事務所の脇に今年もピンクの薔薇が咲きました。事務所に一輪だけ飾り匂いを嗅ぐとこの世ではない別の世界の香りの様です。
最近は入浴剤でも色んな香りがするものが売っています。又、色んな香水も売っています。やはり香りのよいものをつけていると通りすがりの人とすれ違ってもどんな人なのだろうなと思ってしまいます。
昔、柳屋のポマードを欠かさず使っているお爺さんがいました。独特の匂いのするお爺さんでした。
香道という習い事があります。香りは嗅ぐとは言わないで聞くというのだそうです。何故、香りを聞く事が道に繋がったのでしょうか。そもそも仏教において御本尊の供養の為と称して、お線香を焚くのは何故なのでしょうか。生臭さの嫌いな仏様に、身も心も清浄にしてから近づかせていただくためとも言われています。又、お線香をあげると立ち上る煙によって、あの世とこの世がつながるともいわれ、煙を通じて故人と対話ができるという意味もあるそうです。
日本で最も古いお香の記述として「日本書紀」に香が伝えられたことが記されています。主に仏前を浄めるなど宗教的意味合いでも用いられるようになりました。
香文化は、仏教と共に「供養の香」として伝わり、広まってゆきました。
香は時を経て平安期の貴族たちによって「遊びの香り」へと発展しました。仏前に供えるだけでなく、部屋にたき込めたり衣装にたきしめたりと、香りそのものを楽しむようになったのです。
さらに「香」は平安貴族たちの知性感性のかたちであり、自己の美意識の表現や身分の証となりました。こうした香のある平安期の雅な有り様については、「源氏物語」や「枕草子」などからも、詳しく知ることができます。香りを衣装にたきしめ、香りそのものを楽しむ。その後、鎌倉時代からは、武将たちが荒々しい戦の合間の安らぎとして、香と茶を大切な嗜みとし愛好しました。
江戸時代に入り豪商や町人の間にも香が広まり、この時代に伽羅は極上品の代名詞となり、江戸文化の中に広まります。
こうして香は生活文化として、また遊びの文化として、日本の精神文化に欠かせない役割を担ってきました。