1項)は、各加盟店オーナーの被上告人セブン-イレブンに対するオープンアカウント上の負債の弁済を意味する〔本契約付属明細書(ホ)第3項〕ことから、上告人らが主張するように、上記販売受取高が、上告人らの被上告人セブン-イレブンに対する預け金ではないことは明らかである。

 なお、上告人らの主張が前提としているように、「本部は、上記支払日(商品が納品された月の翌月ないし翌々月)に加盟店から送金されて預託された売上金から、支払いを代行している。」(同理由書2頁~3頁ア)(すなわち、被上告人セブン-イレブンは、商品仕入代金を商品が売れてから支払うことになる。)というのは事実と相違する。なぜならば、各加盟店オーナーが仕入れた商品のすべてが必ず売れるという保証は何も無く、仮に、そうであるならば、世の中に倒産はありえないことになる。独立の事業者である各加盟店オーナーが、仕入れる商品の選択および仕入数量を誤れば、売れずに商品を廃棄したり、商品が不良在庫となってしまう可能性もあるのである。このようなことが積み重なれば、商品仕入代金が売上代金の金額を上回る事態ともなり、その場合、別途、各加盟店オーナーが資金調達を行うことができなければ、最終的には倒産してしまうことから、本契約上、被上告人セブン-イレブンは、上記販売受取高を超過していても、各加盟店オーナーの商品仕入代金を支払う(本契約第18条第4項)ことになっており、被上告人セブン-イレブンは、各加盟店オーナーに対し、各加盟店オーナー支援の一環として推奨仕入先に対する支払いを行っているのである。


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セブン-イレブンの答弁書 9頁~11頁

b.上告人らの現金仕入について


(a) 上告人らは、総合仕入システムの利用を望まないのであれば、自らの意思により、総合仕入システムを利用せず、推奨仕入先以外の他の各仕入先(以下、他の各仕入先という。)から現金仕入による商品仕入を行うことも可能であり、この点、上告人らには何らの不利益も生じない。

 この場合、コンピュータを用いた商品仕入の受・発注ではないため、他の各仕入先は、請求書と領収書を作成するとともに、上告人ら自らが商品仕入代金を支払うことから、上告人らには、商品仕入代金の支払日および支払額が極めて明確である。

 ところが、上告人らは、本件訴訟提起前のみならず、本件訴訟提起後も、あえて総合仕入システムにおけるメリットの活用を自ら継続的に選択していたものである。


(b) また、各加盟店オーナーが自らの商品仕入代金を他の各仕入先に現金で支払った場合には、会計上は資産である現金が商品に変わっただけであるため、オープンアカウント上の負債には影響を及ぼさない。


(c) 更に、各加盟店オーナーが誤って推奨仕入先に商品仕入代金を現金で支払った場合でも、被上告人セブン-イレブンに対するオープンアカウント上の負債にはならないことから、総合仕入システムは、被上告人セブン-イレブンが各加盟店オーナーに対して、推奨仕入先に対する商品仕入代金支払日を報告しなかったとしても、各加盟店オーナーが二重に商品仕入代金を負担することになるという不利益は絶対に発生しないシステムになっているのである。


c.総合仕入システムにおける相手方ヤマト運輸との関係について


 上告人らが総合仕入システムと相手方各ベンダーとの関係をすべて同一視して主張していたため、被上告人セブン-イレブンは、従来、相手方ヤマト運輸と他の相手方各ベンダーとを明確に区別して主張はしていなかった。

 しかしながら、原審が事実認定したとおり、正確には、相手方ヤマト運輸については、上告人らとの間に継続的売買契約がそれぞれ存在する他の相手方各ベンダーとの関係とは異なり、被上告人セブン-イレブンと相手方ヤマト運輸との関係では、宅急便その他相手方ヤマト運輸の販売するサービス商品(以下、宅配便サービス等という。)の取り扱いについて業務委託契約が締結されている。その上で、被上告人セブン-イレブンは、宅配便サービス等を取り扱うことを承諾した各加盟店オーナーに対し、当該業務を再委託している。

 従って、上告人らが被上告人セブン-イレブンに対して当該業務を委任または準委任するわけではなく、被上告人セブン-イレブンは、相手方ヤマト運輸に対し、顧客から預かった宅配便サービス等の代金について自らの債務として支払いを行っていることについて、他の相手方各ベンダーとの相違点はない。

 以上から、他の相手方各ベンダーと同様に相手方ヤマト運輸についても、上告人らの主張が認められないことは明らかである。


d.本契約に定めのない事項に対する報告についての有償性


 万一、御庁における判決において、上告人らが被上告人セブン-イレブンに対して、自らの税務申告のために必要ない事項について報告を求めることが認められるのであれば、当該報告は、どのような形で上告人らに提供されるにせよ、本契約上、被上告人セブン-イレブンが提供することが予定されていないため、上告人らが支払っている対価(セブン-イレブン・チャージ)を超過するサービスであることから、当然のことながら、無償ではなく、別途、提供を希望する各加盟店オーナーのそれぞれ有償負担で提供されることとなるのである。


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セブン-イレブンの答弁書 11頁~13頁

(イ) 会計・簿記サービスについて


a. 会計・簿記サービスの目的について


(a) 被上告人セブン-イレブンは、上告人らに対し、本契約第36条ないし第39条にそれぞれ基づいて会計・簿記サービスを提供する。なお、上告人松-については、本契約が既に終了している。


(b) しかしながら、被上告人セブン-イレブンの上告人らに対する会計・簿記サービスの提供は、本契約第36条ないし第39条に基づいて、セブン-イレブン・システムという不可分一体としてのビジネス・パッケージに対する使用許諾の一環として為されるものであり、その主たる目的は、税務申告のためではなく、各セブン-イレブン店の経営数値の管理にある。

 すなわち、各セブン-イレブン店において、売上を上げ、経費をコントロールし、利益を生み出すための計画およびその実行の成果を検証するために、被上告人セブン-イレブンは、各1か月単位で経営記録、会計帳簿、計表(以下、帳票記録という。)を作成している(本契約第38条1項)ものであり、単に、税務申告のためであれば、帳票記録の作成は、年に1回で済むものなのである。


(c) 従って、被上告人セブン-イレブンの上告人らに対する税務申告のための思料の提供についても、帳票記録に反映される範囲に限られる(本契約第36条)ことから、上告人らの税理士に対する税務申告業務の委任(準委任)のように、上告人らの被上告人セブン-イレブンに対する委任または準委任に基づいて会計帳票類が提供されるものではない。


b.上告人らの税務申告について


(a) 上告人らの税務申告に関しては、税務申告の主体は、独立の事業者である上告人らであるが、被上告人セブン-イレブンは、本契約第36条に基づき、帳票記録に反映される範囲で、上告人らの税務申告のための資料を提供している。


(b) そして、上告人らは、被上告人セブン-イレブンとの間で本契約を締結することにより、上告人ら自らがセブン-イレブン・システムの内容である会計・簿記サービスの提供を、自らの意思により受け入れることを承諾しているものである。

 このことから、上告人らは、被上告人セブン-イレブンに対し、本件訴訟提起まで長期間にわたって、被上告人セブン-イレブンが上告人らに対して提供する会計・簿記サービスの内容について何ら意議を申し述べず、被上告人セブン-イレブンの提供する資料に基づいて自ら税務申告を行ってきたと思料される。


(c) また、被上告人セブン-イレブンから各加盟店オーナーに対して、商品仕入代金支払日をそれぞれ逐一報告することは、各加盟店オーナーの計数管理および税務申告のいずれの目的にためにも必要がないため、各セブン-イレブン店の帳票記録に反映されないのである。叫び


(d) 従って、上告人らの本件請求の範囲が原審において特定の商品仕入に減縮されたとしても、上告人らが請求する被上告人セブン-イレブンの報告を実行するためには、被上告人セブン-イレブンにおいて、被上告人セブン-イレブンの社員が手作業で当該報告のため資料を作成するか、または被上告人セブン-イレブンが新たに多額投資をして新しいコンピュータ・システムを構築するかのいずれかの方法を採らなければならない。その結果、被上告人セブン-イレブンとしては、全く想定外の対応をしなければならないことから、上告人らが各セブン-イレブン店の帳票記録にない資料の提供を求めることは、本契約により合意した被上告人セブン-イレブンの義務以上の過大な義務履行を被上告人セブン-イレブンに対して求めること他ならない。(原文ママ)