ケーブル比較動画を作ろう「弾き比べ・聞き比べ」 | K点観測

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やる気カラ回る八木です。

 

 最近触発されることがありまして、思い立って「よしっ、動画にしよう!」ということになったのです。

 

 なんの話かといえば「ケーブルの考察」の話です。このブログでは以前からケーブルを作るたびに「これ、こんな感じ。」というのを書いてきましたが、音にして聴き比べられる「資料」を作っておこうと思ったのです。今更ですが・・・ね。

 

 ブツブツ言わずにまずは音を聞いてもらおう!ヘッドホン推奨!

(別窓に出すと以下読み進める際に便利です・・・蛇足情報でした。)

 

  今回のやり方について

 この動画を作るにあたり、いろんなやり方を考えたのだけど、ただ「ギターだけの音」を聞くより「実際に使われる環境に近い音」の方がその違いをイメージしやすいだろうと思って、ドラム・ベースを伴った簡単なリフを弾く事にした。DAWにワントラック毎録り、それぞれ個別にミックスして書きだしている。録音後の処理はトリミング程度に留め、EQでの処理も共通でトータルに掛けたモノのみにしてある。

 低音の刻み・アルペジオ的ライン・長音と短い中にもバリエーションのあるフレーズにしたので、ケーブルごとの違いや特徴を捉えやすくはなっていると思う。

 当然のように各トラックで「ケーブルの違い以外の違い」はないが、余計な先入観を排除するため、どんなアンプやギターを使ったかは明かさないこととする。

 

  ケーブルの選出

 今回の検証にあたり採用するケーブルの選出は「実用的な価格で切り売りしている物」という点を基準に選んだ。これを見た人が、欲しいと思ったものをすぐに買えるようにね。(一部例外もあるけれど・・・。)

 長さは3mで一応統一している。(別記があるものは除く)

 

  各ケーブルの印象

 それではここから各ケーブルの印象を書いていく。どれも自作のケーブルで使用しているプラグがまちまちなので、一応使われているプラグも併記しておく(ケーブル/プラグ)。ハンダに関しては、その時々で違うものを使っていたりするし、覚えていないものもあるので、先入観を排するために今回は表記しないことする。

 以下、動画と聞き比べながら、その印象の答え合わせなどをしていただければと思う。

 

CANARE GS-6 / NEUTRIK

 日本を代表するギターケーブル。今回はコレを基準とした。それほどレンジ感の広さは感じないが、さすが電線屋が「エレキギター向けに」と設計してるだけあってエレキギターに必要な帯域が満遍なく出ている。割と密度の濃い音がする印象だが「コレといった特長が無い」というのが大きな特徴だろうか。

 

CANARE L-2T2S / NEUTRIK

 2芯のケーブル。これをギターケーブルで使うという話は聞かないが、こういうのが我が家には何本かある。

 一聴するとGS-6からグッと重心が下がったように聞こえるが、高音域のギラツキもしっかり感じられる。相対して中音域が抑えられたようにも聞こえるが、音の厚みもしっかりある。トータルではフラットな印象だし、派手に主張してくるようなところもないので、歌モノのバックとかで歪んだギターが欲しい場合は大活躍してくれるだろう。GS-6よりもクリアな音像が好印象。

 

 このL-2T2Sに限らず2芯・4芯のケーブルは、アンプ側のみにシールド線を繋いだ結線方をとっている(セミバランスとか言うらしい)。以下のケーブルも同様なので参考までに・・・。

 

CANARE L-4E6S / G&H

 4芯のケーブル。全体のレンジ感はGS-6に近いが、より中高域が強調された印象だ。派手に主張してくるところはないが(この感触はCANAREに共通した印象だな・・・)、雑味の少ない音でアンサンブルの中での立ち位置がハッキリと見えてくれるので、重層的なハモリが必要な場合に重宝している。柔らかく取り回しが良いので、ライヴでの使用にも向いている。もっと「ギター用」として製品が出回っていてもおかしくないと思うのに・・・。

 

MOGAMI 2524(2m) / NEUTRIK(Gold)

 派手だ。出ている帯域的にはGS-6とそれ程変わらないが、高音域の主張が派手さを生んでいる。その一方、中低域の密度感はGS-6に比べると薄めな印象なので音圧感はそれほど強く感じない。この「派手な割にオケに馴染む」感じが、LAのスタジオ界隈でスタンダードになっている所以なのだろう。

 

MOGAMI 2524(3m) / SWITCH CRAFT

 長さとプラグの違いでどう音が変わるのか検証してみよう・・・ということでラインナップに入れたのだが、それほど違いは無いように思う。2mの物に比べて低音の密度感が出ているような気もするが・・・いかがだろう?

 

MOGAMI 3368 / OYAIDE

 使われている素材は2524とさほど変わらないらしいが、印象はかなり違う。レンジ感が広がり、その上で全帯域にわたり高密度に出てくる。相対して中音域は控えめは印象になるが、ビシッと焦点の定まった音が出てくるので割とモダンなケーブルだと言えると思う。そして、派手だ。

 外径8mmという挑戦的な設計は使用できるプラグを選ぶが、太さの割には取り回しが悪くないので、ライヴでの使用も不便は無いだろう。

 

MOGAMI 2534 / NEUTRIK

 メーカーが「レコーディング用途向けに」と開発しているNEGLEXシリーズの4芯ケーブル。すごい。出ている帯域は2524と大差は無いのだろうが、その中での密度感やクリアさなどが段違いだ。こちらも3368同様ビシッと焦点が定まった音がするが、これは「2524が少し滲んだような音がしている」ということなのだろうか?この確かな存在感は、どちらかといえばリード向きなのかもしれない。

 ただ、やはり「レコーディング向けに」と謳っているだけあって動かさずに使うことを前提としているようで、少し動かしただけでも「ボソボソボソ・・・」とノイズが乗る。これはライヴでの使用には向かない。しかし、それを補って余りある魅力がこのケーブルにはある!

 

BELDEN 9395 / NEUTRIK

 ロックなケーブル・・・なんて書き方をしたら「バカかコイツは」とか言われそうだが、この派手でやんちゃな音を体感したら納得してくれるだろう。スタンダードな存在のケーブルだが、案外中低域にクセがある。アンプ直でストレートなハードロックをやるなら最適だが、この「下半身のムッチリとした感じ」は好みが分かれるかもしれない。

 

OYAIDE QAC-222G / OYAIDE - NEUTRIK

 硬い。ケーブル自体が取り回しが不自由なくらいの硬さがあるが、音もそれなりに硬い。レンジ感は高音域にかけて果てしなく広く、倍音はどこまででも出ている印象なのだが、歪ませると全体的に引っ込んだ音になってしまうのは何故だろうか。これはきっと、もっとモダンな音像の中では本領を発揮するのだろうが・・・今回の検証のような音では持て余してしまったようだ。

 クリーントーンではこの上なくキレイな音が得られることを補足しておく。

 

SOMMER Spirit / NEUTRIK

 ドイツから来ました。レンジ感やクリアさはMOGAMI 3368に近いが、この主張の強さは「俺の目を見ろっ!」と言わんばかりだ。倍音感が強い一方、低域の密度感は控えめなので、リードよりはバッキング向きなのかなぁという気がしている。「バランスケーブルか?」と言いたくなるようなクリアさがあるが、これも単芯のケーブル。

 

SOMMER COLONEL / G&H

 こちらは2芯のケーブル。Spiritの後なので地味に聞こえるが、GS-6と比べると十分に派手さを持っているのが分かる。倍音感がそれ程強くなく、反して中低域の密度感が高いので、これはベースの方が向いているのかもしれない。

 それと、このケーブルは非常に柔らかい。柔らかすぎるくらいに柔らかい。足に絡みつくような動きをするので、ライヴでの使用には注意が必要だ。

 

おまけ - 気に入った組み合わせ

Spirit(左) / L-2T2S(右)

 これらの組み合わせをいろいろ試してみて、気に入った組み合わせを最後に載せておく。

 今回の検証では、この組み合わせが「お互いの足りないところを補い合っている」と感じた。その上で中央部にはリードパートを活かせる空間があるので、とても良い相性だと思う。他にも魅力的な組み合わせがあったが、これは「今現在のお気に入り」ということで・・・。

 

  どう活かすか

 今回の検証を今後にどう活かすか・・・を考える。

 

 聞き比べる中で感じたのは「ギターの音色はもちろん、その他の楽器の聞こえ方にも影響する」ということ。

 今回の検証は「歪んだギターでリフを弾く」というやり方をした。つまりは「バッキングでの検証」ということになる。となると、バッキングの音色によって「リードパートの聞こえ方をコントロールできる」ということになる。あとに乗るパートに対し「どのあたりの帯域を開けておくか」ということ。豊かな中音域を活かしたいのであれば中音域が控えめなものを、煌びやかさを活かしたいのであれば倍音感が控えめなものを・・・と選ぶことで、リードもバッキングも「活かす」ことが出来るのではと思う。

 もちろん録音後にEQで処理することも出来るが、そういう処理を最小にするために今回の検証を行い「資料」を作ったので、今後の創作にこの知見が活きてくるものと期待したい。

 

  検証後記

 今回用意したケーブルたち、頻繁に使っているものもあれば作ったっきりほとんど使っていないものもあった。同じ環境で同じフレーズを弾き、それを客観的に聞き比べることで印象の変わったものや「再発見」をしたモノもある。CANAREのL-2T2SやMOGAMIの2534は今後もっと活用していくことになると思う。

 ただ、聞き比べるうちに「どれもいつもの自分の音だな・・・」なんて思ってしまうこともあったので、ケーブルを変えることで「見違えるほど変わる」ということには残念ながらならない。もしかしたら気にしなくても良いところなのかもしれないけど、「もっと良い音で、良い演奏をしたい」という方には、この検証が少しは役に立つのかと思う。

 まぁどちらにしても、今回「良い資料」を作ることが出来たわけだから、僕にとっては「良い検証」だったのだろうと少々強引だが結論付けたい。

 

  おわりに

 今後もこのような「検証」を行うかは分からないが、なにか「資料」として残しておきたいものがあったらやるかもしれないので、興味のある方はこのブログをフォローするなりしていただけるとありがたいです(いろいろと告知などもしているのでね)。

 

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