感動日記 四五八九 琵琶法師の平家物語 令和五年十一月二十八日 | 雨にも負けず菩薩道

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『平家物語』は日本における作者不詳の軍記物語です。

鎌倉時代に成立したとされ、平家の栄華と没落、武士階級の台頭などが描かれています。

何を思ってのことか琵琶法師の平家物語の一説を聞きたくなりました。

日本人ならではの思いのようです。

 

「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響あり。沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。おごれる人も久しからず、唯、春の夜の夢のごとし。たけき者も遂にはほろびぬ、偏に風の前の塵に同じ。―」

「琵琶法師」とは、町なかで琵琶を演奏しながら物語を語る僧侶もしくは僧侶の姿をした芸能者のことです。

 その多くは盲目であったと伝えられます。

 

 平安時代から鎌倉時代にかけて登場し、十五世紀頃には京都だけで五百人ほどの琵琶法師が活動していたといわれています。

鎌倉時代には『平家物語』を琵琶の伴奏に合わせて語る平曲が完成したのだそうです。

この時代には、主として経文を唱える盲僧琵琶と、『平家物語』を語る平家琵琶(平家座頭)とに分かれていました。

琵琶法師のなかには「浄瑠璃十二段草子」など説話・説経節を取り入れる者がおり、これがのちの浄瑠璃となったのだそうです。

鎌倉時代に入って『平家物語』は琵琶法師たちの代表的なレパートリーとなり、諸流派が生まれ、十五世紀には全盛時代を迎えたのでした。

そんな中で生まれたのが有名な『耳なし芳一』の怪談です。

むかし、阿弥陀寺という寺に、芳一という男がおりました。

芳一は目が見えません。

琵琶をひきながら語るのがとても上手な男でした。

中でも評判だったのが、平家の最後をえがいた『壇ノ浦の戦い』。源氏との争いに敗れ、女も子供も一人の残らず海の底に沈んだくだり。

 

芳一が琵琶をひきながら語れば、「鬼もおもわず涙を流す」といわれるほどでした。

そんな芳一が平家の怨霊に呼び出される物語です。