映画「グレート・ウォリアーズ/欲望の剣」ジェニファー・ジェイソン・リー祭り | TO NI LAND 

 

 

 

映画「グレート・ウォリアーズ/

欲望の剣」を観た。

 

 

 

 

 

 

 

 

テレビ放映された時の

タイトルはなぜか、

 

「炎のグレートコマンド/

地獄城の大冒険」で、

 

 

 

どうせ視聴率は

稼げないだろうという、

 

配給元の投げやりな感じが

伝わってくるようだが、

 

 

この作品を民放で

放映しただけでも、

 

大したものだと感心し、

 

 

 

原題の「Flesh + Blood」は、

 

いかにもバーホーベン的

ではあるものの、

 

 

彼がアメリカ進出して

間もない頃の作品とあって、

 

制作は思い通りにはいかず、

 

 

 

制作会社の意向で、

 

メインプロットは

変更させられるわ、

 

 

ここまで何度もタッグを

組んできた、

 

ルトガー・ハウアーとは

軋轢が生じるわと、

 

 

散々だったようで、

 

 

バーホーベンにとっては、

 

満足のいかない仕上がり

となったようだが、

 

 

 

関係者たちの様々な思惑が

入り交じったせいか、

 

 

乱世感は上手く表現されて

いるように思えて、

 

 

 

 

地面から覗いている

聖人像の手と、

 

死産した赤ん坊の手、

 

 

 

乱暴されるアグネスの姿と、

 

怪我によって痙攣する

尼の姿、

 

 

 

光輪が燃えている聖人像と、

 

燃える車輪の前に立つ

マーティンなど、

 

 

 

異なるシーンのイメージが、

 

神経衰弱のカードのように

一組になって、

 

 

暗示や、伏線回収に

なっていたりする手法も、

 

 

ヤン・デ・ボンとの

コンビだからなのか、

 

 

映画「4番目の男」と同様に

用いられているうえに、

 

 

 

エログロで

変態的な世界観や、

 

 

わざと卑猥な映像に

仕上げているかのような、

 

“ボカシ”も健在なので、

 

 

 

風の谷のナウシカで登場する

オームのような、

 

 

からくり階段を仕込んだ

装甲馬車の結末や、

 

 

 

首に繋がった太い鎖が

ちぎれるほどの落雷でも、

 

 

命を落とさずに脱出する

スティーヴンなど、

 

 

子供騙しな描写に、

 

お祭り気分が台無しに

なったことを除いては、

 

 

 

バーホーベンテイストを

満喫できた作品だった。

 

 

 

 

 

 

ジェニファー・ジェイソン・リーが、

 

 

この物語を牛耳っている

と言ってもよい、

 

貴族の娘アグネス役で、

 

 

 

今回はフィービー・ケイツが

居ないため、

 

 

侍女に無理やり

レクチャーさせるほど、

 

やはり

セックスには貪欲で、

 

 

 

領主の息子スティーヴンと、

 

 

反逆した傭兵のリーダー

マーティンとの、

 

複雑な三角関係にあって、

 

 

 

傭兵たちが注目するなか、

 

 

自分の命を

守るためであれば、

 

 

永遠の愛を誓い合った

スティーヴンを、

 

 

ただの犬ころ呼ばわりする

だけでなく、

 

 

“ワンと吠えてみなさい!”と

けしかけたりもし、

 

 

 

他の傭兵たちから

自分を守ってくれた、

 

マーティンに対しても、

 

 

リーダーの座を追われて、

 

彼が汚染された井戸に

投げ込まれてしまうと、

 

 

“お味はいかが!”

と罵るなどの、

 

 

露骨な豹変ぶりに、

 

男たちも呆れるほどの

したたかな女を演じ、

 

 

 

 

セックスに貪欲なアグネス

の面倒をみる侍女役を、

 

 

アニメ「ザ・シンプソンズ」

の声優で有名な、

 

ナンシー・カートライトが

演じていて、

 

 

 

彼女は、

 

ジェニファー・ジェイソン・リー

の父親、

 

 

ビック・モローが出演していた、

 

 

映画「トワイライトゾーン/

超次元の体験」でも、

 

 

第三話のキャストを

演じているので、

 

 

父娘どちらの出演作にも、

 

出演した経験のある

人物であり、

 

 

 

 

傭兵たちのリーダーである

マーティン役を、

 


バーホーベン作品の常連俳優、

 

ルトガー・ハウアーが

演じていて、

 

 

 

雨でびしょ濡れだったり、

 

 

血が顔面を流れ落ちて

いたりすると、

 

 

 

やはり、

 

彼の代表作である

映画「ブレードランナー」での、

 

 

レプリカント役が思い出され、

 

 

“tears in rain”の名セリフも

よみがえったが、

 

 

 

ブレードランナーとの戦いでは

圧倒的な強さを誇った彼も、

 

 

舞台が中世に移ると、

 

 

仲間たちからは、

 

菌に汚染された井戸へ

投げ落とされるわ、

 

 

小娘のアグネスなどに

弄ばれるわで、

 

 

 

ハリソン・フォードが

そんな姿を見たら、

 

 

さぞかしガッカリした

だろうと思われ、

 

 

 

 

ハリソン・フォードと言えば、

 

 

こちらも彼の敵だった、

 

ロナルド・レイシーが、

 

 

傭兵たちに同行する

枢機卿役を演じていて、

 

 

 

桂文珍かと思った、

 

映画「レイダース/

失われたアーク《聖櫃》」の、

 

 

エージェント役では、

 

 

拷問によって

人を従わせようとしたが、

 

 

 

今回は、

 

聖人像のお告げと称して

傭兵たちを操っていて、

 

 

 

 

こちらも、

 

ハリソン・フォードの敵

だった、

 

ブライオン・ジェームズが、

 

 

マーティンの傭兵仲間、

 

カーストハンス役を演じていて、

 

 

今回は傭兵仲間だが、

 

「ブレードランナー」では

ルトガー・ハウアーの、

 

レプリカント仲間で、

 

 

レイチェルに、

 

派手に殺られて

しまったのを思い出し、

 

 

 

 

 

本人はゲイではないが、

 

 

映画「バスケットボール・

ダイアリーズ」で、

 

 

レオナルド・ディカプリオに

肉体関係を迫る、

 

ゲイのコーチ役を演じていた、

 

 

ブルーノ・カービーが、

 

 

今回もゲイの、

 

傭兵役を演じたりしていて、

 

 

 

 

 

主役の一人である

スティーヴン役が、

 

 

予算の都合でか、

 

 

エミリオ・エステベス

をイメージした、

 

彼似のマイナーな俳優を

あてがったように思えたのは、

 

残念で、

 

 

 

もし、スティーヴン役が
ハリソン・フォードだったら、

 

 

彼ならば、

 

調子に乗るアグネスを

ねじ伏せることが出来たうえに、

 

 

 

マーティンたちの

リベンジマッチによって、

 

 

異様な盛り上がりを

見せただろうと思われた。

 

 

 

 

 

 

 

 

映画「初体験/リッジモント・ハイ」

を見て、

 

 

 

バーホーベン監督は

アグネス役を、

 

ジェニファー・ジェイソン・リー

に決めたようで、

 

 

 

“アグネス“という役柄の

バックグラウンドと、

 

彼の変態的な嗜好から、

 

 

彼女の、顔も声も幼く、

 

幼児体型な点に着目したのは、

 

 

容易に察することができて、

 

 


吊るし首にされた

死体にも動じずに、

 

 

その下でマンドレイクを

かじりながら、

 

スティーヴンを誘惑する

彼女は、

 

 

まだ20代そこそこで

あるにもかかわらず、

 

 

まるで、

 

白雪姫に登場する

妖しげな老婆のようで、

 

 

 

「トムとジェリー」での、

 

 

ジェリーを追い詰めた時の、

 

トムの満足そうな表情

とでも言おうか、

 

 

 

顔は笑っているのに、

 

目だけは

相手を威嚇するような、

 

彼女独特の笑顔も、

 

 

バーホーベン作品には

もってこいだが、

 

 

 

この、

 

“幼艶”なキャラクターだけでも、

 

 

バーホーベン的には、

 

満足のいく配役であった

と思われるが、

 

 

 

そんな彼女が、

 

 

「初体験/リッジモント・ハイ」

など比ではないヌードシーンも、

 

躊躇しないうえに、

 

 

あのルトガー・ハウアーや、

 

先輩俳優たちを手玉にとり、

 

 

 

ラストシーンでは、

 

 

なんなら、

 

スティーヴンを捨てて、

 

 

マーティンと駆け落ちするのかと

勘ぐってしまうほどの、

 

 

したたかな女を

演じてくれるのだから、

 

 

 

ジェニファー・ジェイソン・リーの

予想以上の活躍ぶりに、

 

 

笑いが止まらないバーホーベン

の姿が想像できて、

 

 

 

そんな、

 

ジェニファー・ジェイソン・リーの

評判を、

 

 

もし、タランティーノが

聞いたとしたら、

 

 

 

彼女を放っておく

はずがないと思った。