夏空のプレアデス(Another Vision・持ち帰りなぞ?) | 放浪カモメはどこまでも

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Another Visionのメンバー

雨露山鳥さんによる持ち帰りなぞ

というかミステリー小説

「夏空のプレアデス」を読んだので

その感想を書きます。

 

価格 1300円

所要時間 3時間

 

最近勢いが凄いことになってる

Another Visionさんのメンバーが

今度は小説も書かれたみたいです。

 

東大ナゾトレもどんどん新刊が

発売されていますが、

まだ私は買ってないです(゜д゜)。

 

なんかTV的な感じがしてどうも

購買意欲が削がれてしまうんだな。

 

しかし、今回は小説というかたち。

これは試しに買ってみようと衝動買い。

 

ちなみに出版社は小学館です。。

 

ぶーDASH!ぶーDASH!ぶーDASH!ぶーDASH!ぶー

 

んーーーーー、小学館かぁぁ。

 

どうも小学館は東川篤哉さんの

謎解きはディナーの後での印象が強く、

ライトノベル的なキャラメインの

ミステリーのイメージが強いです。

 

本格派の作家が好きな私にとって

そこまで縁のない出版社だなぁ。

 

帯にもデカデカと

「現役東大生作家 衝撃のデビュー作」

みたいな紋切りの宣伝文句が踊る。

 

(これはそこまで期待できないね。)

 

昔、SCRAPさんが出した

マダムマーマーレードみたいな

もんかなー、なんて思いながら

読み始めました。

 

最初らへんは地の文といいキャラの

セリフといいラノベ的な文体で

(あーはいはいセカイ系に星座の

神秘的な要素を加えていく感じねー)

みたいに舐め腐って項を進めていきました。

 

(うーん、これは外れかなぁ)と思い、

3分の1を読み進めたあたりから

物語の歯車が徐々に回り始めます。

 

この日常から非日常に徐々に

シフトしていくような危うさは

「ひぐらしのなく頃に」を思い出しました。

 

これはね…、かなりゾクゾクしました。

 

もうこうなってしまったら、

先の展開が気になってしまい

ページをめくる手が止まらなくなります。

 

次々に深まる不可解な謎。

途中に入る地味に難しい

ペンシルパズル。

先の予測できない物語。

 

前言撤回!!

 

この本、面白いぞ!!

 

舐め腐ってた過去の自分を

スリッパでばちこん殴ってやりたい。

 

ゲームブックの様に謎の量は

そこまでありませんが、

本格好きには堪らない「小説」なので

是非是非購入して欲しい本です。

  

 

そして、ここから下はネタバレは

しないものの雰囲気がわかる様な

感想について書いていきます。

 

なので、雰囲気が知りたくない方は

読まないで欲しいと思います。

 

読了した人とまだ購入を迷っている人は

読んで頂ければと・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

では、改めて感想を書きます。

 

まず、予備知識として知ってほしいのは、

ミステリーにおいて時々いわれることは

既にトリックは出尽くした、ということ。

 

だから今のミステリーは過去のトリックの

状況の設定を変えたり、

複数のトリックを組み合わせたり、

時事的な要素を物語に足し込んで、

新しくしているものがほとんどだと。

 

そんな中、去年彗星のように現れたのが

今村昌弘著の「屍人荘の殺人」である。

 

これは本格推理ものに

流行りの○○○ものを加え、

それをトリックとして昇華したところを

新しい本格と評価された作品である。

 

古くからある論理的要素のある本格推理を

今風にチューニングしたミステリーであり、

ミステリーの賞を3冠とった作品である。

 

私の個人的な感覚ですが。

この「屍人荘の殺人」は

流行りの○○○ものと本格推理を

点と点でチューニングしたものだと

思っている。

 

そして、話は戻り

「夏空のプレアデス」ですが、

こちらは本格推理モノと

ここ10年前後から現在までの

ポップカルチャーの水脈を

線と線でチューニングしたものだと

個人的に感じた。

 

セカイ系的な設定。

タイムリープの話。

西尾維新的な言い回し。

ひぐらしの様な日常の崩壊。

謎解き要素。

 

その様なティーンエイジャーが

好む要素が含まれた内容ながらも、

古くから好まれる論理的思考が必要な

本格推理ものとして成立していると思う。

 

これは骨太のロジックが根幹にあるから、

通常の本格ではないような他の要素が

多くてもバランスが取れていると思う。

 

本格派の特徴である読者への挑戦もあり、

内容もとてもフェアである。

 

だから面白いし、そして凄い。

 

この「夏空のプレアデス」も

「屍人荘の殺人」と同じように

新しい本格の1つだと私は思う。

 

古くからあるエラリー・クイーンの様な

読者への挑戦。

終盤の綾辻行人の様などんでん返し。

西尾維新の様な行間を使った

状況と情緒の表現。

竜騎士07の様な平和な日常との

ギャップを利用した物語の急な加速。

 

他にも色んな要素があるんだろうね。


その色んな要素を、色んな文化の流れを

包括した上で本格推理ものとして、

成立させたのはね、ほんと凄いよ。


もし、ひぐらしのパクリとか

言う奴いたらぶん殴るからな!!

 

ひぐらしをオマージュしつつ、

それを独自性を持って

本格推理として成立させてるから

この本は面白いし、新しいんだよ。

 

一番最後の試みも面白いし、

これがデビュー作って

凄い才能だと思う。

 

謎解きファンとしてというより

本格ファンとして、

次回作をとても期待したくなる

小説だと思った。

 

というわけで買おうね~♪

 

(これは小説なんで★とか付けちゃだめだな)