エレベーターに乗ったら、
嫌そうな咳が聞こえてきた。
エレベーターに乗って、先に乗っている人の目を見る事などほとんど無い。
それはみんなそうだろうと思う。
その時の私は、その老人と思わず目があってしまいました。
別に、その咳が気になったわけでも、私が嫌だったわけでも無い。けれども、たまたま目があった。
ですが、その老人の表情から、私が乗ったのが嫌であった事が読み取れました。
私はいつものように重いスーツケースとその上にボストンバッグを載せており、よっこいしょういち、と、エレベーターの中に引っ張って中に入りました。
すると、もう一度、その私の荷物も嫌そうに感じているであろう、「ごほほん」が聞こえました。
私は思わず顔を上げてその老人の顔を見ると、70歳代の男性。もちろん、すぐに視線は外しました。
エレベーターが閉まりそうになると、今度は、高校生男児が乗ってきた。
その直ぐ後に、今度はベビーカーと女の子とそのお母さんが乗ってきました。
乗って良いですか?とベビーカーを引く女性が聞かれたので、「良いですよ」と高校生も私も答えました。
ドアは閉まり・・・、おそらく10人乗りくらいのエレベーターでした。
その老人にとっては少し気まずい時間が流れて、エレベーターはホームに着いた。
ほんの10秒くらいの時間だろうけれども、その老男性には気まずい時間だったろう。
私が乗るのも嫌そうなくらい急いでいたのか。はたまた私がマスクをしていなかったからなのか。でも最後に乗った主婦も女の子も、ベビーカーに乗っている赤ちゃんもマスクはしていなかった。
あの老人は、あの行為を自省するのか、どうなのか。
私だったら・・・そもそも嫌そうな咳払いなどしないと思うけれども、私だったら、1日はひきづるくらいちょっと気分が落ち込むかもしれない。
なんであんな行為をしてしまったのか。と。余裕がなかったな〜と反省するかもしれない。
でも、あの老男性にとっては、あのイライラが普通であると私には分かる。
やはり見えない世界の影響はそこら中にある。
シックスセンス管理人