映画「ヒッチャー」ジェニファー・ジェイソン・リー祭り | TO NI LAND 

 

 

 

映画「ヒッチャー」を観た。

 

 

 

 

 

 

 

トレードマークの

ニヒルな笑顔が、

 

 

すっかり脳裏に

焼きついてしまうほどの、

 

ルトガー・ハウアー

尽くしに、

 

 

 

“ジェニファー・

ジェイソン・リー祭り”

 

などと謳った自分が

恥ずかしくなり、

 

 

 

まぎれもなく、

 

“ルトガー・ハウアー祭り”

 

と呼ぶに相応しい作品で、

 

 

 

 

ルトガー・ハウアー演じる

ジョン・ライダーが、

 

保安官に

拘束されてからは、

 

 

ふと、

 

アンソニー・ホプキンス

のように見えたりもしたので、

 

 

その可能性も

考えてみたのだが、

 

 

 

ルトガー・ハウアーよりも、

 

 

アンソニー・ホプキンス

のほうが、

 

サイコ感は増すであろう

シーンがある一方で、

 

 


年齢的にも、

 

アクションシーンは

見劣りしそうに思われ、

 

 

 

ルトガー・ハウアーよりも

身軽なうえに、

 

 

キレキレで

動きに無駄がなく、

 

戦闘力も高い

アンソニー・ホプキンスを見て、

 

 

大笑いしたいのは

やまやまだが、

 

 

おそらく、

 

 

映画「アイリッシュマン」

を観賞した時のように、

 

 

“不気味の谷”を経験する

のがオチで、

 

 

 

リドリー・スコット、

 

ポール・バーホーベン、

 

 

そして本作の

ロバート・ハーモンと、

 

 

 

ルトガー・ハウアー

の扱い方を、

 

熟知している監督たちが

やらせて来たのだから、

 

 

避けては通れないであろう、

 

 

 

雨でびしょ濡れだったり、

 

血が顔面を流れ落ちて

いたりするシーンも、

 

 

アンソニー・ホプキンス

であれば、

 

難なくこなすだろうが、

 

 

 

“tears in rain”の名セリフが

浮かんでくるほど、

 

詩的なシーンには

ならないように思われ、

 

 

 

やはり、ジョン・ライダーは、

 

ルトガー・ハウアーが

適任であるように思えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

ライダーが殺人を犯す動機や、

 

 

彼を含む3人の主要な人物

の背景が、

 

ほとんど

示されていないため、

 

 

 

単に、不条理な世界を

傍観しているだけで、

 

 

この物語を、

 

どう解釈してよいのか

分からず、

 

 

 

 

ライダーとは

まだ出会っていない、

 

ジム(C・トーマス・ハウエル)が、

 

 

居眠り運転するところまでが、

 

現実の物語だとすれば、

 

 

 

ショッキングな

エピソードの数々は、

 


眠りに落ちた彼を

なんとか目覚めさせようと、

 

 

ジムの意識が

作り出したもので、

 

 

 

ライダーは、

 

映画「エルム街の悪夢」の

フレディのように、

 

夢の中に存在していて、

 

 

トラックと

正面衝突するまでに見た、

 

 

ジムの夢物語

なのだろうかと思ったり、

 

 

 

 

C・トーマス・ハウエルを見て、

 

 

映画「アウトサイダー」で

彼が共演した、

 

エミリオ・エステベスが

思い出され、

 

 

そこに、

 

 

ジェニファー・ジェイソン・リー、

 

ルトガー・ハウアー

と登場すれば、

 

 

そこはもう

バーホーベンの世界で、

 

 

映画「グレート・ウォリアーズ/

欲望の剣」での、

 

三角関係が再燃するうえに、

 

 


“どこでもドア”

の使用を疑うほど、

 

ライダーは

神出鬼没であることから、

 

 

 

彼は、ターミネーター

のような存在で、

 

 

現代に生まれ変わった

二人を追って、

 

中世からやって来た

マーティンの、

 

 

復讐劇なのだろうかと

思ったりもしたが、

 

 

 

 

ルトガー・ハウアーが、

 

ジョン・ライダーを

演じるにあたって、

 

 

ロバート・ハーモン監督は、

 

息子のようにジムを扱って

欲しいとリクエストし、

 

 

ルトガー・ハウアーも、

 

その提案を気に入った

という話を知って、

 

 

 

フォー・シーズンズの

『Walk Like a man』ではないが、

 

 

 

「ヒッチャー」は、

 

まだまだ甘さの残る

青年ジムを、 

 

 

ライダーが、

 

少々手荒に

一人前の男にしようとする、

 

 

 

例えれば、

 

 

息子のケヴィンに、

 

 

無理やり自宅で

高校生活を学ばせる、

 

リーヴ・シュレイバーと

ナオミ・ワッツ夫妻を描いた、


 

“ホームスクール”のような、

 

 

ブラックコメディで、

 

 

 

ライダーを倒した

ラストシーンでは、

 

 

 

“勘弁してくれよ”

 

という呟きも

聞こえてきそうなほど、

 

 

ジムにとって、

 

迷惑甚だしい物語だと

解釈すれば、

 

 

腑に落ちないこともない

と思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

冒頭のクレジットで、

 

 

 

ジェニファー・ジェイソン・リーの

名前の頭に、

 

 

“and”

が記されているのを見て、

 

 

 

思わず、

 

デビューして数年の小娘が、

 

 

いきなり、大御所あつかいか

と動揺したが、

 

 

 

出番やセリフの少ない

ナッシュ役の重要性や、

 

 

 

「グレート・ウォリアーズ~」

での共演で仲良くなった、

 

ルトガー・ハウアーと、

 

 

また、一緒に

仕事がしたかったからという、

 

彼女がナッシュ役を

引き受けた理由から考えて、

 

 

 

友情出演なのではないか

と思われ、

 

 

 

そんな彼女の気持ちを

踏みにじるかのように、

 

 

 

「グレート・ウォリアーズ~」

では濃厚だった、

 

ルトガー・ハウアーとの

スキンシップも、

 

 

 

「ヒッチャー」では、

 

わずかに彼から

腕を触れられるのみで、

 

 

 

彼との会話シーンは

一つもなく、

 

 

 

挙げ句の果てには、

 

トレーラーの連結部にされて、

 

 

体を真っ二つに

されてしまうのだから、

 

 

 

ロバート・ハーモン監督も

相当なドSだと思われ、

 

 

 

これで、

 

ジェニファー・ジェイソン・リーが

ノーギャラなら、

 

なおさら、ひどい話のような

気がしたが

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まさか、

 

 

 

 

連結部は

彼女のアイデアなのか?

 

と疑ったとき、

 

 

 

 

 

私はマグカップの裏底の、

 

“KOBAYASHI”の文字を

見たような気がして、

 

 

 

戦慄が走った。