映画「マリアの恋人」ナスターシャ・キンスキー | TO NI LAND 

 

 

 

永遠の恋人

ナスターシャ・キンスキーの存在を、

 

すっかり忘れていたのに気づいて、

 

 

 

映画「マリアの恋人」を観た。

 

 

 

 

 

 

 

 

最盛期の作品とあって、

 

 

やはり、

 

彼女は太陽のように

輝いていて、

 

 

 

男たちからは称賛され、

 

 

挿入歌の

『マリアの瞳』でも語られた、

 

その、美しい瞳を、

 

 

いつまでもずっと

見つめていられる恋人は、

 

なんて幸せ者なのだろうと

羨ましかったが、

 

 

 

それが、ジョン・サヴェージ

なのは間違いで、

 

 

 

案の定、

 

“マリアの変人”

と呼んでも良さそうなほど、

 

 

マリア(ナスターシャ・キンスキー)

をがっかりさせるわ、

 

 

 

泣くわ、喚くわの大騒ぎだわ、

 

 

 

愛の証明などと称して

コンロで手は焼くわの、

 

ポンコツぶりに呆れたが、

 

 

 

それにしても、

 

戦争でメンタルが崩壊した

人物を演らせると、

 

 

ジョン・サヴェージの

右に出る者がいないと思い、

 

 

 

彼の代名詞である、

 

映画「ディア・ハンター」の

スティーヴン役の再演が、

 

確認できるうえに、

 

 

 

イヴァン (ジョン・サヴェージ)の

トラウマの象徴がネズミで、

 

 

 

冠を頭上に掲げられる、

 

ロシア正教式の結婚式を

マリアとあげ、

 

 

 

妻をほったらかしなのを

咎められて、

 

家に連れ戻されたり

するところから、

 

 

 

「ディア・ハンター」の

オマージュ作品のようでもあり、

 

 

 

貨物列車を使ったシーンに

見覚えがあったりするので、

 

 

アンジェリーナ・ジョリーの父

ジョン・ヴォイトの、

 

鬼気迫る演技と、

 

 

ジュリア・ロバーツに

そっくりな兄に驚かされた、

 

 

同じく、

 

アンドレイ・コンチャロフスキー

監督作品の、

 

 

映画「暴走機関車」の着想を得た

作品のようにも思えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

イヴァンの父親役を、

 

 

歴戦の強者役が

板についていて、

 

 

 

「マリアの恋人」公開前年も、

 

ドラマ「戦争の嵐」で

海軍中佐役だった、

 

 

イヴァンとは似ても似つかない

タフガイの、

 

ロバート・ミッチャムが

演じているのが愉快で、

 

 

 

マリアの色香に迷って、

 

 

“義理の娘になる前に”

とキスをしてしまうあたりが、

 

飾り気のない彼らしかったが、

 

 

 

“父親なら、

娘へのキスは当然よ”という、

 

マリアのセリフが意味深で、

 

 

どうにも、

 

クラウス・キンスキーが

浮かんでしまって、

 

複雑な気持ちになり、

 

 

 

 

マリアを誘惑して

一夜の情事に及び、

 

 

処女を奪ったうえに、

 

 

その一回で妊娠まで

させてしまう、

 

極悪非道なギター弾き

クラレンス役を、

 

 

 

まだ12歳の

ブルック・シールズを妻とし、

 

 

 

宝石や高級車ではなく、

 

野花でマドンナを射止めた

経験もある、

 

 

キース・キャラダイン

が演じていて、

 

 

 

Melaの『Help Me』の歌詞を

彷彿させる、

 

『マリアの瞳』の弾き語りなどで、

 

 

今回も

色男ぶりを発揮していたが、

 

 

 

最後にイヴァンから、

 

クリス・ロックなみに

殴り倒されては台無しで、

 

 

 

 

イヴァンの仕事仲間役を、

 

 

若い頃に

もう少し体が絞れていれば、

 

レオニダスでも

演じていたかもしれない

 

 

名脇役俳優の

ジョン・グッドマンが演じて、

 

 

 

 

映画「バーディ」では、

 

 

戦争でメンタルをやられた男

を看病していた、

 

カレン・ヤングが、

 

 

マリアの友人ロージー役で

出演していたりして、

 

 

 

 

マリアに恋心を抱いている

大尉のアル役を、

 

 

映画「ランブルフィッシュ」での

ラスティ(マット・ディロン)の親友、

 

スティーヴ役が印象的な、

 

 

ヴィンセント・スパーノ

が演じていて、

 

 

 

メガネの真面目な青年とは

うってかわって、

 

マッチョな色男に変身して

いたのに驚かされたが、

 

 

 

ナスターシャ・キンスキーは、

 

 

「マリアの恋人」が公開された

同じ年に、

 

彼との子を出産しているが

結婚はせず、

 

 

 

エジプトの映画制作者と

結婚して、

 

二人の子供として

育てたというのは、

 

 


もちろん、

 

当事者たちの思惑が

あってのことだろうが、

 

 

 

「マリアの恋人」を

地で行ったようなエピソードで、

 

 

 

 

1984年公開の

「マリアの恋人」以前に、

 

 

 

ナスターシャ・キンスキーは、

 

1982年公開の映画

「ワン・フロム・ザ・ハート」に、

 

 

 

ヴィンセント・スパーノは、

 

1983年公開の

「ランブルフィッシュ」に

出演しているうえに、

 

 

 

ナスターシャ・キンスキーが

落ち着いた先が、

 

 

“映画制作者”という肩書き

を持つ者なのであれば、

 

 

 

私としては、

 

コッポラの関与を

疑いたくもなるのだが、

 

 

それはさておき、

 

 

 


1982年から84年までの

全盛期に、

 

10本近いメジャーな作品に

彼女は出演しながら、

 

 

 

ヴィンセント・スパーノとの

恋愛を続けて、

 

 

 

映画「パリ、テキサス」

出演時が、

 

妊娠4ヶ月だった

というのだから、

 

 

 

監禁されたジャックを、

 

斧一本で救った

ローズではないが、

 

 

恋する女性の底力には

恐れ入って、

 

 

 

 

“愛に狂う女は美しい”

ではないが、

 

 

そんな背景があってこその、

 

 

ナスターシャ・キンスキーの、

 

黄金期であったような

気もするが、

 

 

 

 

それにしても、

 

 

お相手が、あの真面目な青年

スティーヴなのは、

 

私にしてみれば

驚き桃の木山椒の木で、

 

 

 

おそらく、

 

マット・ディロンや

ミッキー・ローク、

 

 

デニス・ホッパーでさえも、

 

 

同じことを言ったのでは

ないかと思われた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イヴァンがポンコツなばかりに、

 

 

クラレンスとの望まない子を

宿してしまった、

 

可哀想なマリアだと

これまで思っていたのだが、

 

 

 

情事後の、

 

クラレンスへの態度は 

もちろんのこと、

 

 

 

祖母に意味ありげに

微笑むマリアを見て、

 

 

 

もしかすると、

 

意図的にだったのかと

思うとハッとし、

 

 

 

マリアと同じく看護婦だった、

 

映画「ガープの世界」の

グレン・クローズが浮かんで、

 

 

 

彼女が微笑んでいるのと

重なったりしたのは、

 

 

 

私だけなのだろうか。