映画「デストラップ 死の罠」バットマンvsスーパーマン | TO NI LAND 

 

 

 

映画「デストラップ 死の罠」

を観た。

 

 

 

 

 

 

ブロードウェイで

ロングヒットとなった、

 

アイラ・レヴィンの舞台劇、

 

「デストラップ」

を映画化した作品で、

 

 

 

冒頭と巻末の

劇場でのシーンでは、

 

その舞台劇のセットが

実際に使われていて、

 

 

 

マイケル・ケインが、

 

オーバーアクションで

不必要に大声で話し、

 

 

 

絶叫癖のある

おどけたキャラクターで、

 

ダイアン・キャノンが

笑いを誘い、

 

 

 

アイリーン・ワースは、

 

霊媒師には

似つかわしくない、

 

スエット上下にキャップ姿

だったりするのが、

 

 

ベタな喜劇を観ているようで、

 

 

 

テレビの吉本新喜劇ならば

引きのショットで可能だが、

 

 

密室劇で俯瞰できない分を、

 

カメラワークでカバー

したのだろうか、

 

 

 

登場人物の

異様なアップショットで、

 

舞台での“間合い”さえ

感じたりもするので、

 

 

映画を観ている

というよりも、

 

 

舞台版と映画版を、

 

同時に観賞しているような

感じがして、

 

 

そんな感覚だけなら

まだしも、

 

 

この「デストラップ」という

タイトルが曲者で、

 

 

 

アイラ・レヴィン

舞台劇のタイトルであり、

 

 

シドニー・ルメットの

映画のタイトルであり、

 

 

クリフ(クリストファー・リーヴ)

が書いたとされている、

 

架空の台本のタイトルであり、

 

 

クリフが内緒で書いていた

台本のタイトルであり、

 

 

ヘルガ・テン・ドープ

(アイリーン・ワース)の、

 

舞台劇のタイトル

だったりするので、

 

 

頭が混乱してしまい、

 

 

まさにこの作品の

ポスターではないが、

 

 

ルービックキューブを

やっている時のような、

 

絶望感を味わったりもして、

 

 

ふと、


もし、これが舞台を

観ているのだとしたら、

 

 

映画版だと存在している

主役の二人が、

 

 

虚構の人物になってしまう

ことにも気付いて、

 

 

 

ルメットの仕掛けたトラップに、

 

いいように翻弄されている

のに苦笑いした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

多数の映画に出演している

のは同じでも、

 

 

 

必要に迫られ、

 

手当たり次第の

ニコラス・ケイジとは、

 

 

事情がまるで異なる

マイケル・ケインが、

 

 

映画「殺しのドレス」で

女装の殺人鬼を演じ、

 

 

映画「ハンナとその姉妹」

の演技でオスカーを受賞した、

 

 

その中間あたりで

出演した作品が、

 

「デストラップ 死の罠」で、

 

 

スランプに陥った劇作家

シドニー役を演じ、

 

 

 

 

そのシドニーの教え子で

前途有望な青年クリフ役を、

 

クリストファー・リーヴが

演じていて、

 

 

「デストラップ 死の罠」は、

 


彼が車椅子での生活を

余儀なくされる前の、

 

貴重な一本でもあるが、

 

 

 

スーパーマンシリーズ

を除外すると、

 

 

彼の前作は、あの、

 

映画「ある日どこかで」

のリチャード役で、

 

 

“すばらしき春”と、

 

“死の罠”では、

 

 

えらく嗜好が

変わってしまうが、

 

 

どちらも劇作家役を

演じているのが奇遇で、

 

 

 

もし、リチャードが

タフな青年で、

 

 

エリーズと

二度と会えなくても、

 

孤独死などせずに、

 

 

不条理な世の中に対する

恨み辛みと、

 

爆発しそうな

自己嫌悪感を原動力に、

 

 

書き上げた作品が、

 

 

“死の罠”だったらと

想像すると愉快で、

 

 

 

マイラ役が

ダイアン・キャノンではなく、

 

ジェーン・シーモアで、

 

 

 

シドニー役が

マイケル・ケインではなく、

 

クリストファー・プラマー

の配役でも、

 

 

おそらく、

 

映画「デストラップ 死の罠」は、

 

成功していただろうと思われ、

 

 

 

ちなみに、

 

その、クリストファー・プラマー

が出演した、

 

 

映画「ナイブズ・アウト/名探偵と

刃の館の秘密」は、

 

 

 

監督のライアン・ジョンソン

が制作する際に、

 

 

他のスリラー作品と共に、

 

「デストラップ 死の罠」も

参考にしていて、

 

 

 

あの、刃のオブジェは、

 

 

シドニー邸の壁の一面を

埋め尽くす、

 

武器や、拷問道具を

彷彿させたりもするが、

 

 


「ナイブズ・アウト~」

の凄いところは、

 

 

立て続けに、

 

映画「007/ノー・タイム・

トゥ・ダイ」を観賞すると、

 

 

 

ダニエル・クレイグと、

 

アナ・デ・アルマスコンビの、

 

 

パラレルワールドが

垣間見れるのと、

 

 

 

マイケル・シャノンが

出演しているのに、

 

 

犯人役ではないところ

だという、

 

私見はさておき、

 

 

 

「デストラップ 死の罠」に

話を戻して、

 

 

 

 

チェンバロによる、

 

ゴールドベルク変奏曲か

カンタータのような、

 


いかにもサイコスリラー的な

挿入曲が印象的だが、

 

 

この作品の音楽を

担当しているのが、

 

 

 

映画は残念でも

主題歌は有名で、

 

 

私のカラオケの十八番

でもある、

 

『The Shadow of Your Smile』や、

 

 

 

ふざけた内容でも

メロディは美しい、

 

映画「M★A★S★H マッシュ」

の主題歌、

 

 

『Suicide Is Painless』を

作曲した、

 

 

ジョニー・マンデル

だったのに驚いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「デストラップ 死の罠」の

俳優陣が、

 

 

「ある日どこかで」の

俳優陣だったら、

 

という話で思い出したが、

 

 

 

クリフ役が

クリストファー・リーヴではなく、

 

 

クリスチャン・ベールなら、

 

 

評価に支障はないであろう

うえに、

 

 

 

アルフレッド(マイケル・ケイン)と、

 

クラーク(クリストファー・リーヴ)の、

 

 

歪んだバットマンvsスーパーマン

の世界も解消され、

 

 

 

 

アルフレッドと、

 

ブルース(クリスチャン・ベール)が、

 

 

甘い口づけを交わしたり、

 

 

時には、

 

取っ組み合いの

ケンカをしたりなどの、

 

 

 

コアなバットマンワールドを

楽しめるだろうと思った。